口内炎の原因は色々あることを知っていますか?
どの原因によって起こっているかによって、治療の方法も異なります。
正しい治療方法と予防法を知って、辛い口内炎とサヨナラしましょう!
実は色々?!口内炎ができるワケ
口の中の粘膜の炎症は全て口内炎に分類されます。
口内炎と聞いて皆さんが連想するものから、ウイルスや細菌やがんなどが原因のもの、原因自体がわからないものもあり、口内炎ができる理由は様々です。
よくある口内炎
アフタ性口内炎
聞きなれない名前ですが、これが一般的に知られている口内炎です。
丸くて小さな潰瘍を作ります。生活習慣やストレス、食生活などが大きく関わっていると言われています。
褥瘡(じょくそう)性口内炎
歯のフチに口腔粘膜が長期間当たっていることや、噛み合わせの悪さが原因です。
寝たきりのお年寄りのお尻などにできる「床ずれ」と同じような状態です。
原因となっている歯や噛み合わせを治療することが第一選択です。
咬傷(こうしょう)・血腫性口内炎
ご飯を食べているときに、口の中を噛んでしまうことはありませんか?
放っておいても1週間程度で自然に治りますが、同じ場所を繰り返し噛んでしまうようなら、噛み合わせなどの治療が必要かもしれません。
ウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎の特徴は、最初に水ぶくれができることです。
この水ぶくれが潰れて、口内炎ができます。
基本的には口内炎に対する消炎鎮痛などの対症療法が基本ですが、状態によっては抗ウイルス薬などのお薬を使う場合があります。
ヘルペス性
単純ヘルペスウイルスが原因で、軽いものなら1〜2週間で自然に治ります。
小さい子どもや高齢者、または風邪などをひいて免疫力が低下している場合は高熱が出たり何箇所も口内炎ができたりすることもあります。
帯状疱疹
子どもの頃かかった水ぼうそうのウイルスが神経の中に潜んでいて、免疫力が低下したときに帯状疱疹として出現します。
通常は肋骨の周りなどに出ることがほとんどですが、顔の神経である三叉神経にもウイルスがいる場合、口内炎の症状が出ることがあります。
子供によくできる口内炎
子ども同士で流行するヘルパンギーナや手足口病は、エンテロウイルスというウイルスが原因です。
また麻疹(はしか)はムンプスウイルスが原因で、コプリック斑という特徴的な口内炎を作ります。
黒い口内炎
メラニン沈着症などの色素の沈着が原因で病気ではないものから、悪性黒色腫のように大きな病気の前段階のようなものもあります。
急激に大きくなる口の中のホクロは注意が必要です。
白い口内炎
カンジダ症
STD(性感染症)や免疫力の低下で陰部に強い痒みをもたらすことで知られるカンジダ症ですが、口の中でも起こります。
抗生物質やステロイドなどを長期間使うことにより、口の中にもともといた良い菌が死滅し、真菌(カビの一種)が増殖することにより出現します。
口の中が真っ白になり、所々に出血を起こします。
治療方法は、使用している薬の中止と体力を回復させることです。
ニコチン性口内炎
タバコの煙は有害で、口腔内の粘膜を常に刺激し続け口内炎を起こします。
タバコの煙の通り道に沿って口内炎が発症します。
タバコをやめることのみが治療方法です。
白板(はくばん)症
口の中の粘膜、特に頬の内側や舌、歯茎などに見られる白い病変で、舌苔とは異なり擦っても取れません。
口腔がんの前段階である可能性があり、特に舌にできたものは注意が必要です。
赤い口内炎
紅板(こうばん)症
白板症とともに前がん状態の一つです。
舌や歯茎に鮮やかで凹凸のない口内炎を生じます。
初期症状として多くの場合、刺激痛があります。
アレルギー性口内炎
薬物アレルギー
薬へのアレルギー反応で口内炎ができることもあります。
主に抗生物質や鎮痛剤などの薬物で起こることが多いです。
治療は、使用している薬の中止と、状況に応じて抗ヒスタミン剤などの内服が必要な場合もあります。
金属アレルギー
昔治療をした歯の被せ物にはニッケルなどの卑金属が使用されていることがあり、これが原因で口内炎を起こすこともあります。
義歯性口内炎
入れ歯や差し歯の噛み合わせが悪かったり、口の中が不潔な状態が続いたりすると、やがて粘膜がただれて口内炎になります。
全身に関連する口内炎
重症の貧血や紫斑病、血友病、白血病などの血液の病気などは、口内炎ができやすく、歯茎からの出血や血豆ができます。
あなたの生活は大丈夫?口内炎になりやすい生活
口内炎の中で、一番多くみられるのが「アフタ性口内炎」です。
アフタ性口内炎は様々なことが要因であることが多く、原因を特定することは困難です。
しかしながら不規則や不摂生な生活は、口内炎の一番のリスクファクターです。
暴飲暴食や栄養バランスの偏り、ビタミン不足、疲労やストレスによる免疫力の低下、月経周期に伴うホルモンバランスの乱れなどがアフタ性口内炎の要因と言われています。
口内炎の治し方(生活習慣、民間療法)
3食しっかり!栄養バランスの良い食事
口の中の粘膜を健康に保つためには、ビタミン・ミネラルが必要不可欠です。
口内炎ができると食事をするのも辛く、食事内容も偏りがちになりますが、早く口内炎を治すためには必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。
また、口内炎に刺激となる硬いもの、熱いもの、辛いものは避け、柔らかく煮た野菜スープなどにして食べると良いでしょう。
亜鉛
たこ、鰻、たらこ、南瓜などに多く含まれています。
新陳代謝を促進し、皮膚や粘膜の再生を活発にしてくれます。
鉄
レバーや小松菜、ひじき、きな粉などにも多く含まれます。
鉄分は貧血の改善だけでなく、皮膚や粘膜を健康に保つためにとても大切な成分です。
ビタミンB2
豚レバー、鰻、納豆、牛乳などに多く含みます。
粘膜の保護や細胞の成長促進に働きます。
ビタミンB6
マグロの赤身、さんま、カツオ、鳥ささみ、バナナなどに多く含まれます。
粘膜の材料であるタンパク質の代謝を良くして、粘膜を新しく作り出すときに働きます。
ビタミンC
果物や野菜、芋類にも含まれます。
抵抗力を上げ、柑橘の香りはストレス緩和にも効果があると言われています。
ビタミンA
レバー、卵黄、鰻などに多く含まれます。
脂溶性ビタミンのため、油との相性が良く火を通すことで吸収が良くなります。
睡眠を良く取り、規則正しい生活をしよう
睡眠不足は、免疫力や回復力を低下させます。
また、不規則な生活は体を冷やし循環も悪くなり、口内炎ができやすくなったり治りづらくなったりします。
忙しい時こそ、きちんと寝る、きちんと食べる、きちんと出すことが大切です。
ストレスは溜め込まずに程よく発散
ストレスや疲労の蓄積は、体からビタミンやミネラルを奪ってしまうため、口内炎ができやすくなります。
自分なりのストレス発散方法を見つけて、大事な体を守りましょう。
上手にビタミン摂取
ビタミンには「水溶性ビタミン(ビタミンB1,B2,ナイアシン,B6,B12,パントテン酸,ビオチン,C)」と「脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)」があり、それぞれ体への吸収のされ方が異なります。
水溶性ビタミンは、その名の通り水に溶けやすい性質があるため、一度に大量に摂っても余分なものは尿として排泄されてしまいます。
逆に、脂溶性ビタミンは体に蓄積されやすいという特徴があり、摂りすぎると弊害もあります。
このため健康食品やサプリメントなどでビタミン補給を行う場合には、きちんと摂取量について守ることが大切です。
乾燥注意!お口の保湿とマウスウォッシュの選び方
口の中に汚れが溜まると雑菌が繁殖し口内炎ができやすくなります。
また乾燥すると唾液による自浄作用が低下して、さらに雑菌が溜まりやすくなるため、食後の歯磨きやうがいによる保湿が大切です。
その際気をつけたいのが、歯磨きの強さです。
強く磨きすぎて口の中を傷つけてしまっては本末転倒ですから、歯は優しく丁寧に磨きましょう。
またアルコールを多く含んだマウスウォッシュやメンソール成分の強い歯磨き粉は、一見、口の中はスッキリしたように感じますが、粘膜に負担をかけている場合があります。
粘膜の強さは個人差やコンディションによっても変わりますので、お使いのマウスウォッシュや歯磨き粉で痛みを感じるようなら、刺激が強すぎるのかもしれません。
低刺激タイプのものに変えてみましょう。
禁煙も大事!
喫煙による口腔粘膜の炎症は、ニコチンが口の中の血管を収縮させて血行を悪くすることで起こります。
喫煙による口内炎は、がんに移行することもあるため注意が必要です。
市販薬には違いがある!正しい選び方をしよう
薬局で売られている口内炎の薬には、口内炎に直接塗るもの、パッチ薬(貼り薬)、最近ではスプレータイプの薬も出てきました。
これらは口内炎ができた場所、数、大きさに合わせて使い分けると良いでしょう。注意したいのは、「市販薬の中にもステロイドが入っているものと、入っていないものがある」ということです。
重症の口内炎の場合、ステロイド入りの方が早く治ることもあります。
しかし、口内炎の原因がカンジダなどの真菌であった場合、ステロイドを使用すると更に悪化することがあります。
また、口内炎の治療と同時に消炎鎮痛剤を使用すると痛みが取れて楽になる場合があります。
薬を使わなくてはいけないほど辛い口内炎ができた場合は、一度病院で診てもらうと安心ですね。
最近ではレーザー治療を行なっている病院もありますが、保険適用外となるため、治療費も1回500円〜3000円と病院によって異なります。
繰り返す口内炎や大きな口内炎が治療の対象となることが多いようですが、繰り返す口内炎は他に大きな病気が隠れている場合もあります。
いずれにしても、事前に病院で聞いてみることをお勧めします。
口内炎で病院に行くなら、何科を受診したらいいの?
小さな口内炎であれば、近くの内科でもビタミン剤や塗り薬を処方してもらうことはできます。
口内炎を専門として取り扱う科としては「歯科」「口腔外科」「耳鼻咽喉科」などが挙げられます。
現在内科や歯科などに通院している方は、その病院にかかれば初診料等もかかりません。
特に病院に行っていない方は、まずは内科で診察・処方をしてもらい、なかなか治らないようであれば歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科にかかると良いでしょう。
こんな時はすぐに病院へ!注意した方が良い口内炎
比較的身近な口内炎、放っておいても自然に治ってしまうことも多いですよね。
けれど「どんどん大きくなる」「大量にできる」「水ぶくれになっている」「長期間治らない」などの症状は、他の病気が隠れている可能性もありますので、すぐに病院を受診しましょう。
たかが口内炎、されど口内炎。口内炎は体からのメッセージです。
過信せず、体が教えてくれたメッセージをしっかりと受け止めましょう。