結婚したり子どもが産まれると、住宅を購入した方が良いのかどうか考える機会が訪れます。
住宅を購入して持ち家に住むのと、賃貸に住み続けるのではどう違うのか、それぞれのメリットとデメリットを調べてみました。。
持家のメリットを徹底検証!8割が定年までに持家を購入!?
一般的に「家を持ちたい」と考え始めるのは、収入が安定し、子どもが増える30代です。
総務省統計局「住宅・土地統計調査(2013年)」を見ても、持家世帯の割合は25~29歳で11.3%ですが、35~39歳では46.0%と急上昇していることがわかります。
さらに、40~44歳になると持家世帯割合は50%を越え、65歳以上では約8割に上ります。
では、なぜ8割もの人が定年までに持家を購入するのか、持家のメリットについて見てみましょう。
持家のメリット①:老後の住居費負担が少ない
持家を購入するかどうか考えた時、気になるのは「持家と賃貸とではどちらの方が安いのか」という点ですが、多くの専門家は「持家と賃貸とでは、支払い総額はほとんど変わらない」と試算しています。
では、持家と賃貸で何が大きく違うかと言うと、「老後の住居費負担の有無」です。
持家は、ローンさえ完済してしまえば月々の住居費が大きく減り、貯蓄しやすくなります。
リタイア後の収入が年金のみになったとしても、住居費がない分、貯蓄が減るスピードもゆるやかです。
一方、賃貸はリタイア後も家賃が変わらず発生するので、出費がかさみます。
支出が収入を大きく上回るようであれば、小さい賃貸に住み替える必要も出てくるかもしれません。
持家のメリット②:「夢のマイホーム」で高い満足感
総支払い額は賃貸とほとんど変わらないのに、それでも持家を選ぶ理由を挙げるとすれば、シンプルに「マイホームが欲しいから」という人も少なくありません。
30代になると、仲間内でも徐々に住宅を購入する人が出てきて、新居に招待される機会も増えるため「自分もマイホームが欲しい!」という気持ちになるのは自然なことです。
賃貸物件では自分の希望通りに一から間取りや細かい内装を決めることはできませんが、持家であれば、自分の希望を細かく反映させることができます。
特に戸建の注文住宅であれば、土地をはじめ、家の間取りや内装、外構まで全てを一から決めることができ、理想のマイホームを建てることが可能です。
「自分の理想を詰め込んだ夢のマイホームが欲しい!」という欲求は、持家を買うことでしか解決できません。
持家が欲しい気持ちを我慢してストレスを溜めるよりは、奮発してマイホームを買ってしまった方が仕事へのモチベ―ションも上がり、高い満足感が得られるという人は、持家が向いているでしょう。
持家のデメリットを徹底検証!人生最大の買い物で失敗したくない!
家を買うことは、人生最大の買い物と言っても過言ではありません。
賃貸なら気に入らなければ住み替えることができますが、持家はそうはいきません。
後悔のない選択をするためにも、持家のデメリットもよく考えておく必要があるでしょう。
持家のデメリット①:トラブルがあっても簡単には引っ越せない!
持家は貯金の大部分を頭金に充て、多額のローンを組んで購入するものなので、ご近所や学校などでトラブルが起こっても、そう簡単に引っ越すことはできません。
持家の中でも特に分譲マンションは、隣人だけでなく上下にも住人がいるため、ご近所トラブルは起きやすいのが実情です。
国土交通省の「マンション総合調査(2015年)」によると、「特にトラブルなし」というマンションは全体の30%に満たず、残りの70%のマンションは、何らかの住民トラブルを抱えている事が分かっています。
もちろん、トラブルは分譲マンション以外でも起こります。
警察の安全相談窓口には、犯罪被害防止に関する相談が年間20万件も寄せられています。(警察庁発表2016年)
子どもが学校でいじめに遭う可能性もゼロとは言えません。
賃貸であれば、住み替えることでトラブルを回避することもできますが、持家では簡単に住み替えはできません。
持家を購入する際には、家の設備だけではなく、近所の住人の質や周辺環境にも十分気をつけることが重要です。
持家のデメリット②ローンを完済してもリフォーム・修繕費が掛かる!
先ほど、持家のメリットとして老後の住居費がないことを挙げましたが、リフォーム代や修繕費が別途必要になることを忘れてはいけません。
新築であっても、35年経てば35年前の建物・設備になり、設備が老朽化してくれば当然、修繕やリフォームが必要です。
しかも、家と同時に住人も高齢化するので、手すりの設置や段差を無くすなどバリアフリーにする工事もいるかもしれません。
賃貸なら新しい物件に住み替えれば済みますし、マンションなら階段などもないので住みやすいですが、戸建ての持家となるとすぐに住み替えるのは難しいこともあります。
ファイナンシャルプランナー住宅相談ネットワークによると、戸建て築35年・延べ床面積100㎡の持家の場合、一般的な修繕・リフォーム費だけで450万円弱とかかると言われています。
月々のローンを支払いながら、教育費や老後の生活費とは別にこの「リフォーム・修繕費」を積み立てなければ、老後の快適な生活は保障されないのです。
持家のデメリットその③:購入時の諸費用、利息、税金が意外と高い!
住宅を購入するためには、登録免許状や諸経費、ローン契約の印紙税、登記費用など、余分に払わなければならないお金があり、それが物件価格の5%を占めます。
たかが5%でも4000万円の物件であれば200万円にもなり、決して安くありません。
また、ローンを組む場合は金利も掛かってきますので、この分の支出も考えておく必要があります。
仮に4000万円全額を金利3.0%で35年かけて返済した場合、支払い総額は6400万円以上にもなり、金利だけで2400万円以上も支出することになります。
さらに、住宅を持つということは毎年、固定資産税も掛かってきます。
これらの余分なお金を払ってまで持家にこだわる必要があるのか、よく見極めなければなりません。
賃貸のメリットを徹底検証!賃貸だって持家に負けてない!?
最近の賃貸物件は、ペット共生型マンションやコンシェルジュサービス付きマンション、お洒落なデザイナーズ物件など多様化しています。
20~30代を中心に「賃貸でも自分の理想のライフスタイルを実現できるなら、あえて持家を選ぶ必要がない」という考え方も増えてきています。
賃貸のメリット①:利便性の良い立地が選びやすい!
共働きの家庭が毎日を快適に過ごすためには、通勤・通学における利便性の高さが求められます。
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、分譲住宅と賃貸住宅の「片道通勤時間」を比較した場合、賃貸住宅の方が約8分早いことがわかりました(2011年調査)。
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」を見ても、「駅までの距離」を比較すると持家より賃貸の方が近いという結果が出ています。
駅へ近づけば近づくほど物件と土地の価格は高騰するため、持家はどうしても郊外で購入しがちで、賃貸の利便性にはかなわないのです。
賃貸のメリット②:急な出費にも対応!年代に合わせた住み替えも
人生の三大支出と言えば、「住居費」「教育費」「老後の生活費」ですが、賃貸であればこの3つをうまくコントロールすることができます。
持家の場合、ローンを組む際の頭金で大幅に貯金が減った上に、毎月のローン返済やリフォーム積立などで月々の住居費が賃貸よりも大きくなるため、突発的な出費にはどうしても対応しにくいです。
しかし、賃貸であれば、持家のような頭金は必要なく、その分を貯蓄や教育費、老後の生活資金へ充てられるので、急な出費にも対応できます。
また、子どもが小さい間だけ実家のそばに住む、学校・仕事に通いやすい地域を選ぶ、リタイア後に好きな土地へ移住するなど、ライフステージに合わせてしがらみなく住み替えていけるのも賃貸の大きなメリットです。
先ほど持家のデメリットでも述べましたが、何かトラブルが発生した場合、賃貸なら比較的すばやく引っ越すことができます。
持家を所有することで得られる満足感よりも「より豊かに暮らすこと」を重要視する人には賃貸が向いているでしょう。
賃貸のデメリットを徹底検証!
賃貸には持家と比較しても負けない素敵がメリットがありましたが、一方でどうしても避けられないデメリットもあります。
賃貸に住み続けた場合の、大きなデメリットを2点挙げておきましょう。
賃貸のデメリット①:部屋の使い方に制限がある!
賃貸でどうしても避けられないデメリットは、部屋の使用方法に制限があることです。
賃貸は部屋に傷を付けてしまうと退去時に修繕代を請求されるおそれがあるため、リフォームや増築はもちろん、棚をつけるために釘一本打つことさえ簡単にはできません。
最近は突っ張り棒などで工夫して壁を傷つけずに棚を作る方法などもありますが、壁に釘を打って固定しているわけではないので強度には不安が残ります。
また、エアコンを増やしたりガスファンヒーターを設置したい場合なども、壁に穴を開けたりガス管を引いてくる工事が必要なので、大家の同意が必要な賃貸では実現しにくいです。
家族が増えて部屋が手狭になっても、勝手に改築や増築をすることはできないので、住み替える必要が出てきます。
賃貸のデメリット②:リタイア後の住居費が負担に!
リタイア後も住居費負担が続くことが、賃貸の大きな経済的デメリットです。
持家の場合、ローンを完済してしまえばリフォーム代や固定資産税以外の住居費はなくなりますが、賃貸は退職後も家賃が引き続き発生するので、年金収入よりも支出が大きく上回る可能性も十分あります。
リタイア後、66歳~80歳まで夫婦で家賃10万円の賃貸物件に住むと仮定すると、「月々10万×12ヶ月×14年」で1680万円もの住居費が掛かる計算になります。
これには生活費は含まれていませんし、90歳まで長生きした場合には、老後に必要な資金はもっと膨らみます。
当然、リタイア後の貯蓄が減るスピードは、持家より賃貸の方が速くなります。
一生賃貸で過ごそうと考えている人は、現役世代のうちに「老後の生活費」だけでなく「住居費」も含めて貯めなくてはならず、家計を圧迫する可能性があるのです。
どっちが向いているか30代のうちに検討を
持家のメリットは賃貸のデメリット、賃貸のメリットは持家のデメリットというように、裏表の関係になっています。
これらのメリット・デメリットをよく照らしわせ、ぜひ後悔のない選択をしましょう。
持家を選択する場合はローンの返済がかかってきますので、返済年数のことも考えて、できれば30代のうちに持家か賃貸かを検討し、具体的な行動に移しておきたいところです。