不妊治療をいざ始めようと思ってまず気になるのは、どのくらいの期間続けなくてはいけないのか、どれくらいの成功率なのかということではないでしょうか。
時間もお金もかけて行う不妊治療だからこそ、ある程度の目安は知っておきたいですよね。
そこで今回は、気になる成功率や期間についてまとめてみました。
不妊治療ってどういう事をするの?
気になる成功率などを見ていく前に、そもそも不妊治療とはどういうものを指すのかを確認しておきましょう。
不妊治療と聞くと、「人工授精」や「体外受精」という言葉がまず最初に頭に浮かぶ人も多いかもしれないですね。
確かに、そういった人工的に受精を促す方法や、高度生殖医療と言われる体外で受精卵を作り、戻す方法ももちろん不妊治療の一つですが、そればかりが治療ではありません。
むしろ、最初から体外受精と言うよりは、ステップアップしながら治療は進んでいくことがほとんどです。
例えば、まず最初はタイミング法という、排卵日の予測に伴い夫婦生活を行うものからスタートしたり、不妊の原因によって排卵誘発剤を使う治療を行ったりと、実は様々な治療が行われます。
もっと言えば、基礎体温を正しく計測することが治療のスタートでもあります。
そういった様々な治療の中ではむしろ、体外受精は最後の方のステップです。
このように、不妊の原因によって治療の進め方は変化するので、不妊治療を行う前には必ず、不妊検査という不妊の原因を探る検査を受ける必要があります。
不妊検査は、婦人科でも不妊外来のある病院でもどちらでも受けることが可能です。
もちろん、不妊の原因は女性、男性どちらにもありえますので、夫婦揃ってまずは不妊検査を行うことが肝心です。
不妊治療で妊娠できる確率って?
では、実際に不妊治療を行うとどのくらいの確率で妊娠できるのでしょうか。
治療と言うと、病気を治すように「かなりの確率で妊娠できるようになるのでは」と思いがちですが、そうとも言えないのが不妊治療の難しいところです。
確かに、治療を行わないままだと妊娠しにくい夫婦が治療を行うことで妊娠に近づきやすいのは間違いないのですが、それでも確実な方法とは言えません。
不妊の原因によっては、簡単に治療が進むというわけでもないですし、場合によっては何年もかかる場合もあります。
また、はっきりとした原因がわからないままということもありますので、一つ一つ段階的に治療を進めていく必要があるのが不妊治療です。
では、「高いお金を払って不妊治療する意味はないの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
不妊の原因がわかれば具体的な対処もできますし、人工授精や体外受精を行うとやはり確率は上がります。
対処せずに自然妊娠を待つよりも妊娠する確率は上がっていきますので、子宝に恵まれず悩んでいるなら、不妊治療は受けた方が良いと言えるでしょう。
では、具体的に不妊治療の成功率とはどのくらいなのかを具体的な治療方法別に見ていきましょう。
タイミング法で行った場合は?何回続ければいい?
不妊治療には、先程も述べたようにいろいろな治療方法があります。
まず治療の初期に行うタイミング法は、排卵日を予測し、夫婦生活のタイミングを病院で教えてもらうことで確率を上げる方法ですが、こちらは基本的には自然妊娠と同じです。
例えば不妊症ではないと言われるカップルが、タイミングを合わせられたと仮定した場合の妊娠成功率は20%程度と言われています。
そして、一般的に1年以上排卵日の前後で夫婦生活を行っても妊娠しない場合は、一度不妊検査を受けたほうが良いと言われています。
では、不妊検査を受けて不妊症と診断された場合、タイミング法で妊娠できる割合はどのくらいなのでしょうか。
実は、1回のタイミングで妊娠できる確率は2%~5%程度と言われています。
6ヶ月続けると累積で50%の妊娠率となるのですが、そこからほぼ横ばいの妊娠率になります。
そのため、一般的に不妊治療においてタイミング法を続ける目安は3回~5回、それでも子供を授からない場合は次のステップへと治療方法を変更していく、というのが通常の流れです。
人工授精の場合は?
不妊の原因によっては異なりますが、タイミング法の次のステップとして、人工授精があります。
これは、質の良い精子を選別し、タイミングを見て人工的に女性の体に入れる方法です。
不妊症の方の自然妊娠よりは妊娠の成功率が上がりますが、それでも実は数%の確率でしかありません。
例えば、30代の女性の妊娠率で見ると、だいたい8%~9%くらいと言われています。
人工授精で妊娠した人のうち、2回目までに妊娠した割合は約60%、3回目までで80%、4回目までで90%という統計もあり、人工授精を行う回数も年齢や不妊原因によって変わりますが、だいたい4回くらいで更に次のステップへと進んでいきます。
体外受精の場合はもっと高い確率になるの?
人工授精の次のステップとして、高度生殖医療と言われる体外受精や顕微授精を行った場合、妊娠率はどのくらいになるのでしょうか。
そもそも体外受精とは、女性の卵巣から卵子を取り出し、体外で精子と受精させ、受精卵となった状態で再度女性の体に戻すという方法です。
受精卵にするときに、顕微鏡で精子を卵子に入れる場合は顕微授精と言われます。
この方法であれば、受精卵の状態で体の中に戻すので、他の方法よりも確率はぐっと上がります。
クリニックによっては、人工授精の4~5倍の確率だというところもあるようで、1回の平均で20%くらいの妊娠成功率と言われています。
ただし、「保険適用外の治療のため、何十万円という高額な費用がかかる」「卵子の採取に痛みを伴う」という点が、何回もチャレンジするには難しい要因の一つとなります。
年齢によって妊娠率がこんなにも違う!
今まで、平均的な妊娠成功率の話をしてきましたが、実は女性の年齢によってこの割合は大きく異なります。
例えば、20代の女性の場合と40代の女性との場合では、かなり確率の開きが出てきてしまいます。
一番わかりやすい例は体外受精の妊娠成功率です。
全体平均で見れば、体外受精を1回行うと20%ほどの妊娠成功率ですが、年代別に見ると驚くほど妊娠成功率は異なります。
例えば、35歳以下の体外受精での妊娠成功率は約40%前後あるのに対し、40歳以上の場合は約10~20%程度に下がります。
さらに、妊娠し出産した割合を年齢で比べてみると、30歳の場合は19,9%ですが、40歳になると7.7%になり、45歳で0.6%にまで下がるという統計もあります。
こう見てみると、やはり女性の妊娠出産には年齢という制限がある、ということがよくお分かりいただけるかと思います。
とにかく早く治療を始めることが大切!
これらの数字からもわかるように、不妊治療を始めるのであれば、少しでも早い方が妊娠する確率が高いと言えます。
不妊検査を受ければ、病院できちんと今後のスケジュールや治療の進め方は教えてもらえるのでいいのですが、不妊検査を受けずに何年も経ってしまうというのが一番怖いことかもしれません。
「いつか妊娠するだろう」「タイミングが合わなかっただけだろう」と思っているうちに2年、3年と過ぎてしまうともしかしたら手遅れになってしまうかもしれません。
不妊症でないカップルの場合は2年あればほぼ100%妊娠すると言われています。
つまり、妊娠を望んでいるにも関わらず、どんなに長くても2年妊娠しなかったなら、それは不妊症だと断言せざるを得ない状況なのです。
女性の体にある卵子の数は、赤ちゃんの時からもうすでに決まっており、新しく作られる事はありません。
しかも、毎月1度、しかもタイミングとしてはほんの数日しか妊娠するタイミングはやって来ません。
もしかして・・・と少しでも思ったら検査を受けることが大切ですから、まずは病院へ相談してみてくださいね。
受診に踏み切れない理由として、高額な治療費が心配な場合は、医療費控除の制度を使って経済的な負担を軽減することが可能です。
詳しくは、「不妊治療費用は控除対象!確定申告できる対象者、条件、方法まとめ」で解説していますので、併せてご覧ください。