不妊治療とひとことで言っても、実に治療方法は様々です。
今回は、不妊治療が痛い、太ると言われる原因を女性の不妊治療に注目してまとめてみました。
なかなか聞けない不妊治療の素朴な疑問にお答えします!
なかなか赤ちゃんができないし、病院で検査を受けてみようかな。
そう思うまでの期間は人によって異なりますよね。
確かに、赤ちゃんを授かるタイミングは人それぞれなので、一概にこの期間と言い切れません。
それでも、どのくらいで検査や治療を受けたらいいのか、ご存知ですか?
一つの指針として、日本産婦人科学会は1年で妊娠することができなかった場合は、一度不妊検査に行くことを推奨しています。
なぜなら、女性は30歳、男性は35歳を過ぎると、少しずつ自然に妊娠する確率が低下してくると言われているからです。
そのため、できるだけ早く検査を受けて、もし何らかの原因があれば早めに治療を始める方が良いとされています。
主な不妊の原因は何?
では、どんな原因があると不妊症と診断されるのでしょうか。
実は不妊の原因は、一つだけではありません。
しかも、女性と男性両方に原因はありますが、今回は女性に特化して説明していきたいと思います。(男性については、「不妊の原因は男性が半分!早めに知りたい原因・リスクを解説」を参考にご覧ください。)
女性の不妊の原因は主に5つ
不妊の原因は色々とあるとされていますが、大きく5つに分けることができます。
- 排卵する卵巣機能に問題がある。
- 卵管の詰まりや、狭まりがある。
- 子宮筋腫など、子宮内膜に問題があり着床しにくい。
- 子宮の入り口である頸管(けいかん)の粘液が少ない。
- 免疫異常で受精などを妨げてしまう。
この項目以外にも、他の病気が起因している場合もあるので、絶対にこの5項目に分類される、というわけではありません。
実は原因不明な場合も
さらに、検査を行っても原因が見つからないこともあります。
その場合は「原因不明不妊」と呼ばれ、割合は全体の1/3にものぼると言われています。
では、原因不明とされた場合は治療ができないの?と心配になりますが、そんなことはないので安心してください。
そもそも不妊治療は体の負担が少ない方法から治療をスタートし、状況を見ながら治療内容をステップアップさせていくことがほとんどです。
主な不妊治療の種類と手順が知りたい!
不妊治療には大きく分けて2段階あり、原因などに応じて治療内容を少しずつステップアップさせていきます。
ただ、どの治療方法が自分にふさわしいのかは体への負担などを考えて、慎重に医師とともに決めていく必要があります。
ここではごく簡単に、治療の内容をまとめてみました。
第一段階:一般不妊治療
まずは、「一般不妊治療」と呼ばれる治療を行います。
排卵日の2日前から排卵日までにタイミングを合わせて夫婦生活をする「タイミング法」や、採取した精液から運動良好な精子を取り出して、妊娠しやすいタイミングで直接子宮内に注入する「人工授精」などがあります。
人工授精と聞くと、高額な治療というイメージがあるかもしれませんが、実は3万円程度から行う事が可能です。
もちろん、行う病院によって価格は異なりますので、きちんと確認してみてくださいね。
他にも、排卵を誘発させる注射や内服薬を処方されることなども、この第一段階に含まれています。
第二段階:高度生殖医療
第一段階を一定期間きちんと行っても結果がうまくいかなかった場合、「体外受精」や「顕微授精」といった高度生殖医療へとステップアップします。
こちらは、卵巣から卵子を取り出して体外で受精させ、後日受精卵を子宮に戻す方法です。
体外受精:卵子と精子が同じ培養液の中で、受精卵になるのを待ちます。
顕微授精:卵子の中に細い針で精子を注入することで、人工的に受精卵を作ります。
不妊治療が激痛と噂されるのはどうして?
ここまで、色々と不妊治療についてまとめてみましたが、更に気になるのは「これらの治療は体にどのような負担がかかるのか」ということではないでしょうか。
時々、不妊治療は痛い、辛い、という声も耳にしますが、具体的にどういった検査や治療に痛みを伴うのかを調べてみました。
主に痛みを伴う検査・治療とは
どんな病気や治療でも、全く痛いことがない、というのは珍しいと思います。
血液検査をするにも、注射針の恐怖からは逃れられません。
今回は、不妊治療において特記すべきものに絞ってご説明します。
子宮卵管造影検査
まず、治療に入る前の検査の段階で、痛みを伴う可能性のある検査があります。
それは、「子宮卵管造影検査」というものです。
この検査は、卵管の詰まりなどが無いかを確認するために行います。
痛いと言われる理由は、卵管が詰まっていないかを検査するために、カテーテルを入れての通水検査、もしくは造影剤を注入してのレントゲン撮影が行われるからです。
一般的に、痛みの原因は圧力だと言われています。
検査のために入れた水や造影剤によって子宮に圧力がかかり、それが痛みとして感じる場合があるそうです。
ホルモン剤、排卵誘発剤の注射
次に、痛みを伴うとすれば、様々な治療段階で行われる注射があります。
主に、ホルモン剤の注射や排卵を促すための注射を、治療として行う場合が多いです。
この注射は、筋肉注射なので人によっては強い痛みを感じることもあります。
注射の種類によっては、ひどい場合には副作用として卵巣が腫れてしまったり、腹水が貯まったりすることもあるため、その場合にも痛みを伴います。
採卵
子宮内から卵子を取り出すことを採卵と言います。
この採卵を行う場合には、卵胞に直接針を刺す必要があるので、こちらも痛みを伴います。
一般的な針の外径は約1.2mmほどで、病院によってはそれよりも細い採卵針を使用する場合もありますが、いずれにしても針を刺すため痛みが出てしまいます。
ただし、卵胞の位置によっても痛みは異なり、採取する箇所の数によっても痛みは違ってきます。
もし複数箇所からの採卵を行う場合や、卵巣の位置によっては麻酔を使って処置することが可能なので、まずはきちんとお医者さんと相談することが肝心です。
痛みを和らげる方法はあるの?
これらが治療として必ず通る道だと言われても、毎月行う場合もありますし、できれば痛くない方がいいですよね。
まず痛みを和らげる直接的な方法としては、医師と相談し、適宜麻酔を使うことです。
もちろん、場合によっては使えないこともありますが、聞いてみることで不安が解消されるかもしれません。
麻酔に関しては、先生から提案してもらえることもありますが、患者さんからの申し出も大切です。
特に、痛みに弱いタイプだと思う方は正直にそう伝えておくといいですよ。
また、疼痛コントロールには、先生との信頼関係を築くことも大切です。
人は緊張やストレスを感じていると、より痛みを感じやすいと言われています。
ただでさえ、不妊治療という不安を抱えているので、検査や治療時に体がこわばってしまうこともあります。
リラックスしていると、血流が増えて着床率も高くなるとも言われていますので、心配なことはきちんと事前に先生に聞いてみることも重要です。
不妊治療で太るって本当?
痛みの他にも気になるのは、ホルモン治療を行う関係で太りやすくなるのではないか、ということではないでしょうか。
ただ、実際に太るかどうかは個人差によるものが大きいというのが実際です。
それでも、原因を知っているかどうかで対策も異なりますから、ここからは太ると言われる原因を見ていきたいと思います。
太ると言われる主な原因はコレだった!
不妊治療で影響を受けやすいものに、ホルモンのバランスがあります。
もともと女性は、月経周期によって、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンの2種類がバランスを取りながら体を作っています。
このバランスが、不妊治療の注射や内服薬で崩れることが太る原因の一つとして考えられます。
しかし、これは薬の副作用と言うわけではありません。
例えばホルモンのバランスが崩れることで、一時的に食欲が増進してしまった結果、太るということが考えられます。
また、むくみやすくなるので体内に水分が蓄えられ、体重が増えたり、見た目が少しふっくらすることもあります。
ですから、不妊治療で太ると言うよりは、ホルモンバランスが崩れやすいので太ることもある、というのが正しい知識だということです。
太らない工夫をするなら?
では、どうしたら不妊治療をしていても太らないでいられるのでしょうか。
答えはとてもシンプルで、きちんと体重を測り、食べる量をまずは把握することです。
これは、不妊治療中だけに限らず健康のためにも重要なことです。
また、食欲が止まらない!という場合でも、ホルモンのバランスが今崩れているんだ、と理解しておくこともとても大切です。
なぜなら、ストレスもまた太る原因になり得るからです。
不妊治療を受けるということで抱えるストレスもどうしてもあるので、少しでもうまく自分の体とは付き合っていきたいですね。
悪い噂に惑わされないで、正しい情報を集めよう
正直なところ、不妊検査をするだけでも精神的に辛いと感じることもあります。
しかも、なかなか人に相談しにくいことも多いですが、とにかく不妊検査・治療は早めが肝心です。
なぜなら、一度卵子や精子の力が無くなってしまうと、それを取り戻す治療方法は今の所ほとんど無いと言われているからです。
「もっと早くに検査しておけば」「あの時、治療を始めていれば」と後悔することのないようにするためにも、不安なことは溜め込まないでください。
確かに、痛いことも辛いことも、不妊治療を進める中で出てくると思います。
それでも、漠然とした不安を抱えているのと、きちんと理由がわかった上で治療を受けるのとでは全く感じ方も違います。
今回の記事がきっかけで、きちんと理由や対処方法を知った上で、不妊治療に臨んでもらえたら幸いです。