「夫婦の生命保険を見直したい」「子どもができたら学資保険に入るべき?」「いつかはマイホームが欲しいけどお金の貯め方がわからない」など、お金の悩みは尽きることがありません。
こうしたお金に関する悩みについて、家計の収支バランスを把握した上、あらゆる角度から長期的なアドバイスをくれるのが“ファイナンシャルプランナー”です。
今回は、このファイナンシャルプランナーに相談を今後の人生計画に活かす方法について解説します。
ファイナンシャルプランナーとは?
ファイナンシャル(financial)とは、英語で「財政の、金融」のといった意味があります。
また、planは単純に「計画、設計」という意味です。
つまり、ファイナンシャルプランナー(以下ファイナンシャルプランナー)とは、「お金に関する計画を立てる人」といえます。
では、ファイナンシャルプランナーに具体的に相談できる内容について解説します。
ファイナンシャルプランナーは「くらしとお金」のスペシャリスト!
NPO法人日本FP協会によると、ファイナンシャルプランナーとは、相談者の人生の夢や目標を叶えるために、現在の経済状況やライフスタイル、家族構成等を踏まえた上で、長期的な資金設計を立て、多角的かつ経済的アドバイスを行い、その実行をサポートする仕事です。
日本FP協会が認定するファイナンシャルプランナーには、国家資格の「1級ファイナンシャルプランナー技能士」に相当するCファイナンシャルプランナーと、「2級ファイナンシャルプランナー技能士」相当するAファイナンシャルプランナーがあり、Aファイナンシャルプランナーは全国に約15万6千人、Cファイナンシャルプランナーは約2万1千人存在するようです。
一方、2002年に国家資格として「ファイナンシャルプランナー技能士」ができて以降、の018年までの累計人数は、「1級ファイナンシャルプランナー技能士」が約2万人、「2級ファイナンシャルプランナー技能士」が約28万人となっています。
ファイナンシャルプランナーの仕事とは?
ファイナンシャルプランナーの活動例としては、保険会社の社員が保険の営業利益を上げるためにファイナンシャルプランナーの資格をとったり、企業専任のファイナンシャルプランナーなら従業員の人生計画についての相談窓口になっていたりといった例があります。
経験豊富なベテランファイナンシャルプランナーであれば、全国各地を飛び回り、資産運用に関する講演会や無料相談会を開いているケースもあります。
ファイナンシャルプランナーにはどんな相談ができる?
ファイナンシャルプランナーには、以下のような内容を相談することができます。
相談内容 | 例 |
---|---|
家計管理 | 日々の家計管理、将来の貯蓄方法など |
教育資金 | 教育資金の準備方法、奨学金の活用方法 など |
住宅資金 | 住宅ローンの借り方、繰り上げ返済や借り換え方法 など |
保険 | 保険の仕組み(見直し)、必要な死亡保障、医療保障の考え方 など |
資産運用 | 投資信託の仕組み、退職金の運用方法 など |
相続・贈与 | 遺言や相続の準備方法、子や孫への資金贈与の方法 など |
税制 | 医療費控除、配偶者控除、所得税の仕組み など |
老後のライフプラン | 老後の生活設計、老後の生活資金の準備方法 など |
年金・社会保険 | 公的年金制度の仕組み、社会保障制度の仕組み など |
新婚さんにオススメ!ファイナンシャルプランナーへの具体的相談事例とは?
では、上記のテーマについて、より具体的な相談内容とその活用方法について詳しくみていきます。
結婚し新たな家庭を築くと、家計の管理やマイホーム資金の確保、子どもの生命保険や学資保険、今後の教育資金など、知っておきたい情報がたくさんあります。
まずは、「家計と教育資金」「マイホーム購入」、この2つのテーマに絞り、ファイナンシャルプランナーに相談できる内容や体験談などを紹介しましょう。
家計管理を徹底すると、子どもの進学先が見えてくる!?
結婚するまでは家計簿をつけていない人が多いと思いますが、結婚後は夫婦共通の財布をつくるのか、毎月の貯金や食費、雑費等の割合をどうするかなど、家計管理の課題はたくさんあります。
こうした家計管理の基本についても、ファイナンシャルプランナーに相談することが可能です。
例えば、ある主婦は、ファイナンシャルプランナーのアドバイス通りに家計簿を1ヶ月継続した結果、毎月の支出入を徹底分析することで自身の買い物ぐせに気付き、クレジットカードの利用を激減させることができました。
このように、毎月コツコツと家計を管理していくことは、将来の貯蓄へとつながっています。
例えば、ある40代の夫婦は子どもを私立中学へ進学させたいと考えていましたが、ファイナンシャルプランナーに相談後は進学プランを見直すことになりました。
中学校から大学まで私立に進学した場合の学費の膨大さや、学費以外にも学習塾代や習い事代が掛かることに改めて気付いたのです。
ファイナンシャルプランナーは、相談者から得た家計の詳細なデータと子どもの希望進学先を踏まえ、経済的に自立するまでの教育費総額を算出し、グラフにしてわかりやすく教えてくれるので、学資保険を決める際にも大変参考になります。
マイホームの悩みもファイナンシャルプランナーにお任せ!
結婚するといつかはマイホームを夢見る方も多いと思いますが、そのための資金調達やローンの借り方、購入後の繰り上げ返済やローン借り換えなど、マイホームに関する悩みについてもファイナンシャルプランナーの出番です。
ある30代の女性は、ファイナンシャルプランナーに相談したことで住宅ローンの変動金利が高すぎる事に初めて気づき、銀行に掛け合うことで利率が半減しました。
また、「世帯収入に対するマンション購入が妥当だったのか」と不安を感じていた女性は、ファイナンシャルプランナーによる分析結果から「購入は間違っていなかった」と安心することができ、今後の繰り上げ返済のアドバイスも得ることができました。
一軒家を購入した場合に見落とされがちなのは、ローン完済後も「大型家電の買い替え」や「水まわりのリフォーム」、「屋根の吹き替え」など一生に渡って定期的なメンテナンスが必要なことです。
ファイナンシャルプランナーは、こうした長期的に掛かる経費も含め、相談者が死ぬまでの一生分の支出を調べ上げて提示してくれるので、マイホーム購入を考える家庭にとって心強いパートナーになります。
老後の生活も見通した経済的なアドバイスがもらえる!
幅広い年代の方がファイナンシャルプランナー資格を持ち、ファイナンシャルプランナーの専門事務所だけでなく、証券会社や銀行など様々なところでファイナンシャルプランナーは活躍していますが、最も多いのはやはり、生命保険・損害保険の分野です。
ファイナンシャルプランナーは、相談者との話し合いの中で、相談者の希望するライフスタイルや将来の夢、詳細な経済状況などを聞き出し、長期的な視野で資産に関するアドバイスをしてくれます。
特に生命保険の分野は、住宅ローン同様に高額で長期的に支払わなければならないものなので、保険の選び方に迷った時はファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談して保険を見直そう!
就職後、親に言われてなんとなく生命保険に入り、そのまま一度も見直しをしていないという人はいませんか。
ある20代の男性は、ファイナンシャルプランナーに保険の見直しを依頼した結果、意味もわかっていない特約や高額な入院給付金が設定されていることがわかりました。
ファイナンシャルプランナーに保険の相談をすると、終身や掛け捨て、養老保険といった保険の基本的な仕組みも教えてもらえるし、現在入っている保険内容の長所と短所を確認したり、よりよい保険を紹介してもらえたりします。
子どもの人数や進学先なども踏まえた上、保険の積立金や払い戻し価格も含めて家庭の一生分の経済状況を分析することで、現在加入している保険が適切かどうかを見極めることができるのです。
※生命保険や医療保険については、「結婚したら考えたい生命保険!種類や違いをやさしく解説!」でも紹介していますので、併せてご覧ください。
老後のくらしや資産運用もファイナンシャルプランナーに相談して解決!
若くて健康なうちは、保険や年金については支払うことで精一杯で、それらを使う場面を想像するのは難しいでしょう。
しかし、定年が近づいてくると、急に年金生活がリアルに見えてきます。
ある50代の女性は、老後のくらしに不安を覚えたため、ファイナンシャルプランナーに年金生活が開始以降生涯の支出と現在の貯蓄、保険等を分析してもらうことで、「なんとか生活していけそうだ」と安心したそうです。
一方で、現代日本の高齢化社会においては、退職後に現役時代の貯蓄が底をつき、公的年金のみで細々と生活する世帯が増えている側面も見逃せません。
アメリカの場合、こうした高齢社会のリスクを踏まえ、現役時代から投資信託などの資産形成を進めることで1998年以降ここ20年ほどの退職世代の資産が約3倍に増えています。
しかし日本の退職世代の金融資産は、1994年以降横ばいのままです。
このような老後のくらしについての不安も、ファイナンシャルプランナーに相談すれば、投資信託など初心者でも扱いやすい資産運用の方法を教えてもらえるので、老後の生活資金を確保することができるのではないでしょうか。
ファイナンシャルプランナー相談の相場は?無料診断もオススメ!
個人がファイナンシャルプランナーに相談したい場合、有料相談と無料相談の2パターンがあります。
ここでは、有料で相談する場合の相場と、無料でファイナンシャルプランナーに相談できる方法を解説します。
気軽な無料相談も可能!ファイナンシャルプランナーを決める際のポイントとは?
いざ個人がライフプランについてファイナンシャルプランナーに相談したいと思った時、インターネットで検索を掛ければ意外と簡単にファイナンシャルプランナーの無料相談が見つかることがわかると思います。
無料相談が成立しているのは、相談者がファイナンシャルプランナーに相談する中で保険に加入することがあるため、ファイナンシャルプランナー側が保険会社から手数料を受け取れる仕組みがあるからです。
無料ファイナンシャルプランナー紹介サイトから検索すれば、自力でファイナンシャルプランナーを選ぶこともできます。
中には、新築を購入した際に無料でファイナンシャルプランナーに相談できるサービスがセットになっていたり、自転車を購入した際にファイナンシャルプランナーが訪問してくれる無料サービスがついていたりする場合もあります。
では、自分でファイナンシャルプランナーを選ぶ場合のポイントについて見てみましょう。
安心できる担当を見つける!おさえておきたいポイント
まずは、ファイナンシャルプランナーの資格を持っているかどうかを確認するのはもちろんですが、ファイナンシャルプランナーの資格には1級~3級といったレベルの違いがあるので注意が必要です。
他にも、相談者が知りたい分野を得意分野としているファイナンシャルプランナーを選ぶこと、長期的に相談に乗ってもらうために近くに住むファイナンシャルプランナーを選ぶこと、などのポイントがあります。
中でも重要なのは、情報保護の姿勢を徹底しているファイナンシャルプランナーかどうかという点です。
ファイナンシャルプランナーに相談する内容は、家計の経済状況やマイホーム購入計画など、家庭の個人情報がたくさん含まれるため、大規模のファイナンシャルプランナー事務所に所属しているなど守秘義務が堅持できるファイナンシャルプランナーを選ぶことが大切です。
日本FP協会による無料相談会とは?
日本FP協会では、毎年11月の第1土曜日を「ファイナンシャルプランナーの日」と定め、全国各地で「くらしとお金に関するセミナー&相談会」を開催しています。
セミナーでは、先ほど述べた通り家計管理や教育資金確保、老後のくらしなどファイナンシャルプランナーに相談できる基本的な内容はもちろん、高齢者が多い地域であれば「エンディングノートをつくってみよう」といった特色あるワークショップが開かれる場合もあります。
「個人的にファイナンシャルプランナーに相談するのは敷居が高い」と感じている人は、まずはこういったセミナーから参加してみるのも一つの方法です。
ファイナンシャルプランナーへの有料相談、相場は5,000円~10,000円!
上記のような無料相談では満足できず、もう少し踏み込んで具体的な相談したい人のために、有料相談もあります。
平成23年、NPO法人日本FP協会が行った業務調査によると、ファイナンシャルプランナーの有料相談の相場は以下の通りです。
相場(1時間あたり) | 割合 |
---|---|
5,000円未満 | 25% |
5,000~10,000円未満 | 41% |
10,000円~20,000円未満 | 28% |
20,000円以上 | 2% |
高いと感じる人もいるかもしれませんが、ファイナンシャルプランナーに相談する内容は大きなお金が動く話が多いので、それを踏まえる致し方ない部分もあるのかもしれません。
なお、上記の料金はシンプルな相談料でありライフプランの提案書を作成したり、場合によっては税理士や弁護士などと連携したりして話を進める場合は、別途料金がかかることもあるのでご了承ください。
ファイナンシャルプランナーに相談したことを実行して、初めて夢に近づく!
これまで様々な相談事例を挙げましたが、相談者は、ファイナンシャルプランナーからいただいた具体的なアドバイスを受けて行動に移さなければ意味がありません。
例えば、家計管理の中で「通信費を抑えたいならスマホを格安スマホにする」「子どもの教育費が心配なら必ず学資保険に入る」といったアドバイスを受ければ、即座に実行しましょう。
「スマホを変えるのはまた今度にしよう」と、問題を放置してしまうと結局何も状況は変わらないことになります。
アドバイスを受けたことを実際にやってみることで、初めて相談者の目標(夢)に一歩近づくのです。
皆さんも、お金や保険、ライフプラン全般に関する悩みがあれば、まずは気軽な無料相談から利用してみてはいかがでしょうか。