「共働き世帯」が「専業主婦世帯」を大きく上回る現代社会において、仕事と家庭の両立に悩む女性は少なくありません。
そこで今回は、主に核家族のワーキングマザーを対象とした「仕事と家庭を両立させるためのコツ」と「知っておきたい支援サービス」を紹介します。
仕事と家庭の両立に悩む女性の実態とは!?
祖父母の協力を得られない核家族では、夫婦が共働きで一日の大半を仕事に費やした場合、どうしても家庭の用事に割ける時間が短くなりがちです。
それでもまだ子どもが産まれていない新婚時代のうちは、なんとか家事をこなせるかもしれません。
しかし、子どもが産まれると一気に家庭の用事が増え、仕事と家庭のバランスを取れなくなることがあるようです。
いまだ伸びない男性の育児休暇取得率!
平成26年の厚生労働省のデータによると、女性の育児休暇取得率は8割を越えているものの、男性の育児休暇取得率はいまだ3%程度にとどまっており、男性が育児休暇を取らないのが現実です。
そのため、仕事を休んで日中に家庭の用事や育児を担当するのは妻である場合がほとんどで、どうしても男性よりも女性の方が家事・育児の負担が大きくなる傾向があります。
産後のホルモンバランスの乱れには要注意!
女性は出産後にホルモンバランスが乱れる場合があり、原因不明の体調不良や、気持ちが不安定になり「産後うつ」の状態になる女性もいます。
このような状況で産休明けに仕事に復帰したとしても、これまで通りに仕事をバリバリこなし、家事も完璧に処理しながら、泣いてばかりの赤ん坊の世話も笑顔で頑張れる、そんなスーパーマンのような女性はほとんどいないと思いましょう。
産休開けは無理をせず、自分のキャパシティをよく見極めながら仕事量を調節することが大切です。
頼れる人が少ない孤育て(子育て)
インターネットの投稿サイトでは、毎日子育てや家庭の悩みを吐露する声が溢れています。
平成22年「共育て共育ち白書」編集委員会が0~9歳の子を持つ横浜市内の600人の母親を対象に行ったアンケートによると、働く女性のうち88%、専業主婦の場合でも80%の女性が「子育てをしながら『助けて!』と思った瞬間がある」と答えたそうです。
しかし、そのうち実際に子どもの一時預かりサービスを利用したことがある人は14%、病児保育を利用したことがある人は4%、ベビーシッターを利用したことがある人は5%でした。
誰かを頼りたいと思う瞬間があるにも関わらず、実際には外へ助けを求めず子育ての悩みを抱え込もうとする孤独な子育て(孤育て)の実態が明らかになっています。
明日からできる!仕事と家庭の両立のためのコツとは?
仕事と家庭を両立させるための支援サービスを紹介する前に、どなたでも明日から始められる「仕事と家庭の両立のコツ」を大きく3つに分けて紹介したいと思います。
夫婦間の「報連相」を大切にしよう!
まず、多忙なワーキングマザーが仕事・家庭の両方を成り立たせるには、夫の協力が不可欠です。
どうしても母親に偏りがちになる家事を夫が進んで引き受け、夫婦で分担するのが理想ですが、そう上手く行とは限りません。
その理想に近づけるためには、夫婦間の報告・連絡・相談(報連相)が重要です。
家族に関わることなら些細なことでもいいので、夫婦が互いに報告・連絡し合い、どちらか一人が抱え込むことなく、相談し合います。
例えば、新婚のうちは毎日の食事や掃除の分担、子どもができたら保育園の送り迎え、病児保育をどうするかなど、細かく夫婦で話し合っておきましょう。
夫婦間のコミュニケーションがしっかり取れていれば、仕事も家庭もスムーズに運びやすくなります。
家事には優先順位をつけ、家事そのもの減らす工夫を!
働き始めると、炊事洗濯などの家事に割ける時間はどうしても限られており、育休中のペースで家事をこなしていると、時間が足りなくなるのは目に見えています。
その中で、仕事も家庭も支障なくスムーズに行うには、以下のような工夫が必要です。
家事に優先順位を付ける
- 食器洗いを後にして子どもと先に風呂に入る
- 体調を整える前に早く寝て、食器洗いは朝にする
- 寝る時間を早めるためにお風呂と食事の時間を入れ替えるなど
家事そのものを減らす
- 毎日していた洗濯を2日に1回に減らす
- 食器洗いを手洗いから食洗器に変える
- 調理の際にフードプロセッサーや圧力鍋など時短アイテムを使う
- 休日に作り置きをしておき、平日に料理しなくて済むようにするなど
オンとオフの切り替えを明確にし、ストレスを発散しょう!
最後に、仕事と家庭を両立させるコツとして、オンとオフの切り替えを明確にすること、ストレス発散法をたくさん見つける事を挙げます。
子供が横にいる状態で持ち帰った仕事をしたり、仕事中に家事のことを考えたりすることは、仕事にも家庭にも悪影響しかありません。
そうならないように、「やる時はやる」「休むときはしっかり休む」という姿勢で、オンとオフを切り替えることを心がければ、仕事と家庭の両方の効率をアップさせることができます。
特に、趣味をたくさん持ち、時には子どもを預けて夫婦でデートをするなど、休日のストレス発散法をたくさん見つけておくことがオススメです。
ストレスを発散させて気持ちをリフレッシュすることは、次の仕事や家事へのエネルギーにつながります。
ワーキングママのための心強い支援サービスとは?
平成9年に共働き世帯が専業主婦世帯を上回って以降、共働き世帯は増加の一途をたどっており、企業の子育て支援制度も昔に比べれば整ってきています。
平成22年以降は、共働き家庭の急増に伴い、日中の家事代行や残業が長引いた際の保育園のお迎え、保育園から習い事への送迎など、きめ細やかな要望に応える民間業者や地域の子育て支援サービスが広がっています。
まだ利用した経験の少ない人も、困った時の保険として把握しておきましょう。
子育てに優しい企業を選び、子育て支援制度はフル活用しよう!
まず、多くの企業が育児中の社員を対象に「育児休暇制度」や「時短勤務制度」を設定しているので、利用できる制度は全て活用しましょう。
また、企業によっては職種を変更できる場合があったり、事情所内に保育施設を設置したりと、子育て環境の改善に力を入れているところもあるので、そういった就職先を最初から選ぶことが肝心です。
共働き世帯の味方!家事代行サービス
家事代行サービスとは、昔でいう家政婦さんのことで、依頼先の自宅に赴き、掃除をはじめ、炊事、洗濯など一般的な家事をスタッフが家主の代わりに行うサービスのことです。
主に家事経験の長い女性スタッフが、依頼先のお宅にある掃除道具や調理器具を使って家事を行います。
ただし、ハウスクリーニング業者とは違い専門的な掃除器具を持参するわけではないので、エアコンを分解して清掃するようなハイレベルなサービスはできませんが、その分比較的安い料金で幅広い家事をお願いできるのが家事代行サービスの利点です。
どうしても仕事が多忙を極める時期には、家事を外注することで心にゆとりが生まれ、育児に集中できることもあるでしょう。
ファミリー・サポート・センターに登録しよう!
ファミリー・サポート・センター事業(いわゆる、ファミサポ)とは、全国で833の市町村が実施(平成28年度現在)している子育て援助活動支援事業で、乳幼児や小学生児童のいる家庭を対象とし、子どもを預かってほしい会員と預かってくれる会員とをマッチングさせ、連絡、調整を行うものです。
1時間700円~1000円程度で、きめ細やかな預かりサービスを行ってくれます。
ファミサポの援助活動例
- 残業で間に合わない保育園のお迎えに行く。
- 保育園の保育時間外に子どもを預かる。
- 小学生なら放課後学童保育の時間に子どもを預かる。
- 親の急病時に子どもを預かる。
- 上の子の学校行事の際に下の子を預かる。
- 冠婚葬祭の時に子どもを預かる。
- 育児に行き詰って悩みを抱える母親のリフレッシュのために子どもを預かる。
ママ同士が互いに支え合う民間サービスも登場!
ファミサポを利用したくても、申し込む際の面談や書類の提出が億劫と感じる人も少なからずいます。
そこで、ファミサポよりも気軽にママ同士が助け合えるシステムを構築した民間サービスも始まっています。
例えば、株式会社AsMamaが行っている、子どもの送迎・預かりサービスをワンコインから頼り合える「子育てシェアサービス」です。
会員はスマホアプリを通してヘルプを出すことで、援助してくれる会員を自ら探すことができる仕組みになっており、全国で約3万人が登録(2015年時点)しています。
登録自体は無料なので、仕事と家事を両立させるための保険として登録しておいても損はないでしょう。