なかなか治らない頭痛、その原因は体内ではなく「環境」にあるかもしれません。
特にマンションや新築戸建てに住んでいる方は、換気不足による頭痛に注意しましょう。
悩ませている頭痛の原因は「換気不足」なのかも?
昔に比べて近年の住宅は気密性に優れているため、自然に室内の空気が循環されることはありません。
夏や冬の時期にはエアコンなどを使って室温を調整しているので、わざわざ外の暑い(冷たい)空気を室内に入れようとは思わないでしょう。
しかし、建築技術が向上して住宅の気密性が増したことから、空気が入れ替わらず健康に影響を及ぼすようになってきているのです。
換気不足が私たちの健康に作用する要素として、室内の二酸化炭素濃度、シックハウス症候群の2つが原因に挙げられます。
室内の二酸化炭素濃度が体調に与える影響とは?
建築物環境衛生管理基準を見てみると、室内の二酸化炭素濃度は1000ppm以下であることが求められています。
2500ppmを超えると眠気が起きて思考能力が低下し、さらに室内の二酸化炭素濃度が3万ppm以上になると、めまい・吐き気・頭痛といった症状が表れてきます。
そして、二酸化炭素の濃度が高い部屋では、臭気やハウスダストに分類される汚染物質の濃度も比例して高いことが多く、アレルギーやアトピー性皮膚炎、ぜんそくを引き起こす原因になります。
頭痛を起こす「シックハウス症候群」とは?
建築技術の発達により住まいの気密性が向上したことは、シックハウス症候群と呼ばれる体調不良を起こす原因にもなっています。
私たちが快適に生活できるように住宅の断熱化が進められ、冷房・暖房の効率を良くするために気密性を高めた住宅が建築されるようになりました。
しかし、建材から発生する化学物質によって室内の空気が汚染されやすい環境をつくり、結果的には健康被害をもたらすようになりました。
シックハウス症候群では、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹といった症状が表れ、敏感に反応してしまう人もいます。
影響は個人差が大きく、同じ部屋にいるのに全く症状が出ない人がいることも知っておきましょう。
換気をすべき理由は?換気にはこんな役割が!
酸素を供給する
換気をしない部屋にいて、頭痛が起きるのは二酸化炭素の濃度が高くなり、酸素不足に陥っているからです。
そのため、換気をして酸素を取り込むことで頭痛や集中力の低下は改善可能です。
特にガス器具やストーブなどを利用している時は、換気は必須となるので小まめに窓を開けて空気を入れ替えましょう。
部屋の湿気やホコリの除去
部屋を閉め切りにしておくと、湿度が高くなりカビやダニが発生しやすくなります。
カビ・ダニは喘息などのアレルギーの原因になるので要注意です。
また、室内には、洋服や布団といった、ホコリの発生元となる物が至る所にあるため、換気によって、空気中に舞っているホコリを除去することが重要になります。
換気は、カビやダニの対策としてはもちろん、ハウスダストアレルギーの予防にも有効です。
もちろんシックハウス症候群を引き起こす有害物質を除くのにも役立つので、体調に違和感を感じたら積極的に換気をすると良いでしょう。
部屋のニオイを取り除く
長い間室内にいると気付きにくいものですが、部屋には料理の匂いからタバコの匂い、ペットや自分の体臭など、様々な臭いが存在します。
匂いに敏感な人は、強い匂いのついた部屋にいるだけでも気分が悪くなってしまうため、時折風を通して匂いをリセットした方が良い場合もあります。
また、自分の家の匂いは慣れてしまい、感じにくくなるので、お客さんなどを招く時は、換気をして一度匂いを除去することをおすすめします。
インフルエンザの予防にも
インフルエンザの院内感染が起こったり、学校で流行する場合に考えられる原因の1つに、換気不足があります。
インフルエンザのウイルスが蔓延している空気は、そのままにせず、動かす必要があります。
感染を防ぐためにも、小まめに空気の入れ替えをしなければならないうえに、部屋の面積が広くなる程、必要な換気の回数も増えます。
インフルエンザや風邪の予防には、窓やドアを閉め切って外気が入り込むのを防ぐより、窓を開けて風邪を通した方が効果的なことを覚えておきましょう。
換気するなら「空気の流れ」を意識して!
密閉された部屋で過ごしていると、想像以上に空気が汚れてきますので、積極的に換気をするようにしていきましょう。
換気で大切になってくるのは空気の入口と出口を意識することで、意図的に空気の流れを作っていかなければなりません。
効率良く換気ができるように、玄関・窓・換気扇を効果的につかって室内の空気を入れ替えていきたいので、それぞれでとくに意識したいポイントを解説していきます。
その1.玄関から風を通すとき
玄関から窓までが直線で結ばれているなら、玄関と窓を開けて、空気の通り道をつくるようにしましょう。
玄関は全開にしておく必要はなく、10cmほど開いていれば、空気の出口・入口として機能します。
すき間を確保して閉まらないようにドアストッパーを挟んでおけば、換気不足を解消しつつ、防犯のためにチェーンロックをして施錠しておくことも可能です。
玄関と窓が直線で結ばれていない間取りの住宅の場合、玄関をつかった換気は効果が薄いので、自宅の間取りを把握したうえで玄関を換気に取り入れてください。
その2.窓から換気する場合
窓をつかって換気をする場合は、窓の両サイドを10cm開けて、部屋全体に外の空気が行き渡りやすいようにし、空気の出口・入口を確保することを意識してください。
部屋の出入口のドアは開けておくと、換気効果を高められます。
換気したい部屋に二つの窓がある場合は、両サイドを開けておく必要はなく、二つの窓の片側を10cmずつ開けて換気するほうが良いでしょう。
花粉が気になる場合は、レースカーテンを引いておくと、侵入する花粉の量を1/4まで減らすことができると言われています。
その3.換気扇をつかって空気を入れ替える
換気扇は換気をするために、室内の空気を屋外に排出するための装置です。
換気扇をつかうときに気をつけなければならないのは、換気扇を回すだけでは効果がないということです。
そのため、必ず部屋の窓を開け、空気の入口を作ることが肝心です。
せっかく換気扇を回していても、空気の入口が確保されていなければ、空気の流れがつくられず、換気する意味がなくなってしまいます。
換気は空気だけでなく気持ちもスッキリさせる!
換気は、6~8畳の部屋なら空気が入れ替わるのに5分ほどかかると言われています。
冬の寒い時期や夏の暑い時期は気が進まないかもしれませんが、健康な環境を保つためにもぜひ換気を行なうようにしましょう。
換気するべきタイミングは、家に帰宅した直後や、掃除が終わった後など様々ですが、オススメは朝と就寝前の2回です。
起床してカーテンを開けると同時に窓も開放すると、寝ている間にこもった空気が外の新鮮な空気と入れ替わり、リフレッシュできます。
また、布団に入る10分程前に換気をすれば、新しい酸素が部屋に行き渡るので、快適に眠ることが可能です。
新鮮な空気は体調だけでなく、気持ちもスッキリさせてくれるため、気分が落ち込んでいるときに積極的に換気をするようにしましょう。