赤ちゃんにも影響!マタハラの脅威&実際の相談事例の解決策

赤ちゃんにも影響!マタハラの脅威&実際の相談事例の解決策

厚生労働省によると、平成28年に各都道府県の雇用環境均等部へ報告されたマタニティハラスメント(以下マタハラ)に関する相談件数は、約6000件にのぼりました。

単純計算で、1日16件もの相談が寄せられていることになります。

今回は、胎児に影響する深刻なマタハラについて学び、実際に起こった事例と解決策を紹介します。



胎児にも影響を与えるマタハラとは?

胎児にも影響を与えるマタハラとは?

マタハラとはマタニティハラスメントの略で、一般的に「妊娠・出産等をきっかけに職場内で精神的・身体的な嫌がらせ、解雇・降格・減給などの不利益な取り扱いを受ける事」です。

マタハラによる不利益な扱いは、母体に対し、怒りや不安、ストレス等のマイナス感情を抱かせます。

こうした負の感情を長期的に抱えることは、胎児の情緒発達にも影響があるようです。

マタハラのきっかけと不利益な取り扱いの例

マタハラが起こったきっかけ(例) 不利益な取り扱い(例)
  • 妊娠、出産を報告した
  • 妊婦健診のために仕事を休んだ
  • つわりや切迫流産を理由に仕事を休んだ
  • 産前・産後休業を取った
  • 育児休業を取った
  • 解雇された
  • 契約が更新されなかった
  • 正社員からパートへ降格された
  • 減給された
  • ありえない配置転換をされた

全国の労働局に寄せられるマタハラに関する相談は年々増加しています。

日本労働組合連合会の調査によれば、職場に勤める女性のうち4人に1には「マタハラを受けた経験がある」と答えたそうです。

本来、妊娠・出産はおめでたいことであるにも関わらず、祝福されるどころか嫌味を言われたり、酷い場合は降格や解雇を宣告されたりする事例が実際に報告されています。

こうした妊婦に対する不当な取り扱いは、母体に多大なストレスを与えるきっかけになります。

負の感情は胎児に悪影響を与える!?

母親が様々な理由によりストレスを感じると、体内には「カテルコールアミン」というホルモンが発生するそうです。

カテルコールアミンとは恐怖や不安を感じた際に出されるホルモンですが、胎盤を通して赤ちゃんに伝わると、赤ちゃんを慢性的なストレス状態に陥らせ、情緒障害を起こしやすくなってしまいます。

お腹の赤ちゃんの健康な発達を守るためには、母親がストレスを感じることなく生活することが大切です。

よって、マタハラに直面した際には、我慢することなく解決へ向けて動き出すことが重要なのです。

二種類のタイプ別にマタハラの実態を紹介!

二種類のタイプ別にマタハラの実態を紹介!

厚生労働省が平成29年7月に策定した指針によると、職場でのマタニティハラスメントは大きく分けて2種類のタイプがあるようです。

一つは「制度等の利用への嫌がらせ型マタハラ」で、もう一つは「状態への嫌がらせ型マタハラ」になります。

それぞれについて具体例と共に詳しく見てみましょう。

「制度等の利用への嫌がらせ型マタハラ」とは?

妊娠・出産を機に職場で利用できる制度としては、以下のように様々なものがあります。

男女雇用機会均等法を対象とする制度 育児・介護休業法が対象とする制度
  • 産前休業
  • 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置
  • 身体に負担の少ない業務への転換
  • 変形労働時間制での法定労働時間を超える労働時間の制限
  • 時間外労働及び休日労働制限並びに深夜業の制限
  • 坑内業務や危険な有害業務の就業制限 など
  • 育児休業
  • 子の看護休暇
  • 所定外労働の制限
  • 時間外労働の制限
  • 深夜業の制限
  • 育児のための所定労働時間の短縮措置
  • 始業時刻変更等の措置 など

こうした制度等を利用した際に解雇や嫌がらせなど不利益な扱いを受けたり、制度の利用自体を妨害されたりするタイプのマタハラが「制度等の利用への嫌がらせ型マタハラ」です。

「制度等の利用への嫌がらせ型マタハラ」の相談事例

このタイプのマタハラは、産前休業や育児休業などを機に退職や降格を迫られたり、業務転換に対して嫌味を言われたりする事例が多いようです。

  • 産前休業を取得したら、「○○さんのせいで、こっちの仕事が大きくなるのだけど、分かっているの?」と言われた。
  • 立ち仕事を免除されたことに対して「あなたばかり座って仕事をしてずるい」と言われた。
  • 病院に勤務する理学療法士の女性労働者が、身体に負担が少ない業務変更を希望すると、降格させられ、復帰後も以前の役職に復帰させてもらえなかった。
  • 切迫早産で入院していたら、突然「明日から出勤できないなら退職してもらう、子どもの命が大切でしょう」と言われ、解雇された。
  • 男性労働者が育児休業を上司に申請したが「男性が育休なんてあり得ない」と却下された。
  • 「育児休暇で長く休むのなら、退職してもらいます」と言われた。
  • 「繁忙期に自分だけ定時で帰るなんて、周りに迷惑を掛けている自覚はあるの!?」と言われた。
  • 有期雇用の女性社員が、出産休業後に育児休暇を取ることを企業側に拒否され、さらに期限前にも関わらず雇用の終了を宣告された。

「状態への嫌がらせ型マタハラ」とは?

もう一つは、「状態への嫌がらせ型マタハラ」です。

これは、「妊娠・出産する(した)状態そのもの」を理由として、解雇など不利益な扱いを受けたり、嫌がらせを受けたりするタイプのマタハラになります。

状態とは「①妊娠・出産したこと、②出産したこと、③産後休業を取得したこと、④つわり等で仕事の能率が下ったこと」を指します。

「状態への嫌がらせ型マタハラ」の相談事例

このタイプは同僚の妊娠を祝うことなく、批判や嫌味を言ったり解雇を迫ったりする例が見受けられます。

  • 妊娠した際に、「おめでとう」ではなく「仕事が増える」と言われた。
  • 妊娠している女性社員が、男性上司に「腹ぼて」「胸が大きくなったね」などと言われた。
  • 上司に妊娠を報告すると、「退職した方がいいんじゃないか」と言われ、無言の圧力がかかり、強いストレスを感じた。
  • 私立幼稚園に勤務していた女性が園長に妊娠を方向すると「結婚もしていないのに妊娠するなんて」と批判し、さらに医師からが絶対安静と言い渡されているにも関わらず無理やり出勤を促し、女性は流産してしまった。
  • 産後、以前働いていた職場に再雇用してもらえることになったが、「在職中に妊娠出産で迷惑をかけたのだから研修中は無休で働いてもらう」と言われた。

マタハラを受けた場合の解決策と防止策を紹介!

マタハラを受けた場合の解決策と防止策を紹介!

では、実際に会社等でマタハラを受けてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。

マタハラは、我慢してやり過ごそうとしても状況が改善されることはなく、むしろ黙っているとさらに状況が悪化してしまうこともあるようです。

最後に、マタハラを受けた時に取るべき態度と相談窓口について紹介します。

はっきりと“マタハラNO!”の意思表示をしよう

マタニティハラスメントを受けた際には、「やめてください」「私は嫌です」というように自分の意思を相手にはっきりと伝えることが大切です。

黙って受け流していると、退職を促されたことや嫌味を言われたことも「黙認している(YES)」と受け取られてしまうかもしれません。

企業は、法律によって「マタハラに対して迅速かつ適切な対応措置を取る事」が義務付けられているので、堂々と立ち向かいましょう。

まずは社内の窓口を探し、相談しよう!

マタハラが起こるのは、妊娠・出産をする本人が悪いのではなく、会社の問題です。

多くの企業では、会社の人事労務などにおいてマタハラに対する相談窓口を設けているので、まずはそちらに相談してみましょう。

いきなり会社の窓口に相談するのが不安であれば、信頼のおける上司や先輩に相談したり、労働組合に相談したりする方法もあります。

社内に味方がいなければ、社外の機関に相談しよう!

会社がマタハラに対する意識が低く、社内で相談できそうな人がいないこともあるでしょう。

その場合は、厚生労働省管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」など社外の機関に相談しましょう。

この機関は、マタハラの相談に乗るだけでなく、会社への事実確認や指導も行っています。

電話相談は無料で匿名でもよく、訴えた本人のプライバシーは厳守してくれるので安心です。

裁判を起こし、解雇の撤回や損害賠償求めよう!

妊娠・出産に伴う深刻なマタハラに対しては、裁判で訴えることで降格や解雇の無効化、さらには損害賠償を請求できる可能性があります

突然の解雇宣告は生活に大きく影響を及ぼしますし、ストレスによる胎児への負担も心配です。

裁判を起こすとなると、一人の力ではどうしようもできないので、まずはパートナーと一緒に弁護士に相談しましょう

また、弁護士の介入は、上司との話し合いへの同席や代理人交渉など、裁判以前の段階でも相談・依頼することができます。

会社としても世間体からマタハラトラブルは大事にしたくないため、弁護士が交渉にあたるとより穏便かつスムーズに問題を解決できる可能性があります。

「マタハラが一向に改善されない」「職場にいるのが辛すぎる」という時は、早めの相談がオススメです。

弁護士にはそれぞれ専門や得意分野があるため、必ずしも全員がマタハラ問題に精通しているという訳ではありません。

相談する時は、労働やハラスメント問題に詳しい先生を訪ねるのがベストです。

どんな弁護士を探せばよいのか分からないという時は、日本法規情報で無料相談を行っていますので、活用してみましょう。

マタハラを未然に防ぐためにはどうすれば良い?

妊娠・出産に伴う時短シフトや業務変更等は、大切な権利ではあるものの、同僚や上司に負担を掛ける一面も少なからずあるのは事実です。

そのため、お世話になっている周囲の人々には、日頃から感謝の気持ちを伝えておくことが大切です。

また、会社へ迷惑をかけないようにするためには、妊娠がわかり次第「就業規則」を読み直した上で上司に相談し、産休や育休を取る際には「事前に復帰時期を明確にしておく」ことも重要です。

こうした日頃の言動や事前の行動が、マタハラ防止につながります

マタハラは一人で悩まず、誰かに相談することが大切

マタハラは一人で悩まず、誰かに相談することが大切

平成29年1月以降、「男女雇用機会均等法」及び「育児・介護休業法」が改正されたことにより、事業主に対して以下のことが義務化されました。

マタハラに対する方針の明確化

相談に応じるための体制整備

事後の迅速かつ適切な対応

マタハラの原因解消などの防止措置

相談者のプライバシー保護

万が一マタハラを受けたとしても、「NO!」の意思をはっきりと示し、適切な相談窓口を訪れ誰かに相談すれば、法律に基づいて解決へ向かうことができるでしょう。

決して一人で抱え込んだり、諦めたりせず、まずは信頼できる人に話をしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。