子どもにスポーツをさせたいと考える親御さんも多いですが、実は子どもに合った種類は遺伝子検査で調べる事ができます。
今回はスポーツ適性が調べられる遺伝子検査について、メリットや内容をまとめてみました。
子どもに合ったスポーツはどうやって見つける?
「何か運動を始めたい」「子供にスポーツをやらせたい」と考えている人はたくさんいるものの、どんなスポーツを始めればいいか悩んでしまうものです。
数あるスポーツの中から、一体どうやって子供に合ったスポーツを選べば良いのでしょうか。
適性のあるスポーツを調べる方法は色々!
スポーツ能力測定会に参加
夏休みなど子供が休みの期間に、一般社団法人スポーツ能力発見協会による「DOSAスポーツ能力測定会」が開催されることがあります。
イベントでは、トップアスリートが使用しているような、世界最新の測定機器を使って、0mスプリント、敏捷性、ジャンプ力、リカバリーバランス、反応ステップ、スイングスピードの6種目をこなし、結果から子供の能力に合ったスポーツをアドバイスしてくれます。
69種目から向いているスポーツを割り出すため、思いもしなかったスポーツに巡り合えるチャンスでもあります。
ただし、イベントは不定期で開催されている他、参加人数には制限があるのでその点は注意が必要です。
運動能力測定システム「DigSports(ディグスポーツ)」を利用
ディグスポーツは、電通国際情報サービス(ISID)が開発した、運動能力を自動測定する判定システムです。
利用者の動きを感知するセンサーや、独自の測定・分析プログラムによって、利用者に最適なスポーツを導き出せると言われています。
モニターに映る自分の姿や記録を見ながら取り組めるため、楽しみながら利用できるのが特徴です。
現在は一般の方が使うことはできませんが、教育機関やスポーツ教室、自治体などで一般公開が予定されているため、今後利用する機会があるかもしれません。
スポーツ遺伝子を検査する
遺伝子は自分の体の構成だけでなく、将来かかりやすい病気や、自分にとって太りやすい食べ物、なりやすい肌質など、様々なことに関係していることが分かっています。
スポーツも同様に、遺伝子に深く関わっており、遺伝子のタイプを調べることで自分に合ったスポーツが分かると評判です。
遺伝子検査は専用のキットさえあれば誰でも利用できるうえに、好きな時に自宅で行えるため、利用する人を選びません。
今現在で、最も手軽かつ確実に自分に合ったスポーツを調べられる方法と言っても過言ではないでしょう。
遺伝子や性格によってスポーツに向き・不向きなんてあるの?
たしかに、「サッカーをやっている人なら協調性がある」「野球児なら根気強い」といったように、スポーツごとにプレイヤーの性格が決まっているとは言えません。
しかし、スポーツで結果を残せるかどうかに、性格や遺伝子は少なからず関係しています。
団体競技の方が向いている人もいれば、個人でプレイする方がやりやすいと感じる人がいるように、人には得手不得手があります。
遺伝子によって、忍耐力や記憶力、注意力、集中力といったどの能力が長けているかが変わるため、スポーツで重要とされるメンタル面にも遺伝子は関係しているのです。
また、生まれ持った遺伝子によって、筋肉のタイプや付き方が異なるため、肉体・精神面共に遺伝子が重要な役割を果たしていることが分かります。
子どもに最適なスポーツを化学的に調べよう!
そもそもスポーツ遺伝子って?
スポーツ遺伝子とは、主に運動能力に関係する遺伝子のことを指し、ACTN3遺伝子、ACE遺伝子、PPARGC1A遺伝子の3つに分類されます。
この3つの遺伝子を検査することによって、それぞれ、筋繊維のバランス、血管収縮能力、エネルギー産生能力に関する自分のタイプを知ることが可能です。
どの能力がどのタイプに当てはまるのかによって、得意とする運動の分野が異なってきます。
子どもの可能性を探る一つの手段として、スポーツ遺伝子を調べる親御さんも増えています。
遺伝子を調べるメリットは?
自分のスポーツ遺伝子を把握することによって、自身に合った練習メニューや、競技種目を見つけることが可能になります。
また、スポーツの練習成果に伸び悩んでいる場合にも、どこを改善すればいいか、何を補うべきかなどを把握できるので、既にスポーツに取り組んでいる方にも遺伝子検査は役立ちます。
子どものスポーツ遺伝子を調べることによって芽が出やすいスポーツを把握することが出来るので、新しくスポーツを始める、もしくは運動部に入ろうと考えている場合には一度検査して自分がどのようなタイプか知るのも良いでしょう。
自分の遺伝子タイプを踏まえたうえで、若い内から適したスポーツに絞って練習することも出来るので、効率的に成果が出せるようになるのです。
どんなスポーツを始めるか検討中の方は、遺伝子検査の結果をもとに、始めるスポーツを決めるのも一つの手と言えるでしょう。
運動に関わる3つの遺伝子
ACTN3遺伝子
筋肉を構成するたんぱく質を司るACTN3遺伝子を調べることによって、速筋・遅筋のバランスなどを知ることが出来ます。
この2種類の筋肉の割合によって、どのような運動に適しているかがそれぞれ異なります。
速筋型(R/R型)
速筋型は、パワーと瞬発力に優れ、スプリンターなどに適しています。
瞬間的に大きな力を発揮することに長けているため、短時間で決着の着くスポーツに向いている場合が多いです。
速筋型に向いているスポーツ
- 陸上短距離
- 走り高跳び
- 三段跳び
- 砲丸投げ円盤投げ
- ハンマー投げ
- 槍投げ
- 水泳短距離
- ウェイトリフティング、
- 重量挙げ
- 相撲
- レスリング
- 柔道
- 空手
両筋バランス型(R/X型)
両筋バランス型は、速筋と遅筋の割合が丁度よく、瞬発力と持久力の両方に長けており、どちらも要するスポーツに適しています。
日本人に一番多いのはこの両筋バランス型だと言われています。
両筋バランス型に向いているスポーツ
- 陸上中距離
- 野球
- サッカー
- バスケット
- ラグビー
- アメリカンフットボール
- バレーボール
- ホッケー
- テニス
- 卓球
- バトミントン
- ボクシング
- 水泳中距離
遅筋型(X/X型)
遅筋繊維の割合が高く、持久力が求められるスポーツに適しています。
遅筋型に向いているスポーツ
- 陸上長距離
- マラソン
- トライアスロン
- ジョギング
- 競歩
- ロードレース
- 駅伝
- 登山
- ダンス
- エアロビクス
- 水泳長距離
ACE遺伝子
ACE遺伝子は、血管の収縮の役割を担っているため、この能力が高いほど瞬間的に栄養や酸素が筋肉に供給されやすくなります。
また、ACE遺伝子のタイプによって疲労の感じ方も異なります。
血管拡張型(I/I型)
血管の拡張能力が高いため、他のタイプより多くの血液を体に巡らせることが出来ます。
疲労も比較的に感じにくく、長距離走などの持久力が必要な運動に適したタイプです。
登山などの無酸素条件下で力を発揮しやすく、無酸素登頂の成功者にはこのタイプが多いと言われています。
血管拡張/収縮バランス型(I/D型)
血管の拡張・収縮能力が共に標準並みのこのタイプは、運動に対する疲労の感じ方も標準程度です。
血管拡張型と同様に持久力が要される運動に向いており、筋持久力のトレーニングが効果的だと言われています。
血管収縮型(D/D型)
血液の収縮能力が高いこのタイプは、栄養や酸素を瞬間的に供給することが出来るため、瞬発力に長けています。
トレーニングの効果が他の2つのタイプよりは出にくいので継続的に練習を行うことが望ましいです。
PPARGC1A遺伝子
この遺伝子を調べることによって、持久力やエネルギーの産生に関係するミトコンドリアの量がどの程度のものなのかを知ることが出来ます。
ミトコンドリアの増殖性が高ければ高いほど、比例してエネルギーの産生量と保持力も高くなるため、長時間の運動に適しています。
ミトコンドリア高増殖型(G/G型)
元々のミトコンドリアの増殖性が高いため、持久力の必要な運動でも、他のタイプに比べて無理なくこなすことが出来ます。
また、運動メニューや食事の栄養管理によって更にミトコンドリアを増やすことも可能です。
ミトコンドリア標準増殖型(G/S型)
ミトコンドリアの増殖性が標準レベルのため、運動を継続的に行うことによって徐々にエネルギー産生量が増え、続けるにつれて運動が楽にこなせるようになるタイプです。
高増殖型と同様、運動・食事の管理によってミトコンドリアを増やしやすいタイプでもあります。
ミトコンドリア低増殖型(S/S型)
ミトコンドリアの増殖性は低く、他のタイプに比べるとエネルギー産生量は控えめになるため、運動量はある程度の時間が必要とされます。
増殖性が低くても、その他2タイプと同様に運動・食事の管理を改善することによってミトコンドリアを増やすことは可能なので、自分の練習や食事のメニューを見直してみるのも良いでしょう。
スポーツ遺伝子はどうやって調べるの?
①スポーツ遺伝子の検査キットを注文
スポーツ遺伝子は検査キットを使用することで、自宅にいながら手軽に調べることができます。
今、特に人気が高いのが、0歳から検査ができるGene Life SPORTSや、中学生以上を対象にしたより細かなアドバイスがもらえるDNA EXERCISEの検査キットです。
どちらもネットや電話で簡単に注文することが可能で、しかもGene Life SPORTSなら3,000円台から検査が行えます。
②届いた検査キットで口腔粘膜を採取
頬の内側を付属の専用綿棒で擦ることによって口腔粘膜を採取します。
採取の際に痛みは感じないため、小さい子供でも安心して検査ができます。
③申込書を記入
検査キットと一緒に届いた申込書に必要事項を記入します。
④検体と申込書を投函
口腔粘膜を採取した綿棒と申込書を付属の返却封筒に入れて投函します。後は結果を待つのみです。
⑤自分のスポーツ遺伝子の分析結果が返ってくる!
基本的に検査結果は、投函してから2週間~3週間程度で届きます。
届いた結果レポートには、下記のような項目が記載されています。
- エクササイズ体質
- タイプに合ったスポーツ例
- トレーニング方法
- 栄養のアドバイス
遺伝子検査の結果を参考に、自分の子供に始めさせるスポーツや、練習方法を検討することで、効率アップを図りましょう。
※遺伝子検査は本人の意思に基づいて行えるものですが、20才未満の場合は保護者の同意が必要です。
スポーツ遺伝子検査は子供のサポートツール
スポーツ遺伝子検査は、あくまで、遺伝子的に見て適正のあるスポーツを知る手がかりに過ぎないので、そこは注意が必要です。
検査結果を見て、練習プランを立てたり、新しくスポーツを始めるのは非常に有効ですが、必ずしも適性が出たスポーツだけをやらせる必要はありません。
一番大切なのは、子供がやりたいと思ったスポーツに取り組ませる手助けをしてあげることです。
検査結果を妄信して、適性のなかったスポーツに触れさせないのは子供のためにはなりません。
スポーツ遺伝子検査は、「スポーツを始めたがっているけれど、種目が決まらない」「スポーツで結果が出せなくて困っている」などの悩みを解決するために、上手に使ってあげるようにしましょう。