どんなに体調に気をつけていても、風邪をひいてしまうことってありますよね。
赤ちゃんがお腹にいるときは飲める薬が限られていて、漢方だけが処方された、という人も多いかもしれません。
では、授乳中にはどこまで気にすれば良いのでしょうか。
どの程度赤ちゃんに影響するのかよくわからず、薬を飲むのをためらってしまうお母さんたちのために、今回は授乳中の薬の飲み方についてまとめてみました。
授乳中に薬は絶対NGなの?
赤ちゃんがお腹の中にいるときには、薬の影響が強く出る可能性があるのもなんとなくわかります。
しかし、母乳にどのくらい薬が影響するのか、というのはちょっと想像しにくいですよね。
かといって、例えば風邪をひいたり頭痛がひどいときに、無理して薬を飲まずに我慢するのも大変です。
授乳中だから、と薬を一切飲まないようにするのではなく、正しい薬の使い方を知っておく必要があります。
母乳に移行する薬の割合って?
そもそも、母乳に薬はどの程度影響するのでしょうか。
母乳はお母さんの血液からできている、と聞くとかなり薬の影響を受けてしまうのではと心配になりますが、実はごくごくわずかな量しか母乳には含まれないと言われています。
割合でいうと100分の1程度です。
しかも、その母乳を飲んだ赤ちゃんに影響する量はさらに少なくなるため、そこまで神経質にならなくてもよさそうです。
ただし、その影響の度合いは薬の種類にもよりますし、素人判断で薬を飲むのはNGです。
特に市販の薬には、素人には何が具体的に入っているのかわからない薬も多いです。
どの薬を飲む時にも同じですが、必ず薬剤師さんやお医者さんの指示に従って飲むことが大切です。
「薬は一切飲まない」は間違い?
では、「薬を一切飲まない方が安全なのでは」と思う方もいるかもしれません。
確かに、どんなに影響が少ないと言われている薬でも、全く母乳に移行しない、というものはないでしょう。
そう考えると、何も薬なんて飲みたくない!となってしまう気持ちもわかります。
大切な赤ちゃんですから、できるだけ安全に育ててあげたいのが親心ですよね。
ただ、母乳育児だけが正解ではありません。
お母さんが体調を崩している期間が長引く方が、赤ちゃんには悪影響なこともあるかもしれません。
ただでさえ睡眠不足で体力も落ちているときなので、普段なら数日で治る風邪を何週間もこじらせてしまう、なんていうこともよくあります。
高熱を出しながら数時間おきに授乳し、オムツを替えて・・・となると、本当に辛いです。
育児はこの先何年も続く道のりで、頑張りすぎてお母さんが倒れたら大変なので、薬を全く飲まないというのは避けた方がいい考え方です。
「体調を崩したら、きちんと医療機関にかかり、安全な薬で早めに対処する」というのが何より大切かもしれないですね。
風邪をひいたら何を飲めばいい?
市販の風邪薬や漢方は飲んでも大丈夫なのか、気になりますよね。
では、実際に風邪をひいてしまったらどうすれば良いのか、具体的な方法をお伝えします。
市販の薬は大丈夫?
一般的に病院で処方される薬よりも市販の薬の方が成分は弱いので、絶対に飲んではだめ!というほどの薬はないと言えるでしょう。
ただ、避けた方がいい成分というのもあるので、安易に市販の薬を飲むのは避けてください。
特に風邪薬と呼ばれている総合感冒薬には、いろんな症状を抑えるために様々な薬の成分が入っていることが多いです。
そうすると、飲んではいけない成分がどれなのかを素人が判断するのは難しいです。
例えば、咳止めにコデインというものが入っている薬は避けた方がいい、などがあるのですが、実際に今自宅にある風邪薬にこの成分が入っているのかいないのか、なんて全くわからないですよね。
また、風邪薬にはカフェインが含まれていることも多いので、要注意です。
逆に眠気を誘う薬もありますから、赤ちゃんが眠くなってしまうだけでなく、お母さんが眠い中、数時間おきに授乳するのもとても大変です。
家にある市販の薬を飲むのではなく、薬局などで薬剤師さんに授乳中であることを伝えて購入した薬を飲むことを強くお勧めします。
漢方薬なら大丈夫?
「人工的な成分を使っていない漢方なら、授乳中でも問題ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
なぜなら、妊娠中にも漢方はよく処方されるからです。
しかし、これもお母さんの体調や漢方薬の種類によって変わってきます。
基本的にはどの漢方も大きな問題が報告されたことは無いそうですが、下剤系の漢方は赤ちゃんも下痢をしてしまう、という報告があるそうです。
具体的には、大黄が配合されている漢方は避けた方がいいでしょう。
また、漢方は長く飲み続けて意味のあるものですから、飲み続けることで赤ちゃんにも漢方の成分がわずかずつでも蓄積されていくということを考える必要があります。
なので、こちらも市販の薬と同じように、薬局や医療機関できちんと処方してもらう方が安心です。
授乳中に服薬したい時の注意点
ここまで授乳中の薬について見てきましたが、安全とわかっていても、やっぱり心配!というお母さんの気持ちはすごくよくわかります。
しかし、薬を飲まずに我慢するのもよくないですよね。
そこで、ここからは薬を飲んだときに少しでも赤ちゃんに影響しないようにする方法を見ていきましょう。
薬を飲むタイミングが大事
まず、薬を飲むタイミングを意識するだけでも影響が違ってきます。
例えば、母乳を飲ませた直後に薬を飲むと影響が少ないと言われています。
他には、もし夜によく寝る赤ちゃんであれば、長い睡眠に入るタイミングで薬を服用するといいでしょう。
薬を飲んで3、4時間をピークにして、だいたい6時間程度母乳には薬の影響が残っていると言われていますので、授乳時間を見ながら薬を飲むといいかもしれないですね。
母乳を1回お休みするのもあり!
完母にこだわる方も中にはいるかもしれませんが、病気の時にはミルクの力を借りるのもありだと思います。
例えば、授乳直後に薬を服用し、次の授乳をミルクにするだけでも赤ちゃんへの影響はぐっと減ります。
ましてや体調が悪いときであれば、ゆっくり体を休める意味もこめて次の授乳はお父さんに対応してもらう、というのもありかもしれません。
ただし、気をつけなければいけないのは乳腺炎です。
母乳は時間が経つとどんどん作られていきますので、胸が張ってきて痛くなってしまう可能性もあります。
1度くらいであればスキップしても問題ないことがほとんどですが、半日以上飲ませずに置いておくと、岩のように胸が固くなってしまうことも。
そうなるとお母さんもしんどいので、搾乳したり、スキップする回数や時間をうまく調整するといいでしょう。
服薬にも家族の理解が大切
旦那さんからしたら、「そんなに心配なら母乳じゃなく、しばらくミルクにすればいいじゃないか」と思うかもしれません。
しかし、先にも述べたように、胸が張ってしまってどうしようもない事もありますし、数日飲ませないだけでも母乳の作られる量が減ってしまう可能性もあります。
そうなると、母乳育児を頑張ってきた奥さんからしたら一大事ですし、体調が悪いとただでさえしんどいのに、そこに育児が重なるとさらに大変ですよね。
そう考えると、旦那さんの理解や協力は何よりも大切です。
お母さんの体はお母さんにしか分からない部分が多いですから、「こうしたい」という気持ちが伝えやすい関係性を心がけ、ミルクの授乳など手伝える部分があれば積極的に行ってください。
お母さんも、体調を崩している最中に伝えるのはとっても辛いので、元気なうちに旦那さんにそれとなく伝えておくといいかもしれないですね。
医師・薬剤師に助言を受け、薬は我慢せずに使おう!
ここまで見てきたように、薬を我慢する必要はまったくありません。
どの薬をどのタイミングで飲むかをきちんと気をつければ、赤ちゃんに悪影響を及ぼす心配はほぼ無いと言えるでしょう。
無理をして体調不良を長引かせることの方が心配です。
一番大切なことは、きちんと授乳中であることを伝えて、医療機関や薬剤師さんの指示の元で薬を服用することです。
そして、もし「市販の風邪薬を飲んでしまった!」という場合でも大丈夫です。
赤ちゃんに重篤な影響を及ぼす可能性は低いので、慌てたり自分を責めないでくださいね。
心配な場合は母乳を少し控えて、近くの医療機関を受診してみましょう。