長時間座りっぱなしで、同じ姿勢でいることが多いデスクワークの人は、エコノミークラス症候群に気を付けたいところです。
手軽にできる予防法はどんなものがあるのか、オフィスで実施できる方法をご紹介します。
エコノミークラス症候群はどんな症状が出る?
エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢をとり続けることで足が圧迫され、血流が悪くなって血栓が出来やすくなる疾患です。
血流が滞ることで血管内に作られた血栓が、肺の静脈に詰まってしまうことで発症します。
名前のとおり、飛行機のエコノミークラスに乗っていた人がよく発症していた疾患です。
長時間のフライトを経た後に具合が悪くなったり、亡くなってしまっており、海外旅行で飛行機に乗る際は注意が必要とされています。
こうして見ていると「エコノミークラス症候群は、飛行機に乗っているときだけに起こるもの」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
長時間同じ姿勢で続けるデスクワークにもエコノミークラス症候群の危険があるのです。
デスクワークの人は自分の身を守るためにも、まずは「エコノミークラス症候群にはどんな症状があるか」を知ることがとても重要になります。
ここではエコノミークラス症候群の症状をまとめたので、参考にしてみてください。
足がむくむ
足のむくみは、エコノミークラス症候群が比較的軽度の場合によく現れる症状です。
長時間同じ姿勢を取り続けると足の血流が滞り、むくみに繋がります。
デスクワークをしている人なら、仕事終わりに足がむくんでいることも多いでしょう。
仕事終わりの足のむくみを「よくあること」と軽視している人もいると思いますが、エコノミークラス症候群の表れでもあるので、油断は禁物です。
ただ血流が滞ってむくんでいるだけなら良いのですが、それによって血栓ができてしまうことがあるため、むくみを感じたら足の血流を促進するようにしましょう。
足が痛む
エコノミークラス症候群が進行すると、足に激しい痛みが走るようになります。
出来てしまった血栓が足の血管を詰まらせ、痛みを引き起こしているのです。
ふくらはぎ付近で出来る血栓は、詰まらずに浮遊している場合もありますが、太もも付近で出来た血栓は、足の血管に詰まる可能性が高くなります。
血栓が詰まると痛みだけでなく腫れることもあり、片足にのみ症状が出る場合が多いので、注意して様子をみるようにしましょう。
胸の痛みや息切れ、呼吸困難が起こる
突然胸痛が起きたり、息切れや呼吸困難を起こした場合は、血栓が肺に到達して血管を詰まらせているおそれがあります。
肺の血管に血栓が詰まると、呼吸ができていても酸素を血液の中に十分に取り込むことができず、血液の酸素の濃度が低下します。
そのため、呼吸をしていても息切れや呼吸困難などの症状が起きてしまうのです。
また、大きな血栓が詰まると、あっという間に血液の流れがストップして失神してしまうこともあります。
とても危険な状態なので、迷わずすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
デスクワークの人必見!エコノミークラス症候群の予防法をご紹介
デスクワークの人にもエコノミークラス症候群になるリスクがある以上、何らかの対策を取る必要があります。
理想は定期的に体を動かすことですが、忙しい人は運動するためにそう何度も離席するわけにはいきませんよね。
ここでは忙しくしているデスクワークの人でも手軽にできるエコノミークラス症候群の予防法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
足のマッサージをする
エコノミークラス症候群は、長時間足を動かさず同じ姿勢でいることで、足の血流が滞り起きるものです。
歩いたり運動したりして足の血流を動かす機会や時間がないのであれば、マッサージをして足の血流を促してあげるようにしましょう。
本格的なマッサージはしなくてもいいので、こまめにふくらはぎをほぐすようなやマッサージをするだけでも、エコノミークラス症候群の予防に繋がります。
1~2時間ごとを目安に優しくマッサージをして、血栓ができないように心がけましょう。
足だけでもストレッチをする
なかなかデスクから離れられないという人は、ちょっとひと段落したタイミングで、足だけでも軽くストレッチするのがおすすめです。
席に着きながらでもできるストレッチなので、忙しい人でも隙間時間で行うことができますよ。
机の下でもササッとできるので周囲の注目も浴びずに済みますし、離席の必要がないのでとってもお手軽な予防法です。
デスクワークの合間にできる足のストレッチ
足の指で「グー」を作る
足の指をパッと広げる
足を上下につま先立ちする
つま先を上に引き上げる
膝を立てて両手で抱え、足首をグルグル回す
ふくらはぎを軽くもみほぐす
また、どうしても時間がないときは、かかとの上げ下ろし運動だけでもするといいでしょう。
1時間に1回、かかとの上げ下ろしを20回から30回程度繰り返すだけでOKです。
簡単な動作で手も使わないので、仕事をしながらでもエコノミークラス症候群予防をすることができますよ。
ゆったりとした服装を心がける
締め付けのある服装は体の血流を悪くするため、エコノミークラス症候群の一因になってしまいます。
触媒に向いた服装を意識している人も多いことでしょうが、あまりボディを締め付けるような服を選ばずに、できるだけゆったりとした締め付けが少ない服装をするようにしましょう。
また、女性の場合は下着にも注意が必要です。
矯正下着やサイズの合っていない下着は体を強く締め付けるので、血流が著しく悪くなることがあります。
男性は、ズボンのベルトを強く締めすぎないように気を付けましょう。
水分補給をしっかりとする
エコノミークラス症候群の原因の1つに「水分不足」があげられます。
体内の水分が不足することで血液粘度が上昇し、血栓ができやすい体内環境になってしまうからです。
特に乾燥しやすいオフィスは体内の水分が奪われやすいですし、仕事に集中していると水分を摂り忘れてしまうこともありますが、エコノミークラス症候群を予防するためにも意識して水分補給するようにしましょう。
また、利尿作用のあるコーヒーや紅茶などのカフェインを含む飲み物を摂りすぎないようにするのも大事です。
デスクワークしているとついついコーヒーが欲しくなってしまいますが、カフェインは程ほどにして水分補給はお茶や水、イオン飲料などでするようにしましょう。
弾性ストッキングまた弾性ソックスを着用する
弾性ストッキングまたは弾性ソックスは普通のストッキングやソックスと異なり、足を適度な圧力で圧迫するストッキングやソックスのことです。
足の血流に関する疾患の予防や治療に使われることが多い医療機器の1つで、エコノミークラス症候群の予防にも効果を期待することができます。
身に付けているだけでも十分にエコノミークラス症候群の予防に繋がるので、かなりお手軽な予防法と言えるでしょう。
ただ、もっと万全に備えるのであれば、ほかの予防法と兼用するのがベストです。
そうすることでエコノミークラス症候群の予防効果をグッと上げることができるでしょう。
エコノミークラス症候群は予防が大事!オフィスでもこまめにケアを
エコノミークラス症候群は飛行機での長旅だけで起こるものではなく、条件さえ揃えばデスクワークをしているときにもなり得る疾患です。
ただ真面目に仕事をしていただけなのに、ある日突然エコノミークラス症候群になって苦しい思いをしたり、最悪命を落としたりするのは避けたいところでしょう。
エコノミークラス症候群はちゃんとした知識を持って対策することで、リスクを下げて予防することができます。
「ただ足がむくんでるだけだから」「たまにちょっと足が痛むくらい」と侮らず、しっかり対策や予防をするようにしましょう。