新生児の頃は、せっかく飲んだミルクをケポッと吐いてしまうことも多いものですが、「こんなに吐いて大丈夫?!」と心配になる事もありますよね。
今回は、そんな新生児のミルクの吐き戻しについて、起こる原因や家庭での対策をまとめてご紹介します。
赤ちゃんがよくミルクを吐いちゃって心配!
赤ちゃんは産まれてすぐから母乳やミルクを飲んで、ぐんぐん成長していきます。
特に新生児のうちは、毎日のように体重が増えていく時期でもあり、だいたい3時間おきの授乳が必要です。
一連の流れとしては、赤ちゃんがミルクを飲んだらげっぷをさせて、寝かせてあげます。
ただ、寝転がっているときに口からたらーっと白いミルクが出てきてしまったり、ちょっと抱き上げようとしたら、けぽっと口からミルクが出てきてしまうことがあります。
さらには、げっぷをさせようとした時に、ミルクを吐いちゃった、なんていうことも多々あってびっくりしてしまいますよね。
でも、安心してください。
赤ちゃんがミルクを吐いてしまうのはよくあることなんです。
ここからは、その理由や対処法を見ていきましょう。
なんでそんなにミルクを吐き戻しちゃうの?
そもそも、赤ちゃんはなんでそんなにミルクを吐いてしまうのでしょうか。
原因はいくつかありますが、一番大きな理由は胃の形にあります。
大人の胃と赤ちゃんの胃とでは形が異なるので、ちょっとした体の動きだけでミルクを吐いてしまうことがあるようです。
具体的には、大人の胃の形は水平なのですが、赤ちゃんの胃は垂直になっています。
しかも、食道との境の括約筋(かつやくきん)がまだ緩いため、胃の中身が簡単に逆流してしまうのです。
体勢の移動だけで吐いてしまうのは、このせいだと言えるでしょう。
さらに、新生児は胃の大きさがとっても小さいのも吐きやすい理由の一つです。
例えば産まれたばかりの赤ちゃんの胃の大きさは、30~60mlしかありません。
これは、赤ちゃんが飲むミルクの量とそんなに変わりません。
つまり授乳後は、ちょっと傾けるだけでこぼれやすい胃の中に、たっぷりのミルクが入っている、ということになります。
そう聞くと、赤ちゃんが吐きやすいのも納得ですよね。
どのくらいなら心配ないレベル?
ただ、それでも「毎回のように吐いていたら、何か病気なのでは?」と心配になりますよね。
基本的には、授乳後少ししてからげっぷと一緒に、口の端からミルクが流れてくる程度のものは「溢乳(いつにゅう)」と言い、どんな赤ちゃんにも起こるため全く問題ありません。
これは、先程説明したように胃の形や大きさが原因だからです。
一生懸命にミルクを飲んでいる赤ちゃんは、一緒に空気もたくさん飲んでしまうことがあり、胃の中に空気が溜まってげっぷをしたくなります。
ただ、げっぷをした拍子にミルクも一緒に出てきてしまう、というのが溢乳の原因です。
また、垂れるくらいじゃなく、「多めにミルクが出てきてしまった!」という場合でも、慌てないでください。
たくさん吐いてしまったように見えても、実は飲んだミルク全部というほどではない事がほとんどです。
お口が小さいので、予想以上にたくさん出たように見えてしまっているだけかもしれません。
いずれにしても、赤ちゃんがご機嫌でいつもと様子が変わらない場合は、特に心配することはないと言えるでしょう。
どんな吐き戻しが病気のサイン?
では、どんな風に赤ちゃんが吐いていたら病院に行くべきなのでしょうか。
よく言われるのが、「噴水のように吐くことが続いたら病院へ行きましょう」というものです。
噴水のように、とはどの程度かと思うかもしれませんが、明らかに多い量が放物線を描くように飛び出てくるくらい、と思っていてください。
ちょっとした刺激で吐いてしまうことが多い赤ちゃんですので、一口分くらいがけぽっと飛び出ることはよくあることですが、大量の吐き戻しを一気にするということは珍しいので、そういう吐き方をした場合には要注意です。
もしいつもと違うな、と心配な事がある場合には、新生児のうちは出産した病院に電話してみると安心です。
例えば、噴水ほどではないけれども吐く量が多く、1日の授乳数のうちの半分以上で大量に吐き戻してしまう場合や、体重が順調に増えていかない場合には早めに病院を受診してください。
また、熱や下痢などの他の症状が出ている場合もすぐに受診した方がいいので、赤ちゃんの様子をよく観察してあげてくださいね。
吐き戻しが心配なときはどうしたらいい?
危険ではない吐き戻しだとしても、ほとんどを寝て過ごしている赤ちゃんです。
もし、寝ている途中で吐いて窒息してしまったら、と心配ですよね。
ここからは、どのように吐き戻しの対策をすればいいかを見ていきましょう。
ミルクの吐き戻しが気になったら、まずすべきことは?
とにかくどの赤ちゃんも吐き戻しはする可能性があるので、授乳してすぐ横にするのはやめましょう。
授乳したらしばらくの間抱っこをしてあげて、げっぷが出るのを待ってから寝かせるようにするのが大切です。
ただ、げっぷをしていても吐き戻してしまうのが赤ちゃんですし、また、うまくげっぷが出せないのも新生児であればよくあることです。
「授乳して、げっぷするのを待っているだけで1時間経っていた!」なんてこともあるので、それを繰り返していたらお母さんの体が持ちません。
そんな時、もし心配であれば少し頭を高くして寝かせてあげると安心です。
もしくは、少し斜めになるように背中側に丸めたバスタオルを置くのもお勧めです。
寝返りしてしまうほどの角度は必要なく、ちょっと顔が斜めになっているだけでも気道が塞がれてしまうことを防げるので、ほんの少し角度をつけてあげるだけでも安心感が違いますよ。
どうしたらミルクを吐き戻ししなくなるの?
まず大切なことは、げっぷをしっかりさせてあげるということです。
ただ、首のすわっていない新生児にげっぷをさせるのは、最初は少し難しいと感じる人も多いと思います。
首がすわれば縦抱きも簡単なのですが、まだすわっていない新生児は首を支えながらの抱っこになるので、何かとコツが必要です。
肩に抱き上げる方法などが一般的ですが、初めはそれも難しいですよね。
一番簡単で安心な方法は、向かい合わせに座る方法です。
お母さんの太ももに乗せて座らせ、後頭部から首を支えつつ、反対の手で背中をなでなでしてあげるとげっぷが出やすいです。
それも腱鞘炎などで辛い、ということもあるかもしれません。
そんな時は、お母さんがソファなどに腰掛けて、赤ちゃんをお母さんの胸に向かい合うように乗せる方法も試してみるといいですよ。
赤ちゃんの顔はもちろん少し横にして、息がしやすいようにしてあげてください。
お母さんは背もたれにもたれかかるようにして、直角に座るのではなく少し斜めにだらしなく腰掛けるような感じにすると、ちょうどいいと思います。
ただ、5分をめどに試してみて、それでもでなければ頭を高くしたり、バスタオルを巻いて背中に置く方法で寝かせても問題ありません。
育児は体力勝負ですから、頑張りすぎないのも大切ですよ。
吐き戻しの予防には、飲ませ方も大事!
げっぷをさせても吐いちゃう、という場合には、一度に飲む量を調整してみてもいいかもしれません。
母乳の場合は飲んでいる量がはっきりしないのですが、赤ちゃんがお腹いっぱいになれば自然にやめるので、飲み過ぎるということはあまりありません。
ただ、ミルクの場合は、飲みすぎて吐いてしまうということもあります。
ミルクだと哺乳量がはっきりとわかって便利なのですが、逆にこの月齢はこの量、と思ってしまいがちです。
産まれたときの体重も違う赤ちゃんですから、やはり胃の大きさや成長の度合いも個人差があります。
もし、「ミルクの量を増やしたら吐き戻しが増えたな」と言う場合には、少し量の増やし方を緩やかにしたり、回数をもう少しわけてあげるなどの対策が必要かもしれません。
また、哺乳瓶によっては空気を吸い込みすぎてしまうものもあるので、哺乳瓶のメーカーを変えてみるなどの対策も一つです。
ミルクの吐き戻しにも慌てない!毎日の様子をよく見てあげよう
少しのミルクの吐き戻しは赤ちゃんにはよくあることだ、ということが今回よくわかってもらえたと思います。
ただ、やはり産まれたばかりの赤ちゃんなので、吐いたりしてしまうとすごく心配になりますよね。
最近は産院で過ごす時間はほんの数日で、あっという間に退院なので、新米ママはとにかく不安な毎日を過ごしていることでしょう。
でも、毎日様子を見ているママとパパなら、赤ちゃんのいつもと違う様子には必ず気がつけるはずです。
「明らかにおかしいぞ!」と思った時には、慌てず医療機関に相談の電話をしてみてください。
生後3ヶ月もすれば吐き戻しも落ち着いてきますし、きっと吐くことが減った頃には「なんてことなかったな」と思うはずです。
毎日が変化だらけの新生児の育児は大変だと思いますが、気負いすぎずに楽しく過ごしていきましょう。