将来のお金について色々考えている人の中には、「iDeCo」が気になっている人もいることでしょう。
個人型確定拠出年金とは一体どんなものなのか、その仕組みやメリット、デメリットについてご紹介します。
iDeCoの仕組みってどんなものなの?
iDeCoとは、個人型確定拠出年金という私的年金の制度です。
国民年金や厚生年金と組み合わせることで、長い老後をより豊かにすることが期待できるiDeCoですが、いまひとつ仕組みがわからないという人も多いのではないでしょうか。
より効果的に貯蓄するためにも、iDeCoの仕組みや特徴を理解した上で、今後の老後計画に取り込むか検討していきましょう。
20歳以上60歳未満なら、条件を満たせば誰でも加入可能
iDeCoは、20歳以上60歳未満の成人であれば、あれでも加入することができます。
以前は加入条件がありましたが、平成29年1月から条件が撤廃され、より多くの人が利用できるようになりました。
現在は、下記に当てはまる場合のみ、加入できない事になっています。
- 日本に住所がない人
- 国民年金が未納の人
- 国民年金の免除等を受けている人
- 60歳以上の人
- 一部の企業型確定拠出型年金に加入している人
それぞれの事情を鑑みれば、iDeCoに加入することは適切でないことがよく分かりますよね。
60歳を超えてから年金の積み立てに慌てだすのも、国民年金が未納の人がiDeCoにだけ掛け金を拠出するというのも、一般的に考えたらおかしな状況です。
上記以外の人であれば、パートやアルバイト、主婦・主夫であろうと、年齢を問わずiDeCoに加入することができます。
自分で運用する金融商品を選ぶ
iDeCoの加入を決めたら、お次は運用する金融商品を選びます。
iDeCoには「元本確保型商品」と「投資信託型商品」の運用商品が用意されており、自分のお好みに合わせて商品をチョイスすることができるのです。
ローリターンでもいいので、確実に元本を確保しておきたい人は「元本確保型商品」、多少の元本割れのリスクがあっても、資産が増える可能性に懸けたい人は「投資信託型」を選ぶといいでしょう。
積極的に資産を増やしたいのであれば「投資信託型」の金融用商品がおすすめですが、元本割れのリスクも十分の考えて、金融商品は慎重に選ぶようにしましょう。
自分で給付金の受け取り方を選ぶ
iDeCoに加入して掛け金を拠出することで、60歳以降になると給付金を受け取ることができるようになります。
この給付金の受け取り方は数パターンあるので、自分の老後プランに合ったものを選ぶ必要があります。
60歳になってから一括で受け取るのもよし、公的年金が支給される65歳までのつなぎとして無収入機関を給付金でフォローするもよし、60歳から給付金を受け取りつつも一部のお金をまとめて受け取ってもよし、様々なパターンがあるので、自分に合った受け取り方を選択しましょう。
iDeCoに加入するメリットはどんなものがある?
ここまでで、iDeCoの仕組みをご理解いただけたことでしょう。
そしてお次は誰もが気になるメリットについてをご紹介していきます。
メリットがなければただの老後のための積み立て貯金の域を出ませんが、iDeCoには「コレなら加入しておきたい!」という強みがあるのです。
自分で掛け金を決められる!
iDeCoは、毎月5,000円以上から1,000円単位で、掛け金を自由に決めることができます。
運用を聞くと「まとまったお金が必要なのでは」と思う人もいることでしょうが、5,000円からなら気軽に始めやすいですよね。
拠出額は加入者の雇用状況によって、月額1.2~6.8万円までと上限額が決められているので、使いすぎてしまう心配もありません。
また、自分のライフスタイルに合わせて拠出できるので、無理することなく老後のための貯蓄をすることができます。
なお、iDeCoは年に1回掛け金の変更が出来るので「もっと増やしたい」「少し減らそうかな」と見直しもすること可能です。
今の生活の状況を見て適宜変更が出来るのは、初めてでも利用しやすいポイントでしょう。
あらゆる場面で節税効果がある!
iDeCoが注目されている理由の1つに「3つの税制優遇がある」というメリットがあります。
人は働いて生活している以上、所得税や住民税などの税金を支払う義務を負いますが、iDeCoに加入しているとそんな税金を安くすることが可能です。
①掛け金が全額所得控除になる
iDeCoの掛け金は、一見すると資産運用のカラーが強いですが、年金や健康保険のように全額所得控除として認めらます。
そのため、掛け金に税率をかけた分だけ所得から控除されますので、翌年度の所得税を節税することができるのです。
②iDeCoなら運用して利益が出ても非課税にできる
金融商品の運用によって利益が出た場合、通常であれば利益に対して課税がされるものですが、iDeCoは課税されず、すべて再投資されます。
③受け取り方次第で、受取額が全額非課税になる
自分が60歳以上になり、iDeCoの年金資産を受け取るときは3つの方法が選択できます。
一括受け取り(一時金)
年金受け取り
一部を一括で受け取り、残りを年金で受け取る
このうち、1番目一時金として一括で受け取れば「退職所得控除」の適用がされるので全額非課税の恩恵を受けることができます。
また。2番目の年金として受け取れば「公的年金等控除」の対象になるため、課税の対象になりません。
加入者が死亡しても、遺族が積立金を受け取れる
長い老後に備えてiDeCoに加入していても、不慮の事故や病気によって、突然加入者が死亡するケースもあります。
iDeCoでは、加入者が死亡した場合はこれまで積み立ててきたお金を、「死亡一時金」として遺族が積立金全額を受け取ることができます。
しかし、積立金を受け取るためには、きちんと自分で請求しないといけません。
積立金を受け取るためには「遺族からの請求」が必須条件なので、遺族は必ず運営管理機関に連絡をするようにしてください。
iDeCoは老後のためだけでなく、自分にもしものことがあったときに家族の助けとなるので、家族にはiDeCoに加入している旨をしっかりと伝えておきましょうね。
iDeCoのデメリットもしっかり確認を!
どの物事にもメリットの裏にデメリットがあるように、iDeCoにもデメリットは存在しています。
自分で掛け金が決められて税制優遇があるというのはとても好条件ではありますが、iDeCoの加入を前向きに考えるのであれば、ちゃんとデメリットについても理解しておかないといけません。
このデメリットを踏まえた上でも、自分はiDeCoに加入するメリットがあるかをよく考えるようにしましょう。
原則60歳までお金を引き出せない
iDeCoは、公的年金では補いきれない老後のお金に関する不安を払拭するために誕生したものなので、その性質上、60歳まではお金が引き出せないシステムになっています。
また、月々の掛け金は年に1回見直すことができますが、すでに拠出したものは戻ってきませんので要注意です。
老後のことや節税効果に期待をはせすぎて、思わず高額な掛け金を設定してしまうと、その分家計に負担がかかることを理解しておきましょう。
将来のための貯えと考えると、簡単に引き出せないのはメリットでもありますが、資産が拘束されてしまうので、子供の学費や親への援助などの急な出費が多く、お金の出入りが激しい人にとってはデメリットと言えるでしょう。
加入期間によって受け取り開始年齢が変わる
先ほど、「60歳までお金を引き出せない」とお伝えしましたが、実はiDeCoは加入歴によって受給可能年齢が変わります。
10年以上加入していれば60歳以降いつでも給付を開始できますが、2年未満の場合は65歳まで給付の申請ができないなど、要件が決められています。
そのため、受給開始年齢と自分の人生設計をしっかり考えて、いつまでに開始すれば良いか確認してからスタートしましょう。
iDeCo加入期間 | 受給可能年齢 |
---|---|
1カ月以上2年未満 | 65歳以降 |
2年以上4年未満 | 64歳以降 |
4年以上6年未満 | 63歳以降 |
6年以上8年未満 | 62歳以降 |
8年以上10年未満 | 61歳以降 |
10年以上 | 60歳以降 |
途中解約が出来ない
先ほどもお話しましたが、iDeCoは老後を見据えた資金運用という性質を持っているため、途中解約という概念が存在しません。
老後のことを考えた上で加入し、運用をしているわけですから、途中で特段の理由があるわけでもないのに解約することはできないのです。
加入したのはいいけれど、運用途中で「やっぱり今は貯蓄よりも現金が必要だ」となっても、積極的に解約をして、これまで支払った掛け金の返金を受けるのは難しいでしょう。
もし、掛け金を早急に返金してほしいとなったら、ある一定条件を満たす必要があります。
その条件とは、加入者の資産額が15,000円以下であることや死亡したとき、障害状態になったときなどが定められていますが、そのような状態というのは、非常にピンチのときですよね。
そんな状況にならないと掛け金が受けれないというのは、iDeCoを解約したところでどうにもならないないような場面ですから、事実上解約はできないと思っておいたほうがいいでしょう。
ただし、経済的に厳しく拠出が難しくなった場合は、資格喪失手続きを行えば、支払いを止めることが可能です。
資格喪失をしてもこれまでの拠出金が無駄になるわけではなく、運用指図者これまでの拠出金で運用のみ行います。
口座開設や維持費に手数料がかかる
iDeCoに加入すると、新規加入時に2,777円と、運営期間中は最低でも月額167円の支払いが必要です。
これだけ見ると「大した額ではない」と思うかもしれませんが、数十年となるとそれなりの額になりますし、これらとは別にも運営管理機関に支払う手数料というものを支払わないといけません。
一部では手数料の無料のところもありますが、年額5,000円ほどかかる運営管理機関もあります。
月単位で見ると微々たるものですが「塵も積もれば山となる」ですから、手数料関係もしっかりと視野に入れて、運営管理機関を選ぶことをおすすめします。
よりよい老後を迎えるためにもiDeCoをよく知ることが大切
豊かな老後を過ごすためには、貯蓄はとても大切なことです。
自力では積極的に貯めることが出来ない人でも、掛け金が自由に決められて、資金を拘束するiDeCoであれば老後の資金を貯めることができます。
その上、税制優遇などのメリットもあるので、嬉しいのは老後だけというわけではないため、iDeCoの魅力を感じている人はたくさんいることでしょう。
これから家庭を持つ人や子育て世代は、目の前に迫る生活費や教育資金で老後の資金まで意識が回らない人も多いでしょうが、自分の将来を長い目でiDeCoの加入も視野に入れてみることをおすすめします。