「あれも嫌!これも嫌!」世界中のお母さんを悩ませるイヤイヤ期。
「この悪夢はいつまで続くのだろう」と、こちらが泣きそうになってしまいますよね。
その意味を知ることで、少し見え方が変わるかもしれません。
イヤイヤ期年齢のクラスを見てきた保育士から、お母さんたちへ伝えたいメッセージをお届けします!
うちの子だけ?と悩まないでください
なんでも言うことを聞いてくれた我が子。
「どうして急に拒否をするのか」「自分の子どもをコントロールできないなんて、母親失格?」とお悩みの方、多いでしょう。
程度は違えど、イヤイヤ期はどの子どもにもやってくるものです。
お母さんを困らせたくて「嫌!」と言っているわけではありませんし、急に我が子がワガママになったわけでもありません。
実はイヤイヤ期は、子どもの成長にとても大切な時期なのです!
イヤイヤ期のメカニズムを知りましょう
イヤイヤ期は平均2〜3歳前後にやってきます。子どもの性格などによって、その時期や程度は様々です。
イヤイヤ期という言葉が一般的に使われますが、専門的には“自我の形成の時期”と言われています。
言葉のニュアンスで、だいぶ印象が変わるものですね。
0〜2歳頃の間は、主に自分と親の関係の中で育ちます。
つまり親の言うことは正しく、その通り生きることで自分の命の安全を確保しているのです。
そして様々な経験をしていく中で、「自分の気持ちはパパ・ママと違う時もある」「自分でもきっと同じように出来る」ということに気付き始めます。
これが自我の芽生えです。
「出来るはず!」「やってみたい!」「この気持ちはなんだろう?」「自分の気持ちを伝えたい!」そんな自分の気持ちを形にするために、日々子どもは戦っているのです。
イヤイヤ期を乗り越えて、子どもが得るもの
自我が芽生え、「やってみたい」「伝えてみたい」と、子どもは様々なことにチャレンジし始めます。
シャツのボタンを閉めたい、お茶を自分でコップに入れたい、手を繋がないで歩きたいなど、出来たことのない事でも「なんでも自分でやるんだ!」という気持ちが大きくなります。
そして次々と“小さな出来た”という成功体験を積み重ねていきます。これが重要です。
成功体験は自信に繋がり、挑戦しようとする力、つまり生きる力を育てます。
気持ちの伝え方も同じです。
どうやって話したら伝わるのか、どんな言葉を使ったらいいのか、失敗を繰り返しながら“自分以外の人”との関わり方を学んでいくのです。
子どもはイヤイヤ期を乗り越えることで、生きていくために必要なことを学んでいます。
子ども自身も、自分の感情の変化と格闘していることを覚えて、大きな心で受け止めてあげましょう。
イヤイヤ期を乗り切るポイントを伝授します!
実際毎日「イヤイヤ」が続くと、大人だって気が滅入ってしまいますよね。
保育園ではイヤイヤ期に突入する子どもを、一度に何人もみなくてはなりません。
しかし保育士は、子ども1人に付きっきりにはなれません。
そこで保育士たちは、ポイントを押さえて対応しているのです。
ここからは保育士が実際に気をつけている、子どもへの接し方をご紹介します!
考え方を変えてみましょう
イヤイヤ期は特別な時期です。
「自分の気持ちが生まれたんだなぁ」「赤ちゃんじゃなくなったんだなぁ」と、成長を見守る、暖かい気持ちを忘れないでください。
子どもはあっという間に大きくなっていきます。こんなに手を焼かせてくれるのも、今だけです。
子どもにゆっくり関わる、特別な時間だと思って過ごせると良いでしょう。
子どもとの関わり方
実際の「こんな時はどうしたらいいの?」にお答えします。
これらは一例ですから、必ずしも有効とは限りません。
色んなやり方を試して、その子の納得できるポイントを探って見ましょう!
子どもの気持ちを聞き出しましょう
「こうしたかったんだね」「わかったよ」と、声に出して共感してあげてください。
たくさん出てくる自分の気持ちに、混乱している場合に有効です。
「これもイヤ!あれもイヤ!」となっている時は、「どうしたい?決めていいよ」と自分の行動を選択させてあげましょう。
どうしたら良いかわかっていない時は、3択のように選択肢を出して、決めさせてあげるのも良いでしょう。
単純に大人に決められるのが、イヤなこともあります。
考える時間を作ってあげましょう
なんでもやってあげたい気持ちもあるでしょう。
しかし、イヤイヤ期では自分で考える力、悩む力、判断する力を育てている真っ最中です。
すぐに手を貸すのではなく、気にしつつも子ども自身が考える時間を作ってあげましょう。
困った行動には先回りが肝心です
外出先で座っていられない、静かにしてほしい場所で騒いでしまう。
そんな時は、絵本や、パズル、シールブックなど、集中して座って遊べるおもちゃを用意しておきましょう。
公園で帰りたがらない時などは、あと何回にするか子どもに決めさせてみてください。
「最後の1回だね!」と言葉でも伝えてあげると、効果的です。
その先の楽しいことを考えましょう
駄々をこねてその先に進めない時、その先の時間に楽しいイベントを作りましょう。
「お家に帰ったら、今日はお風呂におもちゃ出しちゃおうかなー」「今日はいつもと違う道で帰ってみようかな」など、ワクワクすることが待っているのを教えてあげましょう。
子どもはまだ、自分で気分転換をすることができません。
今のイヤな気持ちから脱する手伝いをすることが、重要になります。
ただ、お菓子を与えることなどは癖になるので、控えてください。
スキンシップを忘れずに
イヤイヤ期の子どもは、ある意味毎日が混乱状態のようなものです。
出来る気持ちと、出来ない現実に戸惑いもあるでしょう。
様々な感情に振り回されて、疲れてしまっている時もあります。
混乱している時には多くの言葉をかけずに、抱きしめてください。
寝る前にゆっくり絵本を読んだり、膝の上に乗せてゆっくり過ごすだけでもいいでしょう。
これはやらないで!保育士からのアドバイス
イヤイヤ期の子どもとの付き合いは、大人の忍耐力も試されますね。
ついつい普段言ってしまっていることが、子どもにとってよくないこともあります。
これらは保育士も言わないようにと、気をつけている言葉です。
普段の自分の発言と照らし合わせて、確認してみてください。
「早くして!」
時間に焦るのは、大人の都合でしかありません。
子どもは1つひとつのことに、真剣に取り組んでいます。
こだわって時間がかかることを予想して、時間にゆとりのある計画を立てましょう。
「ワガママね」「そんな子は嫌」
癇癪を起こしたり、「イヤイヤ」が続くと、こんな風に投げやりに言ってはいませんか?
否定をする言葉は、どんな時でも子どもに良い影響を及ぼしません。
伝えたいことをどうしたら肯定的な言葉で表現できるか、ノートに書き出して見ましょう。
癇癪を起こしている時、子ども自身も葛藤や混乱の中で苦しいことを忘れないでください。
「ああする?こうする?どうする?」
自分のしたい気持ち、どうしたら良いのか等、様々な気持ちと格闘しています。
大人が答えを出してしまうのは簡単ですが、せっかくの成長のチャンスです。
自分の答えにたどり着くまで、見守ってあげましょう。
答えを焦らせるような問いかけは、より混乱を招きます。
「お母さん帰っちゃうからね!」「もう知らないよ」
よく耳にするフレーズですね。
子どもにとって、両親は最も信頼できる相手であり、最も安心できる場所です。
見捨てるような言葉は、大人が思っているより子どもにダメージのあるものです。
その場では着いてきてくれるかもしれませんが、置いていかれる恐怖から動いているだけなので、言わなように気をつけましょう。
成長を楽しんで過ごしましょう
イヤイヤ期は小さな反抗期でもあります。
手を焼く時期でしょうが、子どもが成長している印として喜びましょう。
一緒にいて息が詰まる時は、我慢せず気分転換も必要です。
両親の言っていることが違うと、混乱の原因になりますから、夫婦で「こんな時はどうする?」と話し合っておくと良いでしょう。
子どもの成長はあっという間です。
1つひとつの特別な瞬間を、ぜひ喜んでくださいね!