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弁護士が勧める「婚前契約」とは?契約書の内容や効力を調べてみました!

「婚前契約」という言葉を聞くと、一見堅苦しく義務的に感じてしまう人も多いのではないでしょうか?

「婚前契約にはどんなことを話し合い決めておくべきか」「あえて婚前契約を交わす意味があるのか」などの疑問を持つ人もいると思います。

今回は、婚前契約をする理由やその内容や法的効力について考えていきます。

そもそも「婚前契約」とはいったい何?

そもそも「婚前契約」とはいったい何?

婚前契約は何のために交わすの?

婚前契約は「婚前同意書」や「プレナップ」とも呼ばれ、主に家事育児・財産・介護問題・不貞問題など夫婦間における様々な約束事を結婚前にあらかじめ取り決め、契約書として形にしたものの事を言います。

日本ではまだまだ浸透はしていませんが、海外では結婚前に取り交わすごく一般的な契約書です。

結婚して共同生活を始めてみると、お付き合いの時には見えてこなかった相手の嫌な部分が露呈したり、自分との価値観の違いに気付く場面が出てきます。

また、不倫や浪費などさまざまなトラブルに見舞われてしまうことも少なくありません。

籍を入れる前に婚前契約を交わすことで、問題が起きてから対処するのではなく、予め想定される問題に対する解決方法を決めておくことができるため、より円滑にトラブルを解消することが可能です。

また、契約を結ぶということは規定・罰則を設けるということですから、そうならない様に行動するようお互いが心がけ、真摯に結婚生活に取り組むことができます。

決まりやペナルティーを縛りのように感じる方もいますが、簡単に言えば「人としての行いが法律で決められている様に、夫婦としての行いも婚前契約で決めておこう」という事です。

夫婦関係や家庭の在り方には多様な考え方がありますので、一般論としてではなく、夫婦がお互いに納得できる内容を記しておくことが大切です。

※夫婦の財産については民法755条「夫婦財産契約」が定められており、登記が必要になりますが、費用分担や財産の帰属などが適切な範囲であれば法律的な考え方(法定財産制)を逸した内容も、契約として認められます。

婚前契約はどの段階で作れば良いの?

婚前契約は名前の通り結婚前に取り交わすものですので、入籍をする前に作成します。

一般的には、婚約前後に話し合いをし、入籍日までに書類として作っておきます。

婚前契約書を作る際、大切なのが「2人が他人である」ということです。

籍を入れてしまうと法的にも夫婦になりますが、実は、婚姻中に取り交わした契約内容は民法754条により、夫婦どちらか一方の申し出で簡単に取り消せてしまいます。

これは正常な夫婦関係であることが前提ではありますが、「夫婦の問題はできるだけ夫婦で解決するのが良い」という考え方があるからです。

しかし、せっかく契約を交わしても、簡単に取り消せてしまっては意味がありません。

そのため、夫婦どちらか一方だけでは取り消すことができないよう、2人が他人である入籍前の段階で作る必要があるのです。

婚前契約の内容ってどんな事を決めればいい?

婚前契約を交わすにはこんな内容を話し合おう!

1、結婚後の2人の生活内容について

1、結婚後の2人の生活内容について

お互いが独身の時は自由に過ごしていた休日の過ごし方も、夫婦になれば自分勝手にとはいきません。

その為に、「2日間の休日の内、1日は必ず一緒に過ごす」「休日の夕食(昼食)は一緒に食べるようにする」などの決まりを作っておくと、休日前にヤキモキする事もないでしょう。

その他に、家事の方法や家庭内での要望、これだけは許せない事なども話しておくと良いと思います。

2、親族との付き合い方や介護問題について

2、親族との付き合い方や介護問題について

結婚は家同士のお付き合いという考え方が今なお続いており、どうしてもトラブルが起こりがちなのが親戚付き合いや将来的な介護の問題です。

「長期の休みには帰省はするのか」「夫側と妻側どれ位の密度で親戚付き合いをするのか」「両親に介護が必要になった時はどうするのか」「同居はするのか」などは、結婚前にはなかなか話しにくい内容ではありますが、曖昧なまま結婚してもいざ問題に直面した時に必ず揉める原因になるのではないでしょうか。

価値観の問題にも直結する問題であるからこそ、婚約段階でしっかり話をし、婚前契約書に残しておく事をオススメします。

3、不貞行為や家庭内暴力(DV)などについて

3、不貞行為や家庭内暴力(DV)などについて

離婚する理由にもなる1つが、パートナーの不貞行為やDVです。

不貞行為が発覚した時の対応や慰謝料の額などは、きちんと決めておきましょう。

また、結婚後でないとなかなか分からないのが家庭内暴力(DV)やモラハラなどのパートナーによる暴力行為です。

自分のパートナーが暴力をふるう事は考えたくないものですが、現実問題では結婚後に暴力に悩まされている方も少なくありませんので、万が一暴力行為が行われた際の決まり事もきちんと話し合っておきましょう。

男性にとって少し声を荒げただけでも、女性にとっては恐怖に感じる人もいます。

また、女性側からの暴力や暴言などもありますので、どちらか一方のことだけではなく、両人に起こり得るあらゆる事象を想定して、契約として文書に残しておきます。

4、お金の扱いについて

4、お金の扱いについて

夫婦になるという事は、今まで好きに使っていたお金も自由にはならなくなるという事です。

お金に関するトラブルは大きな問題に発展しやすいため、特に婚前契約を結んでおくことが重要になります。

家賃や生活費の分担の仕方、お金の使い所、ギャンブル・賭け事への対応と金額設定など、日常的にかかわるお金の使い方について予め決めておくと安心です。

また、万が一離婚する時に備えて、財産分与や子供がいる場合の養育費の支払いなどについても、取り決めをしておきましょう。

お金に関する契約内容は、生活がかかっている事なので慎重に話し合いをする事が大切です。

5、子供の育児や教育について

5、子供の育児や教育について

共働き夫婦と専業主婦(主夫)の夫婦では、育児の関わり方が異なりますが、特に結婚の時点で共働きをしている場合は、産後の働き方についても必ず話し合いをしておきましょう。

経済的な事情やその時の生活環境によるところもありますが、お互いの希望をしっかりと伝え、方向性をまとめておくだけでもスムーズな生活が送れます。

また、子供の教育(習い事やお受験、私立への入学など)についての希望や方針も、意外と揉める原因になります。

夫婦で方針が違うと子供も戸惑ってしまうので、自分の理想をきちんとお互いに伝えておき、夫婦で考えをすり合わせておく事が大事です。

その他に、もし子どもが欲しいのにできなかった場合に備え、不妊治療などの取り組み方や希望についても考えておくと安心です。

婚前契約書に載せられない内容はあるの?

1、人としての権利を侵害するもの

1、人としての権利を侵害するもの

婚前契約の内容は公序良俗に違反せず、法律を守ったもの(夫婦財産契約を除く)であれば、何でも自由に決めることが出来ます。

つまり、自分や相手の倫理、秩序、自由、人権などを侵害する内容は書けません。

たとえば、「今の奥さんとは××××年×月までに離婚し、私たちが結婚する」といったものは記載できません。

また、浮気や不倫の罰則について「もし浮気をしたら3か月間一歩も家から出てはいけない」「不倫した場合は裸で街中を歩かせる」といった内容も、冗談であっても規定できません。

何が権利の侵害になるのかは判断が難しい部分でもあるため、行政書士や弁護士など法律の専門家に相談しながら話し合った方が安心です。

2、扶養義務に違反するもの

2、扶養義務に違反するもの

民法877条では扶養義務について定められており、直系血族(自分の両親、祖父母、子、孫など)や兄弟姉妹に対しては、お金や生活の面倒を見なければなりません

さらに、他に頼る宛てがないなど特別な事情がある時は、3親等以内の親族に対しても扶養の義務が生じます。

この扶養義務は絶対であり、婚前契約であっても扶養義務に反する内容を定めることはできません

つまり、「子ども(連れ子)の扶養はしません」「老後の親の面倒は見ません」といった規定は認められないので注意しましょう。

法的にも効力はある?婚前契約をしておくといざという時に安心!

法的にも効力はある?婚前契約をしておくといざという時に安心!

婚前契約には種類がある!法的な効力を持たせるにはどうすればいい?

「婚前契約」と一言で言っても、実はいくつかの作り方があり、どの方法を行うかによって法的効力が変わります。

どの程度まで形式的なものにするのかも、婚前契約の内容の前に話し合っておきましょう。

書類の形式効力・注意点
覚書最も簡単で「私文書」としての扱いになります。
話し合いの内容を項目ごとに箇条書きにした上で、日付・署名捺印をすれば完成します。
ただし、「公文書」ではないため、法的効力はほぼありません。
そのため、「言い合いになった時に、話し合った内容を振り返ることができる文書」として作成したい時に作ります。
正式な契約書法律に則った正式な契約書として、婚前契約を結びます。
法律の書式をもとに作成し、日付・それぞれの署名捺印で完成です。
自分達で作成も出来ますが、間違っていると効力が薄れてしまうため、弁護士や行政書士に相談すると安心です。
法的効力は覚書よりも高く、離婚などの調停や裁判の際に証拠として提出することも可能です。
公正証書行政書士または弁護士が決められた内容・書式に基づいて契約書を作成し、さらに公証役場の公証人が確認することで完成する書類です。
作成には費用がかかり、行政書士や弁護士の作成費用と公証人手数料が必要です。
自分達での作成することは難しいですが、内容の信頼性は最も高く、法的効力は1番です。
契約の内容を違反すると、強制執行(裁判を行わず、すぐに請求や処分)をする事が可能となる場合もあります。

しっかり話し合って婚前契約を交わし、円滑な夫婦生活を楽しもう!

しっかり話し合って婚前契約を交わし、円滑な夫婦生活を楽しもう!

結婚をする前にお金の問題、介護や同居などのデリケートな問題、離婚する際の事など話し合うのには躊躇してしまう人も多いと思います。

しかし、婚前契約は決して後ろ向きな内容だけではありません。

婚前契約をする事によりお互いの抑止力にも繋がっていき、円滑に夫婦生活がスタートする事が出来ます。

お互いの価値観を確認するという意味でも、しっかりと結婚前に話し合いを持ち、幸せな結婚生活を送れるように準備しましょう。