ある日突然夫に転勤の辞令が出たとしたら、単身赴任にするか家族で帯同するかの選択は迷うものです。
突然の転勤にも落ち着いてベスト選択ができるように、今回は帯同と単身赴任のメリットとデメリットをまとめました。
突然夫が転勤に!実際についていく妻はどれくらい?
実際、夫が突然転勤を言い渡されたとしたら、どのくらいの人がついて行くのでしょうか。
マイナビニュースが行ったアンケート結果から探って行きます。
転勤について行く派は約7割!
マイナビニュースが既婚女性309人に取ったアンケートによると、夫の転勤に「一緒について行く」と答えた妻は69.9%でした。
慣れない土地へ引っ越す不安はありますが、やはり夫婦で共に暮らしたいと思う人は割と多いようです。
ついて行くかどうかは子どもの年齢にもよる!?
一方、子どもがいる家庭に限定すると、「一緒について行く」という割合は57.9%に下がっていました。
特に、小学生から高校生の間の子どもがいる人は簡単には引っ越せない事情があります。
小学生以上になると学校で過ごす時間が長くなって来ますし、友達関係も大切になってくる時期なので、転校が子どもの心に与える影響が心配されるからでしょう。
また、中高生にとっては、どこの都道府県に住むのかは今度の進路に大きく影響します。
逆に、まだ子どもが乳幼児のうちか、あるいは独立していれば、転勤について行っても良いと考える人は多いようです。
家族で転勤に帯同する場合のメリット&デメリットは?
では、夫の転勤について行った場合のメリットとデメリットについてもう少し具体的に掘り下げていきます。
転勤について行く場合、家族が共に暮らせるという大きなメリットがありますが、転校や進学に関する問題、妻の仕事、購入した持家をどうするのかなど、心配の種はつきないようです。
妻が退職(休職)する前に、これだけは押さえておこう!
先ほどのアンケートで「転勤について行かない」と答えた約3割の女性のうち、理由として最も多かったのは「自分の仕事があるから(65.6%)」でした。
夫は転勤しても同じ仕事を続けられますが、家族で帯同する場合、ほとんどの妻は現在の仕事を一旦辞めざるを得ません。
しかし、企業によっては、配偶者の転勤に帯同するための「休職制度」や、転勤から戻って来た際に再就職させてくれる「再雇用制度」、他にも単身赴任先で保育体制の整った職場を紹介してくれる所もあります。
このような転勤に有利に働く制度については、退職する前には必ず確認しておきましょう。
また、夫の転勤による妻の急な退職は「特定理由離職者」にあたるので、失業手当に関しては以下の2点において通常退職より手厚いフォローがあります。
- 被保険者期間が6ヶ月以上であれば失業手当を受給できる
- 受給資格が決定すればすぐに失業手当を受給できる
夫の転勤に伴い妻が退職せざるを得ないのは大きなデメリットですが、せめて、こうした転勤者に有利な制度は最大限に利用しましょう。
家族で暮らしたいけれど、子どもの転校が気がかり!?
転勤は未婚者や子どものいない夫婦に多い傾向がありますが、子供がいる場合の転勤には注意が必要です。
妻も子も転勤に帯同した場合、子どもの様子や子育ての悩みを毎日夫婦で共有し、対策を練りやすいのは大きなメリットと言えます。
しかし、転勤に伴う子どもの転校は、制服や教材を買い直す経済的負担や、友達と離れる精神的負担などデメリットも多いです。
転勤族の家庭で育った人の話では、地元と呼べる場所がないと感じる人もいます。
そのため、家族そろって転勤した後は、子どもの様子を注意深く見守り、子どものちょっとした変化にも気を配るようにしましょう。
同帯の方がお金は節約できる
夫が単身赴任をし、妻と子どもと別々の生活をすることになると、それぞれ住居費や光熱費がかかるため、一緒に暮らしていた時よりも出費はかさみます。
夫は妻や子どもの住んでいる自宅のローンや、家賃を払うのに加えて、自身の赴任先での生活費もかかるのが通常です。
会社から手当が出る場合もありますが、それでも全額負担してくれるわけではないため、二重で生活費を払うことになってしまいます。
また、週末に夫が帰って来るにしても、距離が離れている場合は高額な交通費がかかってしまうのが難点です。
いわゆる「週末婚」のような状態が長期間続くと、家族に会いにいくたびに、交通費などがかかるので、出費は増える一方です。
その分、一緒に住んでいれば生活費も交通費もかからず、お金の管理も楽になるので、無駄な費用がかかる心配はありません。
家を購入してしまったのにどうすればいい!?
予想外の転勤によりせっかく購入したマイホームを手放す事態に直面することもあります。
この点に関してはデメリットしかないようにも思えますが、前向きに考えれば新たな土地でより夫婦の理想に近い家探しができるチャンスと捉えることもできます。
「家は3回建てないと満足しない」という例え話もあるくらいなので、思い切って持家を売却し、新天地でより良い住処を探してみてはいかがでしょうか。
コミュニティ作りが大変な場合も・・・
夫の転勤によって、環境や人間関係が変わるのは子どもだけではありません。
特に、専業主婦の方の場合は、自分の居場所となるコミュニティを作れる機会が少ないため、人間関係が希薄になってしまう場合があります。
夫の単身赴任について行ったものの、友人も近くにおらず、新しい人間関係も築けずに、精神的にまいってしまう人もいるため、注意が必要です。
繋がりが欲しいと感じる場合は、市で行われる行事や、イベントごとに積極的に参加をして、近所の人と交流を持つようにしましょう。
また、顔を合わせるたびに近所の方に挨拶をするだけでも、人間関係を築くチャンスになります。
子どもがまだ幼い場合は、地域の子育てセンターに足を運んだり、親子イベントに参加することで、ママ友を作るきかっけにもなるので、まずは意欲的に外に出るのがオススメです。
夫の単身赴任を選んだ場合のメリット&デメリットとは?
夫の転勤について行くと答えた妻が約7割いたことからもわかるように、単身赴任を選んだ場合のデメリットは少なくありません。
そこで、単身赴任のメリットを確認しながら、とデメリットの克服の仕方についても考えていきます。
妻と子は現状の生活を維持することができる!
グローバル化が進む現代では転勤先が海外になることもよくあるようで、その期間は3年~5年に及びます。
慣れない異国の土地で帯同してきた妻がメンタル面に不調をきたすことに頭を悩ませる企業もあり、こうしたケースにおいては、夫の単身赴任が推奨されると言えるでしょう。
また、子どもがいる家庭の場合も、転校せずに済めば友達と離れる心配もないので精神的に安心感があります。
特に、高校受験や大学受験を間近に控えている学年であれば突然の進路変更は難しいので、単身赴任を選ぶことになるでしょう。
以前より自由な時間が手に入ることも
夫が家から離れることは、妻にとっても子どもにとっても寂しいことではありますが、夫がいた時より自由に使える時間は増えます。
夫の世話に手を焼いていた人にとっては、これからは子どもの世話だけで済むため、夫が単身赴任になったことによって、負担が軽減されたと感じる奥さんも多いようです。
また、夫と過ごしていた時間に空きができるため、久しぶりに友人と会ったり、自分の趣味に没頭したりと、自分のために時間を割きやすくなるのは大きなメリットと言えます。
また、少し離れてお互いの時間を過ごしていた方が、久しぶりに会った時の喜びも大きくなります。
夫婦によっては、夫が単身赴任になってからの方が、お互いの存在のありがたさに気付き、以前より関係が良好になったというケースもあります。
そのため、単身赴任にはデメリットだけでなく、メリットもあるのです。
最大のデメリットは子どもが父親になかなか会えない事
ある転勤族の方は、子どもが父親のことを「たまに遊んでくれるおじさん」程度にしか認識していないと話します。
やはり、なかなか父親に会えないことは、単身赴任の大きなデメリットになります。
しかし、最近は無料通信サービスを利用すればスマホやパソコンの画面を通してではありますが、離れた父親と対面しながら会話することができます。
単身赴任中の家族の距離感を縮めるためにはこうした通信技術を積極的に活用することもオススメです。
また、少数派ですが「夫が転勤するたびに単身赴任先へ妻と子で訪ねて行くのは旅行気分で楽しい」という前向きな意見もありました。
持家のローンと単身赴任先の生活費が家計を圧迫!?
もう一つのデメリットとしては持家の問題が挙げられます。
夫の転勤に妻と子が帯同しない場合、自宅には妻と子が暮らし続けるわけですから、持家のローンは継続します。
さらに、このローンに加えて単身赴任先の生活費(月々約12~14万円)が掛かってくるので、単身赴任は家計をかなり圧迫する可能性があります。
妻の仕事や子どもの転校のことを考えると、今いる土地に残りたくなるのは当然ですが、こうした経済的な厳しさを踏まえれば帯同を選ばざるを得ない家庭も多いのかもしれません。
単身赴任か帯同かは、家族でしっかり話し合いベストな選択を!
転勤の話が決まった時、一番悩むのは夫よりも妻ではないでしょうか。
家、仕事、子どもの教育など様々な面から考えねばなりませんが、一人で抱え込まずにしっかりと夫婦で相談することが何よりも大切です。
なかなか決めることができない場合は、まずは優先事項を決めるのがオススメです。
夫婦の関係はもちろん、災害時の対処や、子どもの転校など、転勤には様々な悩みが付き物ですが、その中で最も優先したいものを、話し合って決定しましょう。
夫が転勤した後に後悔しないためにも、最善だと思える方法を選択してください。
単身赴任にしても帯同にしても、どちらにもメリット・デメリットがありますから、よりよい夫婦関係・家族関係が築ける方法をしっかりと考えて、悔いのない選択をしましょう。