※本サイトにはプロモーションが含まれています。

【プロ執筆】新生児の生活リズムの作り方|外出の注意点や環境整備もアドバイス

新生児期や乳児期は、脳と身体が急速に育つ時期です。

こうした時期に生活リズムや環境を整えてあげることは、赤ちゃんだけではなく、赤ちゃんのお世話をするパパやママにもメリットがあります。

生活リズムを作ることの重要性

生活リズムを作ることの重要性

近年、親世代の生活リズムが多様化したことで、子どもの生活習慣まで崩れている家庭が多いことが指摘されています。

日本の子どもは寝不足?!

特に日本は諸外国に比べて、睡眠時間が短く、また就寝時刻が遅いことも研究でわかってきました。

睡眠時間の長さや就寝時刻は、子どもの情緒問題や発達障害など成長発達に大きな影響を与えると言われています。

生活リズムを整える鍵は睡眠にあり!

赤ちゃんが成長し、色々なことができるようになっていくプロセスを「発達段階」と呼びます。

赤ちゃんは眠っている状態と起きている状態(睡眠サイクル)が発達段階とともに変化していきます。

この睡眠サイクルの完成とともに生活リズムが確立するのです。

つまり生活リズムを作るポイントは睡眠にあると言うことができます。

睡眠リズムは月齢によって違う!

睡眠リズムは月齢によって違う!

人間の体には、25時間周期の体内時計がついていると言われています。

これが、脳の視床下部という場所にあるセンサーが光刺激を受けることで、地球と同じ24時間周期に毎日リセットされるのです。

この体内時計のシステムは、ママのお腹の中にいるときにはまだ働いていませんが、ママの就寝時刻が生まれた後の赤ちゃんの睡眠サイクルに影響を与えていることがわかってきました。

つまり、生活リズム作りはママのお腹の中から始まっているのです。

新生児期

生まれたばかりの赤ちゃんは体内時計のシステムが未熟です。

このため昼夜の区別はなく、3〜4時間おきに授乳と睡眠を繰り返します。

1~2ヶ月

生後1〜2ヶ月になると体内時計システムが起動し始めますが、まだシステムが未熟なため24時間周期に完全に同調させることができません。

このため少しずつ生活時間帯が遅れたりします。

3~4ヶ月

この時期になると朝の光や授乳、生活環境などから刺激を受けて、赤ちゃんの体は24時間周期に同調できるようになります。

これにより、大人と同様、睡眠も夜にまとめてとれるようになります。

月齢に応じた生活リズムの作り方

月齢に応じた生活リズムの作り方

「上手に寝たり起きたりしたくても、脳がまだ未熟でうまくいかない」生まれたばかりの赤ちゃんはそんな状況です。

泣いてばかりの赤ちゃんにパパもママも、ぐったり…。

こんなとき、赤ちゃんの月齢に応じた発達段階を知れば、生活リズムが作りやすくなるでしょう。

新生児期

まずは昼夜の明暗のリズムをつけて、昼と夜があることを教えてあげましょう。

昼夜のリズムがつくのは、もう少し先のことです。

焦らずに体内時計がうまく起動するための準備期間だと思いましょう。

パパとママには少し辛い時期。でもそんな時期は必ず終わりが来ますよ。

赤ちゃんも新しい世界に適応するために頑張っているのです。

1~2ヶ月

昼と夜が段々とわかってきますが、ようやく起動し始めた体内時計は残念ながらまだ未熟です。

時折24時間周期からずれてしまいます。

日中にたくさん話しかけ、タッチングしたり外の風に当たったりして、刺激を与えてあげましょう。

夜にはぬるめのお湯でリラックス、寝る前のタッチケアなど、眠る前の儀式を同じ時間に行うことで、昼夜のリズムを強化してあげましょう。

3~4ヶ月

首も座り、お出かけの機会も増え、また自分でも体を動かすようになるため昼間の刺激が増えます。

夜もある程度まとまって寝るようになりますが、体内時計は24時間だったり25時間だったりと変化があります。

このため、突然夜中に目覚めて泣いたり、寝つきが悪かったりすることもあるのです。

朝は陽の光をたっぷり浴びて、体内時計がリセットするように促してあげましょう。

日中は、床の上でたっぷりと遊べる環境を作ってあげると良いでしょう。

5~6ヶ月

離乳食も始まり、生活リズムがつけやすい時期です。

毎日およそ同じ時間帯になるように食事、授乳、遊び、お昼寝の時間を調整してあげましょう。

お出かけがしやすくなる時期ですが、長時間や夜遅くまでの外出はまだまだ負担です。

生活のリズムが崩れない範囲で、積極的に外の世界に触れされてあげると良いでしょう。

8ヶ月以降

ハイハイやつかまり立ち、一人歩きなど、自分で動き回れる世界が広がります。

外の世界への興味も広がり、いろいろなものに興味を示します。

このため日中の興奮が夜に夢になって再現されて、びっくりして夜泣きにつながることもあります。

夜泣きによる朝寝や長い昼寝は、結果的に生活リズムを崩してしまいます。

この時期のお昼寝は午前午後1回程度にまとまってくるため、朝は時間通り起こし、午後のお昼寝は遅くても15時過ぎには済ませるようにすると良いでしょう。

知っておこう!自宅の環境の整え方

知っておこう!自宅の環境の整え方

生活リズムを整えるためには、発達段階ごとの特徴を理解するだけではなく、体内時計の機能が最大限に発揮できるように環境を整えてあげることが大切です。

体温

体温は寝起きが一番低く、夜寝る前が一番高いと言われています。

これらは環境の明るさなどに影響を受け、24時間サイクルで動いています。

新生児期にはこのシステムは作動していませんが、生後1ヶ月くらいから作動し始め、10ヶ月までには大人と同じ調整ができるようになります。

睡眠は体温が下がると同時に始まり、体温が下がりきって再び上がり始めたところで覚醒すると言われています。

このため、寝る前に体を温めてあげること、特に古くから「頭寒足熱」という言葉があるように、足元をしっかりと温めてあげるようにしましょう。

これは、子どもだけではなく大人にも質の良い睡眠をもたらす大切な要素です。

メラトニン

メラトニンは脳内ホルモンの一種ですが、アンチエイジングに必要な抗酸化作用に加え、睡眠促進作用として広く知られています。

メラトニンは光の刺激により分泌が抑制されます。このため昼間には分泌されず、暗くなると多く分泌されるのです。

パパやママが寝るまでリビングで寝かせたり、寝室の照明をつけたまま寝かせたりすると睡眠リズムが乱れます。

メラトニンは生後3ヶ月くらいから分泌されるようになり、朝起きてから14時間後に分泌されると言われています。

つまり朝6~7時に起きた場合、20時から21時に暗い環境で眠れるようにしてあげると、メラトニンの恩恵を最大限受け眠ることができるのです。

これは赤ちゃんだけでなく、大人にも言えることです。

ひと昔前までは、夜になると暗くなり朝になると陽の光で明るくなる生活でした。

そもそも人間の体は、そうした自然のメカニズムに適応するようにできているのです。

しかし、現在は明るい照明やスマートフォン、PC、テレビなど、メラトニンの分泌を抑制するような明かりが生活の中には溢れています。

こうした刺激を取り除いてあげることは、赤ちゃんの生活リズムだけでなくパパやママの睡眠の質をあげるためにもとても大切なのです。

成長ホルモン

成長ホルモンは生後3~4ヶ月以降、寝ている間に分泌されます。

特に、眠り始めから3時間の深い眠りの間にたくさん分泌され、子どもの成長発達に大きく影響します。

まさに「寝る子は育つ」のです。

このため、早い時間に消灯し、しっかりと眠れる環境を作ってあげることが大切です。

胎内環境

妊娠中のメラトニンホルモンは、胎盤を通してお腹の赤ちゃんに移行します。

つまり妊娠中のママの生活習慣が赤ちゃんに影響するのです。

初産のママが、帰りの遅い旦那さんを待って食事や睡眠をしていたら、生まれてきた子がなかなか眠ってくれず、2人目3人目のママが上の子と一緒に規則正しい生活をしていたら、生まれてきた子がよく眠るというのは臨床でもよく聞く話です。

生活リズムの見直しは妊娠期から始まっているので、生まれる前から規則正しい生活を心がけましょう。

光は朝に浴びると、25時間周期の体内時計を24時間周期にリセットすることができますが、夜に浴びると25時間周期の体内時計をさらに延長させることになります。

朝陽をしっかりと浴び、夜は部屋を暗くすることは、生活リズムを整える上でとても大切です。

食事

食事を摂ると体温や血糖が上がり、体内環境に変化をもたらします。

この変化こそが、生活リズムにメリハリをつけるのです。

大人と同じ1日3回の食事にするのは、離乳食を進めている9~11ヶ月ごろに開始するのが一般的ですので、その頃から徐々に3回食に慣れさせ、完了期になったら3時のおやつ以外の間食はできるだけ避けるようにしましょう。

昼間の遊び

昼間の刺激は、日中に起きている時間を増やしてくれます。

また、遊ぶことで代謝が上がり体温を上昇させます。

昼間の刺激は深い睡眠を増加させ、しっかりと眠ることにつながりますので、日中にしっかりと遊ぶ時間を確保するようにしましょう。

外出レベル、外出時の持ち物・注意点ってなんだろう?

外出レベル、外出時の持ち物・注意点ってなんだろう?

月齢が進めば外出の範囲も広がります。長時間の外出や旅行などもできるでしょう。

適度な外出は、生活リズムを作ってあげるのにも有効です。

けれど、生活リズムも不安定で抵抗力も弱い赤ちゃん。

赤ちゃんの外出について、よく聞かれる質問についてお答えします。

いつからいいの?赤ちゃんの外出

生まれたばかりの新生児期は、抵抗力も弱く体温調整も不十分です。

生後1ヶ月を過ぎ、1ヶ月検診が終わって徐々に外出の機会が増えていく家庭が多いですが、抵抗力が低かったり体温調節がうまくできなかったりする状態には変わりません。

また赤ちゃんだけではなくママも、生活リズムは赤ちゃん中心となり寝不足で疲労がたまり免疫力が落ちている状態です。

新生児期は周りのサポートを受けながら、できるだけお家の中でのんびり過ごすようにしましょう。

もちろんリビングの窓を開け、風や光に当たることは構いませんが、特に皮膚がまだ未熟な新生児期ですので、直射日光に当てるのは避けるようにしましょう。

こうしたベランダや庭などの外気浴から、徐々に外出の幅を広げていくのや良いでしょう。

首の座る生後3ヶ月くらいからは長めのお出かけも安心ですが、お腹の中にいるときにお母さんからもらった免疫が下がってくる生後6ヶ月くらいからは、様々な感染症にかかる時期に突入します。

このことから、不特定多数の人が集まるような場所に行くことや、体調の悪い人と会うことは控えたほうが良いでしょう。

どのくらい平気?赤ちゃんの外出

最初の外出は、1時間以内におさめると安心です。

まだ授乳に慣れない時期やおむつ替えが頻繁な時期に外出する場合、最初から遠出をするのはハードルが高いものです。

長い時間の外出は、その分持ち物も増えてしまいます。

まずは授乳もおむつ替えも、外出前・外出後で済むような距離のお出かけから始めましょう。

初めてのことだらけの世界で、赤ちゃんは大人が思っている以上に体力を消耗します。

長い移動時間や外出は、たとえ抱っこやベビーカーでも赤ちゃんには負担になるもの。

ましてや夜遅くまでの外出は、せっかく整い始めた生活リズム自体がくるってしまいます。

やむを得ない状況以外は、極力避けてあげた方が良いでしょう。

何を持って行こう?初めてのお出かけ

オムツ関連グッズ

生後0〜3ヶ月くらいまではウンチやオシッコの回数が多いもの。

短時間の外出でも、おむつは4枚〜5枚はあると安心です。

これに加え、オムツをかえる時のおしりふき、汚れたオムツやおしりふきを入れるビニール袋は最低限必要です。

授乳関連グッズ

ミルク哺乳や混合の場合は哺乳瓶、お湯、粉ミルクが必要です。

最近ではミルク用のお湯を提供してくれる施設も増えてきましたが、いざという時にそのような施設が近くにあるとは限りません。

また母乳育児の場合も、授乳ケープがあると良いでしょう。

口からミルクが漏れたり、吐いてしまう事もありますから、ガーゼ数枚も忘れずに持ちましょう。

赤ちゃんの体温調節グッズ

オムツからの横漏れ、嘔吐、または急に寒くなった時などように着替えがあると安心です。

暑い日でもエアコンなどで室内が寒い場合もあるため、掛物は一枚持っておくと良いでしょう。

母子手帳、保険証、診察券

赤ちゃんは免疫力が低いことから、急に具合が悪くなることがあります。

外出先でもすぐに病院に行けるように、母子手帳と保険証などはセットにして持ち歩くと安心です。

これだけは注意!赤ちゃんのお出かけ

パパや家族のサポートがなく、ママ1人で1ヶ月検診に連れ出さなくてはいけない場合もあるでしょう。

その場合は、なるべく公共交通機関の使用は避け、タクシーなどを使うようにしましょう。

また外出する際は、何よりも赤ちゃんの安全が第一です。

ベビーカーは月齢にあったものを使用していますか?

外の温度は赤ちゃんにとって快適ですか?

今日の赤ちゃんの体調は良好ですか?

季節や天気、赤ちゃんの様子で、お出かけを始めるタイミングや外出する時間を調整しましょう。

そして外出から帰ったら、赤ちゃんの様子に変化がないかよく見てあげましょう。

夏場にぐったりしていたら熱中症の可能性もあります。

風邪が流行る時期には、鼻水を垂らしたり咳をしたり熱が出ていることがあります。

外出後は、いつもより多めに母乳やミルクを飲む赤ちゃんもいますから、しっかりとあげて水分補給をさせましょう。

また赤ちゃんの肌は敏感なので、沐浴をしてホコリや汗などを綺麗に洗い流してください。

妊娠・育児でパパとママも健康に!

妊娠・育児でパパとママも健康に!

赤ちゃんの生活リズムを整えることは、なかなか大変です。

きっとパパとママが思っている以上に長い時間がかかります。

けれど、そうして誰もが、お腹の外の環境に適応し大きくなったのです。

そして同時にそれは、パパとママの生活を改めるきっかけでもあります。

大人の生活と赤ちゃんの生活を区別するのはとても大変なもの。

特に生後しばらくは赤ちゃん中心の生活です。

それならば腹をくくって、赤ちゃんと同じ生活をしてみるのもいいかもしれません。

明るくなったら起きる、暗くなったら寝る。そもそも私たちがしてきた生活です。

赤ちゃんとの生活、それはパパとママの健康な生活への第1歩かもしれませんね。

まい/助産師

大学病院、総合病院、助産院と幅広い現場で助産師として従事。
妊娠期の指導から産後ケアまで、多くの妊産婦と赤ちゃんのサポートを行う。