妊娠しやすい体作りをするためには様々な方法がありますが、実は「鍼」や「お灸」も効果的だと言われています。
あまり馴染みがない方のために、鍼灸の治療法や妊活への効果などをまとめました。
妊活にも効果的と言われる鍼灸の魅力とは?
妊活とは、妊娠に関する基礎知識を学ぶ、基礎体温を毎日測って自分の生理周期を調べる、妊娠しやすい身体を作るために食生活や生活習慣を見直すなど、内容は多岐に渡ります。
「赤ちゃんが欲しい」という切実な願いを叶えるため、多くの女性が妊活に取り組んでいますが、なかなか妊娠に至らない場合もあるのが現実です。
その場合、人工授精や体外受精などの本格的な生殖医療に進んでいきますが、薬を服用したりホルモンバランスを整える注射をしたりと、道のりは平坦ではありません。
このように精神的にも身体的にも辛い一面のある妊活ですが、効果的な方法の一つとして、今「鍼灸」が注目されています。
鍼灸は体全体のバランスを整える東洋医学!
鍼灸と聞くと、肩こりや腰痛の治療法というイメージを持つ人も多いかもしれません。
そもそも鍼灸とは、古代の中国から伝わる東洋医学の中核を成す治療法です。
鍼灸では、西洋医学の外科手術のように問題のある臓器そのものに治療を施すことはなく、舌や手、足などを観察・触診し、問題の臓器とは離れた場所に鍼や灸をすることで心身の回復をはかります。
鍼灸で身体に刺激を与えることで、血圧や自律神経で働いている胃や心臓などの臓器に影響を及ぼし、臓器機能のバランスを整えることができるのです。
鍼灸では、身体をひとつの小宇宙として捉え、そのバランスが崩れた時を「病気の発症」と捉える考え方をしますが、その「バランスを崩さない身体をつくること」、これが東洋医学の基本的な考え方になります。
レオナルド・ダ・ヴィンチなどによる解剖から発達した西洋医学と、身体の表面(皮膚や舌)などのわずかな違いを観察することで生まれてきた東洋医学とでは、根本的に考え方が異なるのです。
鍼(はり)治療とは?鍼を刺しても痛くないの?
鍼治療と聞くと、「針を刺すなんて痛そう」と思う人もいますが、鍼治療では直径0.12~0.18mm程度のごく細い鍼を使うので、ほとんど痛みはありません。
東洋医学には「気血(きけつ)は経絡を通り、全身の元気を司る」という考えがあります。
鍼治療では、ツボと呼ばれる経穴(けいけつ)に鍼を打ち、この経絡の滞った流れをスムーズにすることで体調改善につなげていきます。
方法としては、刺した鍼を上下したり回したりして一定の刺激を与えた上ですぐ抜く「単刺」と、10~15分程度刺したままにしておく「置刺」、刺した鍼に電極をつなぎ、微量の電流を流す「パルス鍼」などがあります。
灸治療とは?火をつけているのに熱くないの?
灸とは、一般的に「お灸・やいと」と呼ばれており、艾(もぐさ)を用いて経絡(ツボ)に刺激を与えます。
もぐさとは、ヨモギの葉を乾燥させ、葉の裏側の産毛を集めたものです。
方法としては、直接皮膚上に乗せて着火する「直接灸」と皮膚には直接触れない「間接灸」があります。
直接灸は糸状のものや米粒大なので、多少「チクッ」とすることはありますが、耐えられない熱さではありません。
しかし、その日の体調によっては熱いと感じたり、水泡ができたりする場合があるので、専門の技術が必要です。
その点、間接灸であれば、皮膚と灸の間に薄く切ったショウガやニンニク、円柱状の筒など、熱の緩衝材になるものを入れて熱さを和らげているので比較的気持ちよく行えます。
妊活に鍼灸を活用したい!実際の効果や頻度は?
では、実際にこれらの鍼灸を妊活した場合、どのような効果が得られるのでしょう。
実際に鍼灸を開始した場合の頻度や期間、治療にかかる費用についてお伝えします。
妊活中に鍼灸をするとどんな効果があるの?
まず、妊娠には女性ホルモンの働きが大きく関わっており、脳の視床下部・下垂体から指示を受けて卵巣から分泌されることがわかっています。
しかし、この視床下部はストレスの影響を受けやすく、ストレスを溜め過ぎると妊娠するために必要な女性ホルモンのバランスが崩れてしまうことがあるのです。
現代社会は、女性にとっては仕事と家事の両立や、パソコンやスマホの普及による身体的負担など、大きなストレスを抱えやすい社会になっています。
これらのストレスにより、目の疲労や肩こり、不眠症や食欲不振、原因不明の体調不良など、様々な身体症状を訴える女性も増えています。
鍼灸治療はこうしたストレスによる身体症状の解消に効果があります。
また、副交感神経の機能を高める働きもあるので、自律神経やホルモンバランスが良くなりストレスが軽減されるので、精神的にも身体的にもリラックスできます。
さらに、妊娠するためには血行を良くして身体を冷やさないことも大切です。
血行促進や冷え対策はまさに鍼灸治療の得意分野なので、この点においても鍼灸は妊活に効果的と言えます。
実際に、体外受精が失敗した後や卵管閉塞診断後でも、鍼灸治療をしたことで妊娠につながった事例もあるそうです。
鍼灸で不快な月経症状を抑え、ストレスの軽減を目指そう!
月経時に下腹部痛や疲労感、イライラ、不眠など様々な痛みや精神症状など、不快の月経症状に悩む女性は少なくありません。
特に妊活中は、「月経=妊娠失敗」という事実の連続であり、月経が起こること自体がストレスの原因にもなり得るという辛い状態が続きます。
針治療は自律神経を整える働きがあるため、妊活に失敗してしまった時のストレスを緩和することができ、精神的な負担をかけすぎず前向きに妊活に取り組む助けになります。
さらに、鍼灸治療を継続して行うことで上記のような不快な月経症状を軽減することができるので、それがまたストレス軽減につながるというわけです。
妊活中の鍼灸の頻度はどれくらいが適切?いつまで通う?
鍼灸というのは、1回施術したからといって目に見えて効果が出てくるものではありません。
徐々に時間をかけて身体全体のバランスを整えて行くものなので、平均的な通院間隔としては週に1回、最低3ヶ月~半年ほど続けることが目安となります。
もちろん、年齢や身体の状態によって差は出るので、通院が3ヶ月未満でも妊娠につながる場合もありますし、逆に半年以上かかる場合もあります。
通う際の注意点としては、週に1回の通院とはいえ、休んでしまうと身体のバランスが崩れてしまうので、キャンセルする場合は必ず鍼灸院へ連絡するようにしましょう。
鍼灸院の先生との信頼関係を築くためにも大切なことです。
鍼灸にかかる費用ってどのくらい?
神経痛やリウマチなど、健康保険が適用される症状もありますが、妊活は怪我や病気ではないため保険適用外となります。
自由診療の場合、通う鍼灸院にもよりますが、1回3000円~5000円が平均的な費用です。
初回は触診したり食生活などを聞き取ったりなどのカウンセリングもあるので、初診料としてプラス1000~3000円は見ておいた方が良いでしょう。
例えば、妊娠に至るまでを半年かかったとすると、週に1回5000円で通った場合は「5000円×月4回×6ヶ月」で合計120,000円かかる計算になります。
詳細な治療費は鍼灸院によって様々なので、直接問い合わせるようにしましょう。