毎年、流行の状況がニュースで取沙汰されるインフルエンザ。
ウィルスに感染しないために時期や予防法を把握し、万が一かかってしまった時の対処法も一緒に覚えておきましょう。
毎年寒い季節になると流行するインフルエンザ
気温が下がって乾燥してくる秋冬にかけては、インフルエンザ流行の季節とも言えます。
日本では例年12月~3月が流行るシーズンでありピークは1月~2月で、一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染が拡大します。
インフルエンザにはA型、B型、C型と呼ばれる3つの型があり、その年によって流行するウイルスが異なるのですが、特にA型とB型の感染力は強力で、毎年約1千万人、約10人に1人が感染しています。
インフルエンザの流行を防ぐためには、原因となるウイルスを体内に侵入させないこと、かかってしまった場合は周囲にうつさないようにすることが大切です。
今回は、インフルエンザの予防法と対処法についてみていきましょう。
インフルエンザにはどうやって感染する?
感染した人からの「飛沫感染」
ひとつはインフルエンザに感染している人の咳やくしゃみと一緒に、ウイルスが空気中に放出されて、それを口や鼻から吸い込んでしまい感染する飛沫感染があります。
主な感染場所は職場や学校、満員電車といった人が多く集まる場所です。
感染した人が触ったものからの「接触感染」
もう一つは感染した人がくしゃみや咳をしたときに口元をおさえた手で触ったものを、別の人が触れて、その手で食べ物を食べたり鼻を触ったりして粘膜から感染する接触感染です。
主な感染場所は公共のもの、例えば電車のつり革やドアノブ、スイッチ等からによります。
インフルエンザはどんな症状が出る?
熱と痛みに要注意!
インフルエンザが発症すると、突然38度以上の高熱が現れ、この熱と併せて関節痛や筋肉痛、頭痛といった痛みが起こります。
さらに、熱や痛みによって全身がだるくなったり(倦怠感)、食欲が落ちるなどの全身症状が強く出現します。
この様な症状が出てから少し経つと、喉の痛み、鼻水、咳などの呼吸器の症状が出てきたり、人によっては吐き気や腹痛といった消化器症状に襲われることもあります。
また、子供や高齢者、妊娠中の方など人によっては、肺炎や脳症を発症してしまい、重症化する恐れがありますので注意が必要です。
インフルエンザにかからないための予防方法
こまめに手洗いをしましょう
流水と石鹸による手洗いはあらゆる感染症対策の基本の方法です。
手や指などについたインフルエンザウイルスを、石鹸や流水が物理的に取り除くことができます。
また、インフルエンザ以外でも接触感染などを予防することができますので、手洗いは必ず行いましょう。
手のひらだけでなく指や爪の間、手首や手の甲も念入りに洗いましょう。
また、インフルエンザウイルスはアルコールに消毒にも弱いので、ドラッグストア等でもよく見かけるアルコール製剤による手指衛生も効果があります。
適度な湿度を保ちましょう
空気が乾燥すると、喉の粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
冬場は湿度が低いため室内が乾燥しやすくなっていますが、加湿器などを利用して適度な湿度を保つように心がけましょう。
湿度計をお持ちの方は、50~60%の湿度を維持できる様にしてください。
十分な睡眠とバランスのとれた食事を!
免疫力が弱っていると、インフルエンザに感染しやすくなるだけでなく、感染したときに症状が重くなる可能性があります。
体の抵抗力を高めるために、普段から十分な睡眠と栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
人混みや人の多く集まる場所への外出は控えましょう
インフルエンザが流行してきたら、特に妊娠中の方や、高齢の方、睡眠不足の方は、人混みや多くの人が集まる繁華街への外出を控えてください。
外出して人混みに入る可能性を避けられない場合は、不織布製マスクを着用して飛沫感染を防ぐことは有効な手段です。
不織布とは「織っていない布」の意味で、糸や繊維等を織らずに、熱や化学的作用で接着させて布にしたものであり、これを用いたのが不織布製マスクです。
不織布マスクはガーゼマスクに比べて、粒子やウイルスを捕集する効果が高く、通気性も良いと言われています。
インフルエンザウイルスは他の細菌・ウイルスに比べて小さいので、不織布マスクを選ぶときには「PFE(0.1μmの遮断率)」が高い製品を選ぶとより安心です。
予防接種を受けておきましょう
予防接種(ワクチン)は、インフルエンザ感染後に発症する可能性を減らし、もし発症した場合においても重症化を防ぐ効果があります。
重症化が心配な方は、医師に相談して予防接種を受けておきましょう。
ただし、予防接種は受けてから効果を発揮するまでに2週間ほど時間がかかり、受けたワクチンの効果が持続するのは一般的に5ヵ月程度ですので、できれば11月中、遅くても12月中旬までには予防接種を受けるようにしましょう。
また、年によって流行するウイルスの型が変わるので、毎年接種するのが望ましいとされています。
予防接種を受けていても、インフルエンザにかかる可能性はありますので、マスクの着用や手洗いなども行ってください。
インフルエンザにかかってしまったかも?と思ったら
早めに医療機関を受診してください
もしも急速に38度以上の発熱があり、咳やのどの痛み、全身の倦怠感や関節痛などの症状が出た場合には、早めに内科や子どもの場合は小児科を受診しましょう。
特に、幼児や高齢者、妊娠中の女性や持病がある方は、肺炎や脳症などの合併症をおこして重症化する可能性があるので注意が必要です。
ただ、発熱から12時間未満の場合、検査の結果が陽性にならないことがあるので、発熱後12時間以上経過してからの受診が望ましいでしょう。
しかし、もしも痙攣している、呼びかけにこたえない、息切れや呼吸が速く苦しそう、顔色が悪い、嘔吐や下痢、胸の痛みが続いているといった症状がある場合はすぐに医療機関を受診してください。
薬は医師の指示に従って正しく服用してください
医療機関で受診した際、医師から抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。
この薬は発症から48時間以内に服用を開始すると、発熱期間が1~2日ほど短縮され、ウイルス排出量も減少しますので、インフルエンザにかかったら必ず投薬が必要になります。
現在の抗インフルエンザウイルス薬は、1度で終わる吸入タイプのことが多いので、受診した病院で投薬してから帰宅することがほとんどです。
とにかく安静にする
インフルエンザに罹った時は、特に睡眠を十分にとることが重要です。
外出は控え、無理をして職場や学校に行かないようにし、安静にして休養をとってください。
水分補給をしっかりしましょう
高熱によりたくさん汗をかくため、脱水症状になる恐れがあります。
それを予防するためにこまめな水分補給が必要です。
熱中症対策などでもよく言われていますが、水分補給の時は塩分や糖分の入ったスポーツドリンクを飲むようにしましょう。
汗で失われた塩分を補給することもでき、さらに水分の吸収がスムーズになります。
飛沫感染を防ぐための咳エチケットを
咳やくしゃみが出るときはできるだけマスクをしてください。
感染者がマスクをすることは、ウイルス感染の拡散を防ぐ効果が高いと言われています。
これは感染時だけでなく、普段から咳エチケットを心がけ、咳やくしゃみを他の人に向けて発しない習慣を身につけることが大切です。
マスクをしていないときのとっさの咳やくしゃみの際には、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆って、他人に顔を向けないようにしましょう。
鼻水やたんなどを拭いたティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手のひらで咳やくしゃみを受けた時はすぐに手を洗いましょう。
人混みや繁華街への外出を控えましょう
インフルエンザにかかってから、熱が下がっても数日間はウイルスが体内に残っています。
したがって周りの人にうつすのを避けるため、なるべく人混みや繁華街への不要不急の外出は控えましょう。
感染者が子どもの場合は目を離さないように
小さな子どもや未成年者においては、インフルエンザ発症中、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあることがわかっています。
自宅療養中、最低でも発症から2日間は小児、未成年者が一人にならないように配慮するよう心がけてください。
インフルエンザの感染を広げないためには一人一人の意識が大切
季節的に流行してしまうインフルエンザとはいえ、それぞれがインフルエンザにかからないように気を付けることが大切です。
また、かかってしまった後はインフルエンザうつさないための対策・行動をとるようにしましょう。
インフルエンザが発症すると、外出できない時間が定められているため、仕事や学校に行くことができなくなります。
「重要な仕事がある」「大切な授業だから」と思うと外出したくなってしまうものですが、それによって集団感染を引き起こしかねません。
インフルエンザにかかったらまずはきちんと治療し、しっかりと静養して元気になってくださいね。