【プロ執筆】小学校PTAの役員・委員は何をする?仕事をしている人はやらなくても平気?

「PTA役員は大変だから選ばれたくない」という声はよく耳にしますが、実際のところPTA役員・委員は、どのような仕事をしているのでしょうか。

今回は、小学校PTAの活動内容と、共働き家庭のPTA参加の是非についてまとめました。

小学校PTAってどんな集まり?

小学校PTAってどんな集まり?

PTAとは、Parent(保護者)、Teacher(教職員)、Association(組織)の頭文字を取ったもので、直訳すると「児童の保護者と教職員で構成される組織」という意味です。

「~小学校PTA」「~小学校育友会」など学校によって呼び方が異なる場合もありますが、「保護者と教師・地域の人々が連携しながら、子ども達の健全な育成と豊かな心をはぐくむ」という目的は共通しています。

PTAは自動加入?役員は共働き世帯に敬遠されがち

子どもが小学校へ入学すると、保護者は自動的にPTA会員(一般会員)となり、PTA会費(児童一人につき年間約3000円)を払う流れになるのが一般的です。

そして、大勢の一般会員の中から「役員・委員」に選ばれると、校内の環境整備や学校行事のサポート、地域の各団体との連携などあらゆる実務活動を担うことになります。

こうしたPTA役員・委員の仕事は、営利目的ではないため完全なボランティアです。

小学校によっては、「役員会議や学校行事への参加は強制」「児童一人につき必ず1回は必ず役員になること」といった暗黙のルールが存在するところもあります。

共働き世帯数が専業主婦世帯数の約2倍に達しようとしている現代では、PTA役員・委員の仕事はどうしても敬遠されがちです。

PTAへの参加は「義務」ではない!?

中には「PTAへの加入同意書」を配る学校もありますが、そうした書類はなく自動的にPTAに加入させられ、給食費や学級費と一緒にPTA会費が引き落とされる学校も少なくありません。

保護者間でも「PTAは子どもたちのためなのだから加入は当たり前であり、役員に選ばれた際には積極的に活動に参加すべき」という考えは根強いようです。

しかし、法律上PTAは任意加入の団体であり、加入は義務ではありません。

つまり、「私はPTAに加入しません。よって会費も払わないし、役員にもなりません」と宣言しても、法的にはなんら問題はないのです。

ただし、こうした想い切った決断を下す前に、今一度PTAの活動内容について知っておいてほしいと思います。

PTAの主な活動内容とは?

PTAの主な活動内容とは?

PTAは、「一般会員」と「役員・委員」で構成されますが、ほとんどの保護者はPTA会費を納めるだけの「一般会員」です。

そこから、立候補や推薦、くじ引き等で「本部役員」や「学級委員(あるいは地区委員)」に選ばれると、具体的な実務に携わることになります。

本部役員と学級委員、地区委員の違いは?

本部役員とは、PTA会長や副会長、書記、会計監査等を指します。

学年に関係なく学校全体のPTA活動の運営や実行に深く関わる上、地域の他団体との会議もあり、大変な忙しい仕事です。

下記に述べるPTAの様々な分野の長たちと合わせて「常任委員会(理事会・運営委員会)」を結成し、PTAを運営していくのです。

PTA役員・委員のお仕事は、大きく分けて3種類!

活動内容は小学校ごとに異なりますが、大きく分けると①学校内の活動、②地域(中学校や他団体)との連携、③学校教育活動への協力の3種類に分けられます。

もちろん、全国の小学校がこれらの活動をすべて網羅しているわけではありません。

むしろ、保護者から「共働きが増えた昨今ではPTA活動の負担が大きすぎる」という声を汲み取り、活動内容を取捨選択、スリム化させた小学校もあります。

①学校内の活動(例)

  • 入学・卒業式等での祝辞
  • 卒業記念品の贈呈
  • 夏休み中の運動場の草引き(運動会に備えて)
  • 運動会の参加賞の選定、購入
  • 広報誌の発行
  • ベルマーク収集
  • 教育・子育てに関する講演会や救命講習等の企画 など

②地域(中学校や他団体)との連携(例)

  • 校区内パトロール
  • 交通安全街頭指導(いわゆる交差点での旗ふり当番)
  • 朝の声掛け運動
  • 自治会との情報交換
  • 中学校区青少年育成委員会へ参加 など

③学校教育への協力(例)

  • 図書室ボランティア(オススメ絵の本コーナーの作成、読み聞かせ等)
  • 運動会の準備やPTA種目の手伝い
  • マラソン大会の手伝い(道案内やうどんの炊き出し等)
  • 水泳学習の監視のお手伝い
  • 給食試食会 など

学級委員・学年委員が割り振られる「専門部」とは?

上記の3種類のPTA活動を、もう少し詳細な分野「専門部」ごとに整理して活動している小学校も多くあります(下記参照)。

本部役員はこれらの活動全てに関わっていきますが、学級委員や学年委員は、専門部に割り振られた後、主に子ども学年の行事を中心に活動していきます。

そのため、林間学校や修学旅行のような大きな行事が多い高学年の委員さんは、どうしても負担が大きくなるため避けたいという保護者が多いようです。

また、各専門部の中から選ばれた専門部長は、本部役員と共に活動に深く携わることになるため、仕事内容が多くなります。

なお、「地区委員」が存在する小学校では、クラス単位ではなく住む地域単位で選出され、交通安全指導や旗振り当番等を担当します。

小学校PTAの「専門部」(例)

  • 教養部(文化部):講演会、講習会の企画、文化祭(フェスティバル)のお手伝い
  • 生活部(校外生活部・郊外指導部):交通安全街頭指導、地域の自治会や中学校との連携
  • 施設部(環境部):ベルマーク、草引き、奉仕活動等
  • 体育部(保健体育部・健康部):運動会、水泳監視、マラソン大会等のお手伝い
  • 広報部:広報紙の発行

活発なPTA活動の活動例5選!

ここで、もう少し具体的にPTA活動を紹介したいと思います。

全国の小学校の中には、上記の項目に収まらないような幅広い活動をしている活発なPTAがたくさんあります。

もし、ご自身の校区のPTAが形骸化し、無駄な内容が多いと感じるようであれば、これらの活動を参考にPTA活動に変化を提案してみてはいかがでしょう。

①食べ物への感謝の気持ちを育てる「食育」

①食べ物への感謝の気持ちを育てる「食育」

平成25年京都府にあるある小学校では、子どもたちの野菜観察用の畑をつくるために、保護者や地域の「おやじの会」が協力し合い、石がゴロゴロしている状態の空き地を一から開拓しました。

そこで、PTAの保護者たちが農作業を通して「食べ物をつくる大変さ」「食べ物の命をいただいているという感謝の気持ち」を実感したことで、それを子どもたちにも伝えたい思いが高まったのです。

最初は簡単な調理実習から始まり、シソでの葉で作る「しそジュース」やバジルの「ジェノベージェ」づくりから発展し、古くからの「日本食」「保存食のすばらしさ」を伝えるために親子で「味噌づくり」も始めました。

子どもたちは、味噌づくりの過程で、大豆を潰す感覚を楽しみ、麹を混ぜて半年以上待つことで出来上がる「発酵パワー」に驚いたそうです。

それ以来、毎年、土づくりから苗植え、草刈り、収穫の流れを子どもたちとPTAが一体となって取り組んでいます。

②図書ボランティア活動で豊かなこころを育む!

②図書ボランティア活動で豊かなこころを育む!

川崎市にある児童数1000人以上の大規模小学校では、子どもたちの活字離れを心配し、PTAが有志で「図書ボランティア隊」を結成しました。

私も教員時代に感じたことですが、子どもたちには絵本の読み聞かせや面白い本の紹介をしたいと思うのですが、膨大なその他の仕事に追われ、なかなか時間が取れませんでした。

その点、このようにPTAが中心となって「絵本の読み聞かせ」や「図書室のおすすめ本コーナーの設置」をしてもらえるのは大変ありがたい活動です。

保護者によるボランティア隊が頑張ることで、教員も触発され、おすすめ本を紹介したり、子どもたちもお友達におすすめ本を紹介したりする活動が広がり、児童が本に触れる機会も増えたそうです。

③地域と取り組むPTA活動!~自分たちの住む地域をもっと知ろう!~

③地域と取り組むPTA活動!~自分たちの住む地域をもっと知ろう!~

新潟県にある中規模小学校では、毎年3年生になると「自分たちが住む地域の特色をよりよく知る」という目的で、子どもたちと保護者が地域のお寺や遺跡、建物をめぐり、そこに古くから住む地域の人々にお祭りの由来や歴史を学ぶそうです。

子どもたちだけでなく保護者も参加することで、保護者も改めて地域の良さを改めて発見できました。

企画や実行は大変なイベントですが、子どもたちがふるさとの歴史を知ることで、日本全国の様々な歴史にも興味を持てるきっかけになると思います。

また、4年生では、地域の助産師グループの協力により「命の出前講座」を行うそうです。

胎児が、「生きること」「生まれること」を自ら選択し、力を尽くして誕生していることを知り、自分が大切な存在であること、また他人の命もかけがえのないものであるということを学んでいます。

こうした地域の人々を巻き込んだ活動は、子どもたちが学校の力だけでは学べないことを学ぶことができるのです。

④PTA活動のスリム化に成功!

④PTA活動のスリム化に成功!

埼玉県にある中規模小学校では、「そもそもPTA活動の中身がよくわからない」「広報紙のページ数が多すぎて負担が大きすぎる」という保護者の声を汲み取り、PTA活動のスリム化に挑戦しました。

PTA会員377名が一体となり、PTA組織の質を落とすことなく合理化と最適化に取り組んだ活動は、平成28年度の「最優良PTA団体文部科学大臣彰」を受賞しました。

広報紙は12ページもあるものの内容が形式化し関心度が低かったため、「もっとPTA活動そのものを伝えよう」という観点でリニューアルし、4ページに凝縮しました。

そして、「PTAの役員活動が何をしているのかわからない」という声を受けて、「PTA活動の手引き」を作成、年間予定や全体の活動内容を紹介したそうです。

特に「役員の活動」については、専門部ごとの仕事内容から会議の回数まで詳しく解説することで、「役員はよくわからないけど、とにかく大変そう」という漠然とした不安を払拭することに成功しました。

⑤PTAの力で“ネット社会の危険”から子どもたちを守ろう!

⑤PTAの力で“ネット社会の危険”から子どもたちを守ろう!

山梨県のある小規模小学校では、インターネットの発達により子どもたちのすぐそばに危険が存在することを知ってもらうために、PTAと地域の教育関係団体が一体となって「我が家のネットルールづくり」に取り組んでいます。

保護者と教員は、そろって研修に参加し、家庭でのネット利用が常態化しているが生活習慣の乱れや交友関係のトラブルの増加につながること、また、ネット依存やネットいじめの実態やフィルタリングの機能性も学習しました。

その上で、PTA総会で「各家庭でのネットルールづくり」を作成することを決定し、実行に移しています。

子どもたちがスマホやパソコンを通してネットに触れる機会は年々低年齢化しているため、小学校のうちからこうした情報教育(ネットマナー教育、ネットのルールづくり)をしておくことは子どもたちがネット犯罪に巻き込まれることの抑止力になるでしょう。

仕事を理由にPTA役員・委員を断ることはできる?

仕事を理由にPTA役員・委員を断ることはできる?

ここまで、PTAの仕事について詳しく述べてきましたが、仕事を理由に役員を拒否することは可能なのでしょうか。

仕事だけを理由に断るのは難しいが、学校規模にもよる

共働き家庭が多くなっている昨今では、仕事で忙しいのは皆同じなので、「仕事が忙しいから」という理由だけでは役員を断るのは難しいと言えます。

ただ、ご自身のお子さんが通われる小学校が仮に各学年6クラスもあるマンモス校の場合、学級委員等に選ばれる確率も下がるし、役員や委員をせずに卒業を迎えることも可能かもしれません。

逆に、小規模~中規模の小学校であれば、必然的に全員が一度は役員を務めないとまわらないのが現状です。

中には、数種類の仕事を一人が兼任しないとまわらない程の小規模小学校もあります。

PTAに加入しないとどうなるの?

「PTAへの参加は任意なのだから、最初から加入しない!」という選択肢を選ぼうとする人も今後は出てくるかもしれません。

しかし、先ほどの活動内容を見てもわかる通り、PTA活動は子どもたちの学校生活と深く関わっています。

「加入しない」ということは「PTA会費も払わない」ということなので、つまりPTA活動の恩恵を受けられなくても仕方がないということです。

例えば、極端ですが「マラソン大会後、PTAが作ってくれたうどんを食べるな」「卒業記念品はなしか、実費負担」「広報誌は配布しない」などと言われかねないのです。

保護者の方だけならまだしも、子供にも影響すると悲しい思いをさせてしまう可能性もあるので、ここは一つ慎重になって検討しましょう。

小学校PTAの活動は、子どもたちのためのもの!

小学校PTAの活動は、子どもたちのためのもの

PTAの「役員・委員」は、共働きの増加に伴いどの小学校も(特に高学年において)立候補者が出にくいという声を耳にします。

しかし、PTAの本来の目的は子どもたちの健全な育成と豊かな心をはぐくむための活動であり、それは保護者と教職員の共通の願いです。

ある大規模小学校では、運動場が狭いことで、運動会は場所の取り合い、休み時間にも怪我が多いという現状を打破するため、PTAが一丸となって一年間かけて市へ交渉し、運動場拡張を実現させました。

PTA役員と仕事との両立は大変ですが、本来の目的を見失わず、一人ひとりの保護者が「自分ができることを・できるときに・少しずつ協力しよう」と意識すれば、大きな波を起こすことができるでしょう。

Emi/小学校教諭

市立小学校の担任教諭を担当し、生徒への教育や指導、保護者への助言を経験。
現在は2児の母として、小学校入学を控える立場にもなり、より見識を深めている。