お部屋の空気が乾燥していると、肌のトラブルや喉の痛みにつながることがあります。
特に冬場は、暖房の影響もあり室内はかなり乾燥しているため、風邪やインフルエンザの感染率もアップします。
そこで今回は、効率よくお部屋の湿度を上げる裏技を紹介しますので、ご家庭に合った方法を取り入れてみてくださいね。
湿度の仕組みと快適な湿度を知ろう!
まず、湿度を上げる方法を知る前に、「湿度の仕組み」と「人が快適に感じる湿度」について理解しておきましょう。
湿度とは何を表したもの?
「湿度」とは、空気中に含むことができる最大の水分量に対して、実際にどれくらいの水分が含まれているかをパーセンテージで表したものです。
※ここでいう「水分」とは、正確にいうと目には見えない水蒸気のことですが、わかりやすいように「水分」と表現しています。
例えば、気温30℃の空気1㎥(立法メートル)の中には、最大約30gの水分を含むことができますが、空気中の水分量が24gであれば湿度は80%、12gなら湿度は40%になるというわけです。
冬場に空気が乾燥しやすくなるのはどうして?
先ほど、気温30℃の空気中には約30gの水分を含むことができると述べましたが、実は、気温が下がれば下がるほど、空気中に含むことができる水分量は減少していきます。
冬場は気温が低いため、空気中にはわずかな水分しか含むことができず、からっと乾燥した空気ができるのです。
日本の冬場、寝室の室温は平均約10℃しかないため、布団を出るととても寒く感じます。
そこで、室内の冷たい空気を暖房器具で温めるわけですが、元々乾燥している空気を温めたところで空気中の水分量が増えるわけではないため、湿度はさらに低下してしまいます。
特に、エアコンや電気ストーブなど、水蒸気が出ないタイプの暖房器具を使う家庭にとっては、加湿対策はとても大切です。
快適な湿度は風邪・インフルエンザの予防にも!
「人が快適に過ごせる湿度」は50%~60%と言われています。
日本の平均的な一年間の湿度の変化を見てみると、春先は50%~60%ですが、梅雨の頃から湿度が上がりはじめ夏場は70~80%を維持し、秋から冬にかけては一気に下がり2月には50%を切ります。
冬場、室内の暖房により湿度が40%を切ってしまうと、肌トラブルや喉の痛みが起こりやすくなる上に、風邪やインフルエンザの罹患率も高まります。
例えばインフルエンザウィルスの場合、保菌者がクシャミをしても室内の湿度が50%以上であれば空気感染する確率はほとんどないですが、湿度が40%を切っていれば、半数以上のウィルスが6時間経っても空気中に生き残ってしまうのです。
かといって、必要以上に加湿して室内の湿度が70%を越えると、今度カビが発生しやすくなってしまいます。
肌トラブルの防止と、病気の予防という観点から見ると、やはり室内の湿度は50%~60%が最適と言えそうです。
加湿器を使わずリーズナブルに湿度をアップ!
秋冬の乾燥したお部屋の湿度を上げる大切さがわかったところで、今度は具体的に湿度を上げる方法を紹介していきたいと思います。
まずは、わざわざ加湿器を購入することなく、家庭にあるものを工夫して加湿する裏技を紹介しましょう。
裏技その1:湯船のフタと浴室のドアを開けたままお湯をはる
湯船のフタをせずにお湯をはった際に、浴室内の床や壁が湯気でじっとり濡れていたことはないでしょうか。
これは、湯船の水面から蒸発した水分が、室内の壁で冷やされ結露になった状態です。
湯船には大量のお湯が入っている上に、水面の面積も広いため、フタをしなければたくさん水分が蒸発します。
それを利用し、思い切ってお風呂のフタだけでなく浴槽のドアまで開けた状態でお湯をはると、水分を多く含んだ空気が部屋の方まで流れていき、湿度をあげてくれます。
ただし、この方法はワンルームマンションやホテルなどお風呂から部屋までの距離が近い場所では効果的ですが、一戸建てのように浴室とリビングの間に廊下がある間取りでは、あまり室内の湿度アップ効果は期待できません。
また、浴室からはかなり湿った空気が出てくるため、長時間開けすぎると脱衣所や廊下の壁や床にカビが発生するおそれもあるので注意しましょう。
裏技その2:お湯を沸かして枕元に置くだけ!
これは、「部屋までお風呂の湯気が届かないならば、小さいお風呂を作って運んでしまおう」という発想です。
方法は、鍋やフライパン等でお湯を沸かし、枕元に置くだけなのでとても簡単です。
水面から蒸発した水分が空気中に広がり、室内の湿度をあげてくれます。
水を早く蒸発させるためには、なるべく口の広い鍋を使い、熱々の状態で置いた方がより効果的です。
ただし、床に鍋を置いてしまうとうっかり蹴とばしてこぼしてしまったり、幼い子どもが触って火傷したりする危険もあるため、鍋を置く場所については十分注意しましょう。
裏技その3:洗濯物を部屋干ししよう!
乾燥した部屋で洗濯物を部屋干しすると、衣類の水分が少しずつ空気中に蒸発し、室内の湿度を少しずつあげてくれます。
特に冬場は外気温が低く洗濯物が乾きにくいため、外に比べて温かい室内で干した方が早く乾くかもしれません。
しかし、冷え切った部屋では洗濯物がなかなか乾かず部屋干し臭も気になってしまうかもしれないので、扇風機をあてたり洗濯物の下に新聞紙を敷いたりする工夫が必要です。
冬場の部屋干しはどうしても乾くのに時間がかかるため、暖房器具を併用することをオススメします。
また、昼間のうちに洗濯物を片づけてしまい寝室に干す分が残っていなければ、タオルやバスタオルを濡らして干してもかまいません。
ただし、タオルの絞り方が甘いと水滴が床に落ちる場合があるのでしぼり加減には注意しましょう。
裏技その4:葉の大きい観葉植物を置く
加湿器を部屋に置きたくない人に特にオススメなのが、葉の大きい観葉植物を置く方法です。
植物の葉の表面には、空気中から取り入れた二酸化炭素を酸素に変えて排出するための「気孔」という穴が無数に存在します。
実は植物には、「気孔」を通して植物内の水分を排出する「霧散作用」があるのです。
観葉植物に時々水やりを行い、霧吹きで葉に水を吹きかけておけば、自然と空気中に水分を放出してくれます。
当然、葉が大きい植物の方が気孔の数が増えるため、より効果が期待できるでしょう。
お部屋の雰囲気もお洒落になるし、加湿効果もあるので一石二鳥です。
裏技その5:霧吹きや雑巾で強制的に湿度アップ!
タオルを干すことすら面倒くさいという場合は、強制的に霧吹きで室内に水分をばらまくのも手段の一つです。
例えば、寝る前に寝室の空気中やカーテンに向けて水をスプレーしておけば、一気に室内の湿度を上げることができます。
ただし、水を吹きかけ過ぎると、カーテンや壁にカビが発生しやすくなるため注意が必要です。
また、室温が低いまま水分を散布しても、湿度が上がりすぎて結露が起こってしまうため、あくまでも暖房器具と併用することをオススメします。
使用上の注意を守って加湿器を使おう!
上記のような裏技は経済的ですが、道具を用意したり自分で作業したりと手間がかかるのが欠点です。
やはり、楽に素早く加湿したい場合には、加湿器を使用するのがいちばんです。
ただし、加湿器にも色々種類があり、水分の噴出口が熱くなるタイプはヤケドの危険性があるなどいくつか注意点があります。
それぞれの加湿器の長所と短所を把握した上で、経済的事情や生活スタイルなどご家庭の生活事情に合わせて使用しましょう。
噴出口の温度の違いを知ろう
以下の通り、加湿器によって水分が放出される噴出口の温度は異なります。
40℃以上の高温 | スチーム式加湿器 |
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室温と同じ | 超音波式加湿器 気化式+ヒーター(ハイブリッド式) 超音波式+スチーム(ハイブリッド式) |
室温よりも低い | 気化式加湿器 |
幼い子どものいる家庭では、子どもが触ってヤケドする心配があるので、できれば気化式か超音波式を使用することをオススメします。
それぞれの加湿器の特徴を捉えよう!
超音波式の加湿器
内部の水を超音波で振動させることで人工的な霧を発生させる仕組みなので、霧や加湿器自体が熱くならず、安全性に優れています。
しかし、水を沸騰させずにそのまま空気中にばらまく仕組みのため、水中の雑菌を空気中にまき散らすことのないように、こまめにお手入れする必要があります。
また、消費電力が高めなのも欠点で、複数の部屋に設置する場合は電気代の負担が気になります。
スチーム式の加湿器
水を温め、湯気で室内を加湿することが出来るスチーム式は、室温を下げることなく湿度を上げることが出来るため、冬場の加湿に重宝します。
噴出孔が高温になるため、触ると火傷する場合があり、お子さんやペットのいるご家庭では使用場所に注意しましょう。
さらに、内部がお湯を沸かしたような状態で熱くなっているため、コードに足を引っかけて倒したりしても危険ですから、価格よりも安全性の高い加湿器を選ぶことが大切です。
気化式の加湿器
フィルターで吸い上げた水に風を当て、気化(蒸発)させることで湿度を上げる加湿の方法です。
気化式は比較的安全でリーズナブルですが、湿度が上がるのに時間が掛かってしまったり、室温が下がりがちになってしまうのが欠点です。
ただし、加湿器内部にヒーターがあり、温風が出るハイブリッド式タイプであれば室温が下がりにくく、素早く湿度を上げることもできます。
生活スタイルに合わせて加湿対策を
今回は、秋冬の乾燥対策のため、室内の湿度をあげる方法をたくさん紹介しました。
ただし、これらは暖房器具と併用することでより効力を発揮します。
なぜなら、冷え切った部屋で無理やり湿度を上げようとすると、空気中に入りきらない水分が水滴(結露)となって現れ、壁などにカビが発生する原因になるからです。
また、熱いお湯を用いて加湿対策をする場合は、ご自身はもちろん、幼い子どものヤケドには十分注意しましょう。
家庭のスタイルに合わせて加湿対策を選び、秋冬の乾燥を乗り切りましょう!