結婚後、住宅や経済面、子育て、介護など様々な面からお姑さんとの同居を考える事があります。
自分が希望していなくても義両親から勧められることもありますし、自分が無関係でいられるとは限りません。
嫁姑間のトラブルなども取沙汰されており、心配な面もありますが、実際に義両親と同居している家庭は上手く行っているのでしょうか。
データから見る嫁姑の同居生活の実態とは?
嫁姑問題と聞くと、誰もが知る某テレビドラマで姑が嫁に辛くあたるシーンを連想する方もいるでしょう。
嫁姑問題とは一般的に妻と姑(夫の母親)との間に起こる様々なトラブルのことを指します。
この某ドラマで描かれているようなトラブルが、現実世界でも実際に起こっているようです。
一方で、嫁と姑が同居していても良好な関係を築いている家庭もあります。
その違いはどこにあるのでしょう。
嫁姑の同居に関するデータに基づいて同居生活の実態に迫ります。
嫁と姑が同居している世帯の割合はどれくらい?
平成27年の国勢調査によると、妻と姑が同居する世帯は夫が年齢を重ねるごとに増えるようです。
夫の年齢がまだ30歳から34歳のうちは、嫁とのが同居割合は約1割ですが、55歳から59歳になると約2割になります。
夫の年齢が上がるに連れて姑も高齢化していくため、一人暮らしが心配になったり介護が必要になったりして同居するケースがあると思われます。
嫁と姑の関係が良好な家庭は意外と多い?
では、先ほどの約2割の嫁姑同居世帯では、嫁姑関係はどうなっているのでしょう。
平成24年、株式会社日経BPコンサルティングが姑と同居する既婚女性310人を対象に行ったアンケートによると、嫁との関係について、「仲が良い」と「まあ仲が良い」を合わせた割合は、同居10年未満では73.0%、同居10年以上では64.6%でした。
年数を重ねるとやや減少しますが、「嫁姑関係が良好」と答えた割合は概ね6割~7割に達しており、比較的多いようです。
年代別に見ると、40代の妻では62.7%、30代の妻では78.6%が「仲が良い」、あるいは「まあ仲が良い」と答えており、より若い夫婦の方が姑との関係を良好に保っていることがわかります。
嫁姑関係が良好の秘密は「住宅形態」にあった!?
嫁姑関係を良好に保てる理由の1つとして、住宅形態の工夫があるようです。
先ほどのアンケートによると、親世代(舅姑)と子世代(夫婦)の生活スペースが、独立して分かれている「二世帯住宅」であれば、約9割の家庭が「良好」と答えています。
永遠の愛を誓い合った夫婦でも、共に暮らしていれば二人の価値観がぶつかることがあります。
ましてや嫁と姑では、育ってきた家庭環境はもちろん、生きてきた年代も全く異なるので、家事や子育てに関する価値観の違いは大きいようです。
それが、親世代と子世代の生活空間がそれぞれに独立した二世帯住宅に住むことでお互いが干渉し過ぎることなく良好な関係を保てるようになります。
玄関をはじめ台所や水回りなど、できる限り家事動線を分けることで、同居していても両者が適度な距離感を保つことができ、トラブルの軽減につながるのです。
嫁姑問題、成功体験から見えてくること
では、「嫁姑関係が良好」と答えた妻たちは、具体的にどのようなメリットを感じているのでしょうか。
実際に同居したことで感じた具体的なメリットに注目してみましょう。
嫁と姑が同居すると、こんなプラスの変化がある!
先ほどのアンケートを詳しく見ると、核家族から母親との同居になったことで、「子どもの面倒を見てもらう機会が増えた」「家族が増えいつも誰かがいる安心感が増した」「子育ての環境が良くなった」「子育ての負担が減った」などの良い変化があったという回答が多く見られました。
核家族の家庭では、ワンオペ育児という言葉で表されるように、夫の仕事が激務のために妻に対する育児の負担が大きくなる場合があります。
しかし、親世代(祖父母)が子世代(父母)と共に同居することで、子育てに行きづまりを感じている夫婦に親世代からアドバイスを得たり、人手を借りたりできるので、子育ての悩みが軽減される効果があるようです。
また、「安心して仕事に集中できる」「仕事で忙しいときなど家事を分担してもらうようになった」など、家事の負担が軽減されることも大きなメリットと言えます。
共働き夫婦の場合、家事を分担してもらえることで夫婦共に仕事に集中できるのがいいですね。
嫁姑問題、苦労体験から見えてくること
一方で、良好と答えなかった残りの3割の同居家庭では、根深い嫁姑問題を抱えているようです。
今度は、苦労体験に注目し、何がきっかけに姑問題が起こりやすいのかを見てみましょう。
嫁と姑の価値観が違いすぎることで溝が深まる!?
子世代(夫婦)と親世代(舅姑)では、育ってきた時代や家庭環境が全く違うため、価値観の違いはなかなか埋めることができません。
姑との確執が生まれるきっかけとして以下のようなエピソードが挙げられます。
- 姑が夫婦の寝室にノックをせずに入ってくる
- 妻がゴミ出しをした後に、姑が部屋からゴミを出してくる
- 姑が毎日食事のメニューや味つけに口出しをしてくる
- 姑がトイレのマットと衣類を一緒に洗濯する
これらの嫁側の不満を見ると、「共有スペースとプライベートスペースの線引き」や「家事に関するきまりや分担」などをきっかけに問題が起こっていることがわかります。
子育てに関するトラブルも多い!?
姑にとっては息子の孫は目に入れても痛くない存在で、つい甘やかしてしまうようです。
親世代と同居することで育児に対する人手が増えるというメリットがある反面、以下のようなデメリットも聞こえてきます。
- 食事前にも関わらず姑が孫にお菓子をあげる
- 粉ミルクに反対し母乳を強く推進してくる
- 勝手に子(姑にとっては孫)の髪の毛を切られた
- 子をバスマットの上に寝かされた
このように、姑が古い子育ての仕方を嫁に押し付けたり、甘やかし過ぎたりすることでトラブルが起こることがあるようです。
夫の動き方で嫁姑の関係性は変わってくる!?
また、嫁姑問題が起こった際に夫が上手く立ち回らないことでより関係性が悪化する場合があるようです。
- 姑が嫁に対して「息子が優しくなくなったのはお前のせいだ」と言ってくる
- 夫に相談しても「お互いさま」「お前(妻)も悪いよ」など、どちらの味方にもつかない言い方をする
- 姑のやり方が全て正しいと思いこみ、嫁にも同じ方針を押し付ける
- 嫌なら出て行けば、などと相談に応じる姿勢を見せない
これでは、嫁姑どころか家族の仲は冷え切る一方です。
嫁姑問題の溝を深めないためには、夫は妻の話をよく聞き、姑との仲を取り持つように「私たち夫婦はこういう方法でいきたいと思う」と、しっかり伝える努力をすると良いでしょう。
親世代と子世代の同居を始める前に決めておきたいこと
同居による嫁姑問題を発生させないためには、同居を始める前に親世代と子世代がじっくりと話し合うことが大切です。
同居する理由もうやむやなまま、きまりも作らずに同居を決めてしまうと、必ず後から問題が出てきます。
最後に、嫁姑の同居を決定する際の注意点についてまとめました。
同居する理由をハッキリさせておこう!
現在嫁姑問題を抱える家庭では、「嫁と姑が同居する理由」がはっきりしているでしょうか。
例えば、舅や姑の食事の介助が必要になったからとか、認知症の症状が見られるなどは、立派な「同居理由」になります。
多少嫁姑問題が起こったとしても、同居する理由がはっきりしていれば乗り越えることができます。
同居から派生する金銭関係の分担を話し合っておこう!
同居する際は、住む住居をはじめとして様々な費用が掛かる場面が出てきます。
例えば、共同で使う日用品の購入費用、正月や盆などの行事の費用、リフォームが必要になった場合のリフォーム代などです。
金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあるように、親世代と子世代のどちらかに負担が掛かりすぎるとトラブルの原因になります。
全ての項目を事前に決めておくことは大変ですが、ある程度具体的に金銭関係の問題を話し合っておくことで、問題の数を減らすことにつながるでしょう。
空間の線引きや家事や育児のきまりを決めておこう!
先ほどの苦労話の例にも挙げた通り、共有スペースとプライベートスペースの線引きの曖昧さや、家事育児の負担や価値観・方針の違いはトラブルの元です。
事前に、「留守中に勝手に互いの部屋に入らない」「夕飯の分担は曜日ごとで決める」「子育ては夫婦の方針で行う」など、具体的な家庭内のルールを決めておくことで問題を減らすことができます。
それでも嫁姑問題が起こる場合は、その都度お互いが腹を割ってとことん話し合い、妥協点を探って行くしか解決への道はないでしょう。