出産という大イベントを経て、やっと待望の赤ちゃんとのご対面。
楽しい子育てライフが待ち受けていると思いきや、育児は初めての経験が連続してやってきます。
出産で傷ついた自分の体と向き合いながら、慣れない育児をこなすのは誰にとってもストレスのかかることです。
ストレスの感じ方は人それぞれですが、“いつもと違う自分”に気づいたら、早めに対応してあげましょう。
誰にでも起こりうる、産後うつとは?
産後うつは出産を経験することによって、どんなに健康な女性でも起こる可能性があります。
里帰り中はフルサポートしてもらっていた赤ちゃんとの生活も、いざ自分の家に帰って過ごしてみると、上手くいかないことも多いものです。
慣れない育児の不安は誰にでもあるものですが、いつの間にかその不安が大きくなりすぎてしまうことがあります。
自分の変化に気付けるように、今の心の健康状態を把握することが大切です。
産後うつってどんな病気?
主に産後2週間〜1ヶ月の間におこる精神障害のことを、産後うつと言います。
環境が起因の場合は産後3〜6ヶ月後に症状が現れる場合もあるので、長期で気をつけて過ごしましょう。
症状としては、食欲不振、過食、疲れやすい、倦怠感、気分が沈む、思考力と集中力の減退などです。
誰にでもなる得るリスクがあり、日本では出産後5〜10%の女性が産後うつになっているというデータが出ています。「自分だけ?」「私はダメなママなの?」と落ち込む必要はありません。
よく耳にするマタニティーブルーと間違われる方も多いですが、全く別のものです。
マタニティーブルーは休養をとったり、一定の時期を過ぎれば自然に回復します。
それに比べて産後うつは、休養を取るだけではなかなか回復せず、症状が長く続くのが特徴です。
どうして産後うつになるの?
新しい家族が増えて幸せいっぱいのはず、しかし気持ちはなんだか沈みがちになるのは何故でしょう?
心の病気は「これが原因です!」とハッキリ言えない病気も多く、産後うつもその1つです。
人それぞれストレスに感じる事は様々ですが、主に次のような原因が関係している可能性が高いと言われています。
ホルモンバランスの乱れ
妊娠・出産と続き、お母さんのホルモンバランスは猛スピードで変化していきます。
実はホルモンバランスが乱れている時は、ストレスに対する脳の抵抗力が落ちると言われているのです。
抵抗力が落ちてる状態にも関わらず、出産後の体の痛みと慣れない育児で、不安いっぱいの毎日を過ごさなくてはなりません。
ストレスを処理しきれなくなると、脳の活動が鈍くなり、辛いことを前向きに捉えるのが難しくなるのです。
育児不安と育児環境
育児をする環境に、子育ての相談したり、気軽に頼れる相手がいないことが原因の1つです。
育児に対する不安は、大きなストレスになります。子育ては、自分1人ではなかなかうまくいきません。
一緒に暮らす家族や両実家、周囲の協力と配慮が何よりも大切です。
実家に行ける距離でしたら、里帰りの期間を長めに取ることも良いでしょう。
近くに頼れる人がいない場合は、地方自治体が行っている子育て相談に行ってみるのがオススメです。
保育士などの資格を持った方が話を聞いて、子育てのアドバイスをしてくれます。
高齢出産による影響
女性の社会進出に伴い、結婚や出産のタイミングが遅くなってきています。
出産に限らず、高齢になればなるほど、体力や自然治癒力が落ちてゆくものです。
出産時に受けた体のダメージの回復が遅れ、痛みに対するストレスが長い期間かかることからの影響が考えられています。
また、職場復帰を希望しているお母さんは、保育園問題や職場の関係、新しい仕事への不安も大きな要因の1つです。
授乳による睡眠時間の減少
睡眠は何よりも体の回復を早めてくれます。出来るだけ少しでも多く睡眠をとるようにしてください。
しかし、新生児の授乳は、生後1ヶ月まで1時間おきという頻度が続きます。
最近では母乳神話の影響もあり、完全母乳で育てたいお母さんも多いでしょう。
ストレスを受けると母乳の出も悪くなるため、赤ちゃんはお腹いっぱいに母乳を飲むことができません。
これは赤ちゃんにとっても良い影響ではありませんから、もし産後うつの傾向が現れたら、粉ミルクとの混合にすることも視野に入れましょう。
旦那さんや家族に授乳の協力してもらって、少しでも体と心を休めることが第一優先です。
もしかして産後うつ?そう思ったら即行動!
産後うつはきちんと治すことで、今まで通りに生活することが出来るようになります。
「育児に疲れてるのよ」「世の中のお母さんはみんなそう」「もう少し経てばきっと良くなる」そう考えて放置してしまうのが、一番危険です。
“いつもと違う自分”を感じたら迷わず受診してください。精神科に行きづらければ、妊娠中に通っていた産婦人科でも構いません。
まずは医師に産後うつについて、相談に行ってみましょう。何もなければそれでいいのです。
これって産後うつかも?チェックリストで確認しましょう!
新しい生活になると、誰でも少しの不調は起こるものです。不安定な気持ちになることもあるでしょう。
しかし産後うつのように、時間が解決してくれない場合もあります。
赤ちゃんのことで余裕がないかもしれませんが、自分の心と体のサインには気をつけていてください。
産後すぐの場合は、マタニティブルーの可能性もあります。産後2週間ほどは様子を見ても良いでしょう。
急に病院に行くのは気が引ける方は、次のチェックリストを活用して見てください。
産後2週間が過ぎ、以下の症状が続く、又は症状が増えるようでしたら、早めに医療機関を受診しましょう。
- 子育てに不安がある
- 集中力が続かない
- イライラしやすくなった
- 趣味だったことに興味が湧かない
- 赤ちゃんが可愛く思えない
- 家事に時間がかかるようになった
- 赤ちゃんのお世話が面倒に感じる
- 常に疲れた感じがする
- ぼーっとする時間が増えた
- 突然涙が溢れることがある
治療にどのくらいの時間がかかるの?
発症後、数週間〜1年かけて回復する方が、比較的一般的です。
早期発見・早期対応をするほど、その回復は早くなると言われています。
産後うつは軽度の方も多く、数回のカウンセリングのみで回復する方もいます。
発見に時間がかかったり、重症の場合は投薬治療となりますがご安心ください。
薬の中には、授乳しながら飲める成分のものもあります。
医師に自分の症状を判断してもらい、どんな治療を選べるか相談してみましょう。
発症を疑ったら、まずは保健師に相談するのが良いです。
訪問サービスの案内や地域の情報、近くの医療機関を紹介してくれます。
産後うつは未然に防げます!
環境起因のストレスや睡眠不足は、家族や周囲の方の協力で改善できる部分も多いでしょう。
出産前に役割分担や、育児に対する方針などをあらかじめ話し合っておくことも大切です。
普段から育児書やインターネットの育児情報を、見すぎてはいませんか?
子どもの成長は一人ひとり違いますから、必ずしも得た情報通りではありません。
「こうではなくては!」「こうなるはず!」と思い込まず、「まぁこんなもんでしょう」くらいの心の余裕を持つことが大切です。