【プロ執筆】「子どもができない」と悩む夫婦へ、今見直したい事とその理由

【専門家】「子どもができない」と悩む夫婦へ、今見直したい事とその理由

3組に1組が不妊という現在。

実は20代〜30代でも不妊に悩む夫婦が多い事を知っていますか?

確かに晩婚化や高齢出産が増えたとは言え、なぜこんなにも「授からない」事に悩む夫婦が多いのでしょう。



不妊の検査でわかる原因はごく僅か?!

不妊症で悩む夫婦の中には、加齢に伴ういわゆる「卵子の老化」に加え、子宮筋腫や卵管の閉塞、卵巣嚢腫などの女性が妊娠するために器質的な問題を抱えている場合や、乏精子症や無精子症などの男性不妊が原因の場合があります。

けれど、不妊の原因としてわかっていることは、実はまだほんの僅かなのです。

色々検査して治療もしたのに授からない…そんな夫婦が多いのもこのためです。

妊娠しにくい夫婦には共通の特徴がある?!

妊娠しにくい夫婦には共通の特徴がある?!

これといった原因は指摘されないのに妊娠しない…そんな夫婦には実はいくつかの特徴があると言われています。

ホルモンバランスが崩れている

ホルモンバランスの崩れは生理不順や不正出血、基礎体温の乱れ、肌荒れや便秘などの症状として現れます。

ホルモンバランスは目には見えませんが、赤ちゃんを迎えるための子宮内環境を整え、卵子が一番受精しやすいタイミングで排卵させるためにとても重要なのです。

自律神経系のバランスが崩れている

自律神経系は、カラダの生理機能(呼吸・血圧・心拍など)を自動的にコントロールするシステムです。

交感神経と副交感神経という2つの神経によって成り立ちます。

交感神経が優位な時は、いわゆる「戦う脳」の状態です。

副交感神経が優位な時は「リラックス」した状態です。

この2つがうまくバランスをとることによって、私たちは起きている時も寝ている時も、自分で意識をせずにカラダを「正常な状態」に保つことができるのです。

実はこの自律神経系のバランスを崩している人、いわゆる自律神経失調症の人が現代人にはとても多いのです。

休んでも疲れが取れない、ぐっすりと眠れた気がしない、ずっと胃や腸の調子が悪い、手足が冷える…など複数の症状となって現れます。

一見、関係のないように思える自律神経系のバランスと不妊症。

しかし、自律神経系のバランスが崩れるとホルモンバランスも崩れてしまうのです。

これは、自律神経系をつかさどる交感神経、副交感神経の司令塔とホルモンバランスをつかさどる司令塔が同じ視床下部という場所にあるためです。

「眠たいのに眠れない」「疲れているのに休めない」「お腹が空いたのに食べられない」「トイレに行きたいのに行けない」など、人間の本能(情動)と理性が対立するようなストレス状態が長く続くと、視床下部が混乱をきたします。

短期的(一次的)な対立(ストレス状態)なら頑張ってバランスを取ろうとしますが、長期に渡って無理をしてストレス状態が続くと、やがて自律神経系もホルモン系もバランスを崩してしまうのです。

冷え性

「妊活」という最近話題のワードを検索すると、必ず「冷え性」や「冷えとり」といった言葉がついて来ます。

冷え性の根底には、自律神経系の変調による血管運動神経障害があると言われています。

また冷え性を自覚している人の多くが、上半身より下半身により強い冷えを感じています。

これは上半身に比べ下半身の血行が悪いことを意味しています。

下半身の骨盤の中には赤ちゃんを育む子宮があります。

この子宮が冷えていると、子宮内膜(赤ちゃんのベッド)の再生、着床、妊娠の継続、逆子、分娩時の微弱陣痛(赤ちゃんを産み出すほどの強い陣痛が得られない状態)と妊娠、分娩に到るまで良い影響はありません。

特に暑い時期は、冷えとは無縁のように思われがちですが、薄着でエアコンに晒されたり、冷たい飲み物で内臓が冷えたりします。

実は暑い季節こそ、カラダの冷えに気をつけなくてはいけないのです。

しかし、カラダの芯まで冷え切った状態に慣れている人ほど、自分のカラダの冷えに気づいていない事が多いようです。

「戦う脳とカラダ」から「育む脳とカラダ」へ

「戦う脳とカラダ」から「育む脳とカラダ」へ

数十年前までは「子どもを授かる」ということで悩む人は、今ほど多くはありませんでした。

様々なことが便利になった現代社会の中で私たちは、自然のバイオリズムから遠ざかり、「当たり前」な生活の中で、カラダは多くのストレスを受けているのです。

かつて、日が昇ると起き日が沈むと眠り、3食しっかりと食べ、カラダを動かして働き、多くの女性が「家庭を守る」存在でした。

身近に多くの「母親」の存在があり、女性として成長する中で、自然と「育む脳とカラダ」が作られたのです。

いまや、女性が社会で働きながら妊娠、出産、子育てをすることは当たり前の時代です。

そんな社会の中で多くの不妊に悩む人が「こんなに妊娠できないと思わなかった」と言います。

しかし今、多くの女性たちは社会の中で、男性と肩を並べて常に「戦う脳」「戦うカラダ」で生きています。

男女平等を謳う社会の中で女性は、本来の「育む性」を影に追いやらざるを得なかったのです。

だからこそ、不妊という問題に直面した人こそ「戦う脳」から「育む脳」へ、「戦うカラダ」から「育むカラダ」へ、意識的に変化させる必要があるのです。

見直すべき生活習慣はコレ!!

見直すべき生活習慣はコレ!!

きちんと寝る、きちんと食べる、きちんと出す

夜にきちんと睡眠を取るということは、カラダのバイオリズムを正常に保ち、ホルモンバランスを整えるためにもとても大切です。

眠ることで、交感神経と副交感神経のオンオフを切り替えられて自律神経も整います。

また、腸内環境と自律神経は非常に深い結びつきがあるということもわかってきました。

食べたり食べなかったり暴飲暴食したりすると腸は大きなストレスを受けます。

腸を規則正しくしっかりと動かすことは、腸内環境を、しいては自律神経を整えるために大切なポイントなのです。

腸内環境を整えるために見直すべき生活習慣には、例えばこんな事があります。

  • 3食バランス良く適切な時間に食事を摂る
  • トイレに行きたいと感じたときに我慢をせずにしっかりと出す
  • 水分(腸を冷やさないようにお白湯がおすすめです)を摂る
  • 適度な運動をする
  • 乳酸菌や発酵食品を積極的に摂る

当たり前のこと、と思われるかもしれませんが、自律神経系のバランスを崩している人はこれができていないことがとても多いのです。

夜は脳とカラダを刺激(ストレス)から解放してあげる

スマホやPC、テレビの光は脳を興奮状態にさせることが知られています。

寝る前にスマホやPC作業をすると、脳が興奮状態のまま眠りにつく事になり、良質な睡眠を得ることができません。

夜の睡眠時間も大切ですが、質はもっと大切です。

寝る前のスマホをやめ、お風呂にゆっくりと浸かり、体温が自然に下がっていくタイミングで眠りにつくと非常に良質な睡眠が得られると言われています。

カラダを温めよう!「温活」のススメ

基礎体温が低い人は、妊娠しづらいことがわかっています。

現代女性は内臓からカラダが冷えきっている人が多く、これも不妊症の大きな原因の一つです。

特に白い食べ物、すなわち砂糖、小麦粉、乳製品、白米などはカラダを冷やします。

今日の食事は3ヶ月後のカラダを作る、と言われています。

冷たい飲み物を避け、カラダを温める食材を積極的に摂り、内側からも温めてあげましょう。

冷え性の人で良く「足が冷えている」という人はいますが、「子宮が冷えている」ことを自覚している人はほとんどいません。

しかし、周りに発熱する臓器のない下腹部は、足の次に冷えているのです。

最近、特に夏などはシャワーで済ます人が多いようですが、ぜひ湯船に浸かってください。

それも5~ 10分ではなく、30分くらいじっくりと、額にじんわり汗をかくくらい浸かりましょう。

このくらいゆっくり浸かって、ようやく内臓が温まります。

「冷えは万病のもと」とは良く言ったものです。

カラダを内側と外側からしっかりと温める、これが「育むカラダ」への1番の近道です。

不妊治療へ踏み切るタイミング

不妊治療へ踏み切るタイミング

どの産婦人科医の意見を聞いても「不妊治療に踏み切るタイミングは1日でも早い方がいい」と言います。

これはカラダと同様、卵子も日を追うごとに歳を取り、妊娠しづらくなるためです。

しかし大切なのは、妊娠するためのカラダ作りをしっかりとする事、そして夫婦できちんと不妊治療について、お互いの意思を確認して始めることです。

いつ始めるのか、どこまで治療をするのか、そして大切なのはどこで見切りをつけるのか。

そして何より、産む選択をするのか、しないのか。これらをきちんと夫婦で話し合いましょう。

最初に話し合いのベースを作っておくと、治療中のお互いの気持ちを確認しやすくなります。

これは、不妊治療をしていく上でとても大切な事です。

そして、初めての受診はなるべく2人一緒に行きましょう。

どちらかに問題がない、とわかってから受診することは勇気がいります。

妊娠をするに当たっての問題が発覚したならば、それは2人の問題として受け止めましょう。

何も問題がないことがわかったならば、2人で生活を見直し、より健康なカラダで赤ちゃんを迎えられるようにすれば良いのです。

不妊は、自分のカラダと向き合うチャンス!

不妊は、自分のカラダと向き合うチャンス!

かつて「嫁して三年子なきは去れ」と言われた時代がありました。

まだ不妊の原因が、全て女性にあるとされていた時代です。

しかしながら、現在の不妊治療や検査の多くも、女性が主体です。

これは現時点で解明されている原因、介入できる問題が女性因子に偏っているに過ぎないのです。

多くの医療分野が進歩し、産科医療もまた大きな飛躍を遂げました。

しかし不妊治療が女性にとって身体的、精神的、経済的、社会的に負担を請け負うことは、まだまだ解決されていません。

だからこそ、パートナーであるご主人や家族、職場の理解と協力が必要なのです。

治療を進める中で見切りをつけることは、治療が長くなればなるほど難しいものです。

また多くの人が治療と向き合う中で「妊娠」がゴールになってしまいがちです。

しかし、妊娠は「子育て」のスタート地点なのです。

妊娠も子育ても、今まで積み重ねてきた生活の多くを変えざるを得ません。

いま、あなたが不妊という問題を抱えているならば、もしかするとそれは、自分のカラダとじっくりと向き合うチャンスなのかもしれません。

私たちは、妊娠と子育てを通して自分たちの今までの生活を見直し「より健康になるチャンス」を与えられているのです。

これを機に、少し立ち止まって自分やパートナーのカラダを大切にする生活を、してみませんか。

この記事を書いた専門家

まい/助産師

大学病院、総合病院、助産院と幅広い現場で助産師として従事。

妊娠期の指導から産後ケアまで、多くの妊産婦と赤ちゃんのサポートを行う。