【プロ執筆】小学校選びのポイント大全|元教諭が教える比較のコツ

【プロ執筆】小学校選びのポイント大全|元教諭が教える比較のコツ

小学生のいじめや不登校、学力低下問題などをニュースで耳にすると、保護者としては子どもに通わせる小学校は慎重に選びたいものです。

小学校は最寄りの公立小学校に進学するのが一般的ですが、中には国立小や私立小を選ぶ家庭もありますし、自治体によっては複数の公立小から通いたい小学校を選択できる「学校選択制」が導入されているところもあります。

そこで今回は、小学校教諭だった経験を活かし、小学校を選ぶ際のポイントをまとめました。



公立小、国立小、私立小、それぞれのメリット&デメリットを紹介!

公立小、国立小、私立小、それぞれのメリット&デメリットを紹介!

文部科学省の「学校基本調査」によると、平成30年の小学生の数は前年度より2万一千人少ない642万8千人と過去最低を記録しました。

そのうちのほとんどの子は公立小学校に進学するわけですが、1996年~2006年の10年間に限ると、国立小に進学する児童はゆるやかに減少する一方で、私立小を選択する児童は増加していることがわかりました。

ここではまず「小学校は最寄りの公立小に通うもの」という概念を捨て、国立小や私立小も選択肢に入れるために、それぞれのメリットとデメリットを見つめ直したいと思います。

なお、詳しくは【公立・私立・国立の違いは?小学校受験の準備の前に知っておきたい基礎知識】の記事で紹介しているのでご覧ください。

公立小学校のメリット&デメリット

メリット デメリット
  • 校区内なら誰でも入学できる
  • 授業料は無料のため、その分塾へお金を使える
  • 徒歩圏内、親の送迎不要
  • 近所の同級生のお友達ができる
  • 色んなタイプの子どもと触れ合える
  • 校風に地域性が出る
  • 教師の入れ替わりが激しい
  • クラス内の学力格差が大きい
  • 基本以上の学力向上は難しい
  • クラス担任制のため担任教師によってクラス運営や指導力に差がある

国立小学校のメリット&デメリットとは?

メリット デメリット
  • 私立に比べると学費が安い
  • 自主性を重んじる校風
  • 国立大学の附属小として教育学部教授による最新の研究授業を受けられる
  • 研究授業が多いため公立小にはない独特の授業風景が見られる
  • 倍率が高く、入学試験があり、面接や学力試験の他に「抽選」があることも
  • 近所には同級生がいない(少ない)
  • 教育実習生が多く授業が実験的になる一面がある
  • 中学受験には通塾が必要
  • バスや電車通学が多い

私立小学校のメリット&デメリットとは?

メリット デメリット
  • 創建以来の独自の教育理念を元に充実した教育プログラムを受けられる
  • 教科担任制で専門的な授業
  • 基本的に教師の異動はない
  • 校風に合った価値観の近い親子が集まるため、友達や学校に愛着が湧く
  • 附属の中高があれば「エスカレーター式」に進学できる場合がある
  • 中学・高校受験のサポートが手厚い
  • 入学試験があり、倍率が高い
  • 入学金約30万円、学費年間約46万円、その他寄付金など、家計にかかる経済的負担が大きい
  • 近所には同級生がいない(少ない)
  • 校風や教育方針に合わない場合、転校の可能性がある
  • バスや電車通学が多い

国立・私立小も視野に入れ我が子に合った小学校を見つけよう!

上記のメリットとデメリットを踏まえ、我が子に相応しい小学校を考えてみましょう。

小学校を決める上で経済面や校風、先生方の様子等がポイントになりますが、大切なのは、「各家庭が最も優先したいことは何か」という点です。

教育費は中学~大学進学まで長期的に捉えよう!

教育費は中学~大学進学まで長期的に捉えよう!

小学校を選ぶ際に、どうしても避けられない問題は「経済面」です。

私立小にどれだけ魅力を感じたとしても、学校によっては入学金や授業料をはじめ、給食費や課外活動費、交通費や塾代まで全てを含めると、6年間で1000万円近くかかる可能性があります。

そのため、私立小を選択する場合は、我が子に校風が合うかどうか以前に、経済的に余裕のある家庭であるかどうかが前提となるのです。

小学校の後には中学受験が控えており、高校、大学と教育費はかかかり続けます。

夫婦の教育方針をしっかり話し合いながら、こうした全ての進学プランを見通した上で、本当に私立小学校を受験するかどうか判断しましょう。

我が子に合った「校風」を見極めよう!

我が子に合った「校風」を見極めよう!

次に挙げたいポイントは、「我が子に小学校の校風が合うかどうか」です。

公立小学校は、周辺校区に住む6歳児がそのまま入学してくるので、校風には地域性が強く反映されます。

文教地区と呼ばれるようなところにある公立小は比較的落ち着いていますが、地域によっては“荒れている”学校や、児童の5人に1人が外国籍という学校があるのも事実です。

ただし、ほとんどの公立小の先生方は、指導要領に基づいて子どもたちの基礎学力を定着・向上させるため日々奮闘しているので、そこまで心配する必要はありません。

様々な家庭環境、異なる価値観・教育方針で育ってきた子どもたち(あるいは育ててきた親たち)の中で、我が子をたくましく育てていきたい場合には、公立小がピッタリです。

一方、私立小学校や国立小学校は、創建以来続けられてきた伝統の教育理念が明確なため、それに共鳴した近い価値観の親子が自然と集まってきます。

保護者は教育熱心で、子どもたちも勉強に対する意欲が高いため、勉強に集中したい児童には私立小学校が相応しいでしょう。

公開授業で「校風」を知ろう!チェックするべきポイントは?

公開授業で「校風」を知ろう!チェックするべきポイントは?

小学校の校風を知るためには、親子揃って小学校に足を伸ばし、校内設備や授業風景や先生の指導の様子等を実際に目で見ることが大切です。

私立小学校であれば、合同説明会や個別説明会で公開授業や体験入学を行っているところが多いですし、国立、公立の小学校でも、直接申し込めば「気軽に見学に起こしください」と言ってもらえるはずです。

小学校の様子を見学する際に注目すべき点

  • 学校の規模や校内設備(人数が多すぎると、運動場や体育館は取り合いに。体育や音楽、図工で使う教室や道具、学期等が古い場合も)
  • 1年生だけでなく高学年の授業も見る(学校の授業レベルがわかる)
  • 授業中に私語や立ち歩きがないか(特に公立小は注意)
  • 授業中に児童が手を上げて発言しているか、あるいは先生の発問やそれに対する児童の答え(クラスの授業レベルがわかる)
  • 教室や廊下、学校内の掲示物はきちんとしているか、清掃が行き届いているか(荒れているクラスは特に教室に落ちているゴミが多い)
  • 休み時間に子どもたちが遊ぶ様子(子ども同士のトラブルは授業中より休み時間に起こりやすい)
  • 子ども同士のトラブルに対する先生の関わり方や指導の仕方(双方の話を傾聴しているか、毅然とした態度で一貫した方針で指導しているか

園や幼児教室の先生の意見も取り入れよう!

園や幼児教室の先生の意見も取り入れよう!

小学校をいくつも見学すると、それぞれに良さを感じるためどこが我が子に相応しいのかわからなくなってくることもあるでしょう。

そんな時は、幼稚園や保育園、幼児教室などでお世話になっている第三者の先生に判断を仰ぐのも一つの方法です。

幼児であれば、家庭での様子と幼稚園での様子が異なることはよくあります。

親が「自宅ではふざけてばかりで頼りない」と思っていても、案外保育園や幼稚園では、クラスのムードメーカーとしてみんなを引っ張り盛り上げてくれる存在になっていることもあります。

家庭ではどうしても親と子どもが1対1でしか向き合えないので、集団の中での子どもの性質や良さについては、案外園や習いごとの先生の方がよくわかっているものです。

我が子に合う「校風」に迷った時は、こうした第三者の意見もぜひ取り入れてみましょう。

学校選択制で、公立小学校も選べる時代に

ここまで国立、私立にも視野を広げて見て来ましたが、最後に公立小学校の選択肢が増える「学校選択制」について触れておきます。

学校選択制とは、就学する公立小学校を決めるに当たって、事前に保護者の意見を聴取し、元々通うはずだった小学校以外の小学校に通うことを認める制度です。

現在、全国にある教育委員会のうち約15%で「学校選択制」が取り入れられています

学校選択制を導入している自治体は年々増加しており、2012年には1997年の約8倍になりました。

ここでは、学校選択制の種類を解説し、公立小学校を見極める際のポイントを紹介します。

学校選択制の実態とは!?

学校選択制の実態とは!?

学校選択といっても、いくつかの小学校から自由に選べる形はあまり多くありません。

学校選択の実施形態とその割合は以下の通りです。

学校選択の種類 実施形態 割合 2006年と2012年の比較
特認校制 従来の通学区域は残したままで、特定の学校について、通学区域に関係なく、当該市町村のどこからでも就学を認めるもの 35.9% ↑増加
36.7%→41.9%
特定地域選択制 従来の通学区域は残したままで、特定の地域に居住する者について、学校選択を認めるもの 27.9% ↓減少
45.0%→32.5%
隣接区地域選択制 従来の通学区域は残したままで、隣接する区域内の希望する学校に就学を認めるもの 19.2% ↑増加
18.8%→22.4%
自由選択制 当該市町村全ての学校のうち、希望する学校に就学を認めるもの 10.5% ↑増加
10.0%→12.2%
ブロック選択制 当該市町村内をブロックに分け、そのブロック内の希望する学校に就学を認めるもの 1.0% ↑減少
2.1%→1.2%
その他 上記以外のもの 5.6% ↑増加
2.1%→6.5%

これらの学校選択制を取り入れている自治体は、都道府県によっては大きな差があります。

最も多い都道府県は鹿児島県で、ついで北海道、東京都、福岡県、埼玉県、広島県となっています。

※学校選択制の詳しい実施状況は、文部科学省の「学校選択制等について」をご覧ください。

自宅からの距離感は重要な選択ポイント!

自宅からの距離感は重要な選択ポイント!

公立小学校の良いところは、経済面と徒歩圏内で通える「近さ」です。

バスや電車を乗り継いで通うことの多い私立・国立小と比べれば、徒歩圏内の公立小は病気・怪我の時や災害時でも子どもを迎えに行きやすく、毎日の登下校の時間が短いことで防犯面でも安心できます。

自宅の位置によっては校区内の指定小学校よりも隣接する校区の小学校の方が近いということもよくあるので、より近い小学校を選べる「隣接区地域選択制」が導入されていると便利です。

学校選択制度で、学校の規模を選択しよう!

学校選択制度で、学校の規模を選択しよう!

同じ市内の小学校同でも、少し市街地を離れれば1学年1クラスしかないような小規模校があれば、1学年6クラスもあるマンモス校も存在します。

できれば「我が子には丁寧な指導をお願いしたい」というのは保護者共通の願いですが、人数が少ない小規模校であれば、比較的丁寧に見てもらいやすいです。

ただし、1学年1クラスしかないと、子ども同士、親同士の関係につまずいた時の不安が大きいので、最低2クラスはあった方が無難と言えるでしょう。

一方、マンモス校は、たくさんの子どもたちにもまれながら強く成長してほしいという思う親御さんにはピッタリです。

ただし、人数が多い分、先生の目は届きにくいこともあり、さらに学童保育も満員で入れない可能性もあるので注意しましょう。

学童保育の有無や定員状況をチェックしておこう

学童保育の有無や定員状況をチェックしておこう

学校の規模によっては学童保育の充実度が異なります

ある小学校の学童保育は、児童の数が多すぎるため、とても落ち着いて机に座って宿題が出来る環境ではありませんでした。

しかし、共働き家庭にとっては、学童保育は必須です。

定員はもちろん、かかる費用や学童保育の実施時間、応募方法等、全ての情報をキャッチした上で小学校を決めましょう。

小規模校でも、自然豊かできめ細やかな指導を期待できる!

小規模校でも、自然豊かできめ細やかな指導を期待できる!

先ほど、小規模の小学校は人間関係につまずいた時に不安という点を挙げましたが、それを上回る長所があることも忘れてはいけません。

特に自然豊かな地域にある小規模校は、一人ひとりが豊かな自然の中で様々な体験学習をすることができ、机の上の勉強だけでなく、実際の生活に役立つ経験を身につける事ができる可能性があります。

中核規模の市内にある山の中腹にある公立小学校では、一時期最も少ない学年で男女合わせても5人しかいないような事態に陥りました。

しかし、市を挙げて「豊かな自然体験」や「小規模ならではのきめ細やかな指導」など学校の良さをアピールし、通学バスを導入して通学許可区域を市内全域に広げたところ、児童数が4割増加し、廃校を免れたのです。

小学校を見学し、授業の様子や先生の指導の様子を見よう

小学校を見学し、授業の様子や先生の指導の様子を見よう

小学校を選ぶに当たっては、先ほども述べた通り、実際に学校に出向き親子共々学校の様子を自分の目で見学することが大切です。

小学校を見学する際には、色んな学年の様々な授業を見ましょう。

低学年は私語や立ち歩きがないか、高学年は児童が積極的に学習に参加しているかどうかなどに注目です。

授業中だけなく、給食時間や掃除時間を見学するのも参考になるでしょう。

荒れているクラスでは、給食の配膳にも時間がかかるし、余った食材の取り合いでトラブルがあったり、残飯が多くなったりします。

また、子どもに食物アレルギーがある場合には別メニューを用意してもらえるか、間違って通常給食を与えたりしなた事例がないか等も要チェックです。

掃除時間であれば、掃除場所に遅れてやってきたり、明らかにさぼっている児童が見られたりと、担任や学校全体の生徒指導力が顕著に出ます

特別支援教育の環境や中身の充実度

特別支援教育の環境や中身の充実度

特別支援教育も、学校間の格差が出やすいものの一つです。

中には「センター校」と呼ばれ、肢体不自由の児童向けの学級だけでなく、病弱な児童を対象とする学級、情緒学級(LDやADHDなどの発達障害のある子どもに対応)など、特別支援教室の種類が多いところもあります。

しかしその一方で、肢体不自由の子も発達障害の子も関係なく大勢が一つの教室に押し込まれ、他学年のクラス担任をはずれた頼りない先生が担任している学校があるのも事実です。

また、クラス担任の中には特別支援教育についての知識が乏しい先生もいるので、我が子が特別支援クラスに入るかどかに関わりなく、一人ひとりの児童がクラスの中で居心地よく過ごすことができているかどうか、しっかり見極めることが大切です。

親が学校を選択できるのは「小学校」まで!

親が学校を選択できるのは「小学校」まで!

親が主体となって我が子のことを考えて「学校を選択」できるのは、小学校までが限界ではないでしょうか。

経済的に余裕があれば、私立や国立小学校にも視野を広げ、実際に足を運んでみると新たな発見があるかもしれません。

中には「学校選択制度」が導入され、公立小学校でも複数の中から選択できる地域があるので、そうした機会を逃さず、公開授業や学校見学に参加し、各学校の特徴を調べましょう。

小学校時代は、子どもの基礎学力を定着させ、人間関係の基礎を学ぶ大切な時期です。

「卒園したら公立小にあがるだけ」と軽くとらえずに、一度立ち止まり、家族で話し合いながら慎重に小学校選びをしてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた専門家

Emi/小学校教諭

市立小学校の担任教諭を担当し、生徒への教育や指導、保護者への助言を経験。

現在は2児の母として、小学校入学を控える立場にもなり、より見識を深めている。