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【プロ執筆】助産師が教える産院の選び方|ココを比較すれば安心!

少子化や医師不足の流れと共に2000年代に入ってから減少を続ける産院。

一大イベントであるお産の産院選びで大切なことは、その産院の機能と受けられるケアをよく知ることです。

せっかくのお産を「こんなはずではなかった!」と悔やまないように、あなたにあった産院を探してみませんか。

産院選びはしっかり比較を!

産院選びはしっかり比較を!

妊娠したらまず決めてなくてはいけないのが「どこで産むか」ですよね。

最近では妊娠がわかったら「すぐに分娩予約をしないと、7ヶ月先まで分娩予約でいっぱい!」なんていう病院もあるようです。

だからと言って焦りは禁物です。お産は新しい家族が増える一大イベント。

そして何より、赤ちゃんにとってもママにとっても命がけの出来事です。

他の人の口コミが良かったからと言って、それがあなたの体やあなたの赤ちゃんにとって最適な場所とは限りません。

自分と家族、赤ちゃんにとって良い思い出になるように、しっかりと比べて産院を選びましょう。

選び方の最初は、分娩施設(産院)の絞り込み!

まず、分娩施設にはその規模で分けると大きく3つに分けられます。

産科だけでなく様々な診療科が併設される「大学病院や総合病院」、産婦人科や小児科など総合病院などと比べると小規模ではあるけれどドクターが常在している「個人病院」、そして助産師が開業をしている「助産院」です。

総合病院・大学病院ってどんなところ?

総合病院・大学病院ってどんなところ?

総合病院は、病床数100床以上かつ産婦人科の他に内科や外科などの主要な診療科などの複数の診療を行う病院で、第2救急病院など地域の中核病院としての役割を果たしています。

大学病院は、教育研究に必要な施設として設立された病院で、高度な先進医療を受けることができる総合病院です。

総合病院・大学病院のメリット

様々な診療科があることから、産科以外の合併症を発症した時や緊急手術などに迅速に対応してもらえることが多く、合併症妊娠や双子ちゃんの妊娠、切迫流早産などのハイリスク管理において安心な分娩施設です。

また、赤ちゃんが産まれた後もNICU(新生児集中治療室)や小児科との連携がスムーズなことや、適切な処置が適切なタイミングでできることは、総合病院や大学病院ならではの強みと言えます。

総合病院・大学病院のデメリット

総合病院や大学病院の産婦人科の多くは、妊婦健診で診てくれていた医師や顔見知りの助産師がお産を担当してくれることは、ほとんどありません。

もちろん情報はしっかりと共有されていますが、見知らぬ人に囲まれてお産をすることを不安に感じる人も多いようです。

また、大学病院においては教育機関としての機能を持つため、常時実習生や研修医の受け入れを行っています。

このため健診や分娩に学生さんが立ち会うこともあります(もちろん断ることもできます)。

その他に母児同室ができなかったり、面会や立ち会い出産に施設によっては様々な条件があったりと、融通がきかないことも多いようです。

個人病院ってどんなところ?

個人病院ってどんなところ?

個人の産婦人科医が開業していて、産婦人科に特化した施設です。

小児科や内科、耳鼻科など複数の診療科を併設する中規模な病院もあります。

個人病院のメリット

総合病院と異なり、健診の時から顔見知りの担当医や助産師がお産を担当する可能性が高くなります。

また妊婦健診やお産の時に一緒だった人と仲良くなり、その後もママ友として長くお付き合いする人も多いようです。

情報交換や心配なことをなんでも聞ける関係性が妊娠期から継続してできるというのは、とても心強いことですね。

また個人病院や中小病院とは言え、手術室などを備えている病院も多く、緊急帝王切開などの対応ができる病院もあります。

なんと言っても、最近ではマタニティヨガや産後のアロマトリートメントやエステ、フレンチのフルコースが出てくる病院まで、個性豊かなサービスが魅力と言えるでしょう。

アメニティの充実やご飯やおやつの美味しさも、妊娠・出産を頑張っているママには嬉しい特典です。

個人病院のデメリット

個人病院では常勤医が少なくスタッフも少数で、健診などの待ち時間が長いことが多いです。

最近は外出OKの病院も多く、順番が近くなると連絡が貰える病院もありますが、健診は1日がかりになってしまうことも多いようです。

お産が始まると、「なかなか先生やスタッフが捕まらない!」などという声も…。

また、先に挙げたエステやフレンチなどの個性豊かなサービスも、裏を返せばお金がかかります。

通常、出産にかかる費用は平均50万〜60万(自然分娩の場合)程度と言われていますが、4DエコーやLDR(後述)の個室料金、産後のエステや整体、食事料金が別途加算されて100万円近くになる産院もあります。

素敵なケアも、先立つものがなければ受けられない…というわけです。

助産院ってどんなところ?

助産院ってどんなところ?

助産院は、助産師が開業している施設です。

助産師が開業した施設で出産を取り扱う場合は、必ず委託医や委託医療機関と提携を行っています。

これは、助産師が取り扱える範囲が「正常なお産に限る」ためです。

このため、助産院で出産する場合でも決められた回数は医師が診察を行い、医師と助産師が共同で診ていきます。

助産院のメリット

助産院では、一人につき30分から1時間をかけてゆっくりと妊婦さんの診察を行います。

妊娠経過が順調であるかだけでなく、体は冷えていないか、妊婦さんたちが出産に向けて心身共に準備ができているか、不安なことはないか、とにかく時間をかけて関わります。

妊娠中から関わっていた助産師がお産に立ち会うわけですから、お互いの信頼関係が成り立った上でお産を迎えます。

そして何より、助産院ではママたちが「自分で赤ちゃんを産む」ための努力をします。

先にも述べたように、助産院で取り扱えるお産は「正常なお産」に限ります。

このため、医学的にハイリスクな人や、経過に問題がある人は助産院でのお産はできません。

しかしながら出産は病気ではありません。女性は太古の昔から医学に依らず「自然に産む」力が備えられているのです。

食事、冷え防止、呼吸法、ヨーガ、整体などなど、妊婦さんと助産師がタッグを組んで、妊娠中に自然に産むための力を最大限引き出せる心とカラダを作るのです。

会陰切開をしない、自分が楽だと思う姿勢で産める(アクティブバース)、これらは当たり前なことのようで医師が主体のお産の現場では実は難しいことでもあるのです。

何より、自宅に似た環境はリラックスしてお産にのぞむことができ、家族みんなで新しい命を迎えることができるのは、助産院ならではのお産と言えるでしょう。

助産院のデメリット

一番不安として聞かれるのが、医療設備がないことや医師が常在していないことのようです。

このため緊急で医療介入が必要となった場合、病院ほどスムーズに対応することができません。

このため、先にも述べたように定期的な提携医療機関での受診や、少しでも異常を認めた時点での早めの判断が必要となります。

また、助産院でお産ができる人には条件があります。下記に当てはまる妊婦さんは、残念ながら助産院でお産をすることができません。

  • 逆子
  • 双子ちゃん以上の多胎児
  • 帝王切開で出産をしたことがある人や
  • 出産にリスクを伴う持病(合併症妊娠)がある人
  • 妊娠経過で血圧の上昇や赤ちゃんの発育に問題がある人
  • 胎盤の位置に問題があると指摘された人
  • 早産
  • 予定日を超えても陣痛が来ない人など

ただし、これらの条件を満たさず他の医療機関でお産となった人も、産後の産褥入院や母乳・育児相談などで助産院を利用することは可能です。

産院の選び方で知っておきたい!施設・設備の用語解説

LDR

LDR

LDRは陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、回復(Recovery)の略で、陣痛からお産、お産後まで同じ部屋で過ごせる施設を言います。

通常は、陣痛が始まって子宮口が全開するまでは陣痛室で過ごし、子宮口が全開し赤ちゃんの頭が降りて来ていよいよお産!となると分娩室に移動します。

赤ちゃんの頭がすぐそこまで来ている状態での移動ですので、ママにとってはとても大変です。

更に産まれた後も、お産が立て込んでいる場合は早々に産後の部屋に移されることもあります。

こういったドタバタを解消してくれるのが、LDRです。

LDR室は完全個室ですので、ご主人やご家族との面会や立会いがしやすいというメリットもあります。

3D・4D超音波

4D超音波

超音波検査(エコー)は妊婦健診で赤ちゃんの発育や胎盤の位置の確認、羊水の量を測ったりするために使います。

通常は2Dエコーでの診断が一般的ですが、見慣れないと、何が何やらよくわかりません。

最近では3Dエコーを導入している産院も増え、赤ちゃんの形が良く分かる立体的なエコー画像が見られるようになりました。

お腹にいる赤ちゃんのお顔をひと足早く見られることは、医療機器が発達した現代に生きる人の特権ですね。

更に、3D画像を連続して観察する4D超音波では赤ちゃんが動いている様子を見ることができます。

産院によってはこの画像・動画を、DVDに焼いてくれるところもあるようです。

3D・4D超音波の取り扱いがあるか、無料サービスかもしくは別途費用がかかるかは施設によって異なりますので、興味のある方は事前に確認されると良いでしょう。

オープンシステム、セミオープンシステム

オープンシステム、セミオープンシステム

現在、日本では深刻な産科医不足や出産施設の減少に加えて、高齢出産や合併症妊娠などのハイリスク妊娠が増えているのが現状です。

このため、ますます病院での待ち時間は増え、診察時間は減り、必要な時にスタッフの人手が足りない、という事態が起きています。

このことを解消するために作られたのが「周産期ネットーワークオープン(セミオープン)システム」です。

医療機関の特性を活かして、ママと赤ちゃん、そして医療者双方の負担を軽くし、安全性を守ることが目的です。

どちらのシステムが利用できるかは、かかりつけの診療所によって異なります。

オープンシステム

妊婦健診は自宅や会社の近くの診療所で受け、お産は大学病院などの大きな医療施設に入院します。

お産の際には健診を受けていた診療所の先生が来て、立会います。

セミオープンシステム

妊娠36週までは、自宅や会社近くの診療所で健診を受けます。

36週以降は大学病院などの大きな医療施設で健診を受け、その病院で出産をします。

お産の際には、診療所の先生ではなく、その施設の医師が立会います。

産院は自宅からの距離も大切!

産院選びでは、自宅からの距離も大切!

さて、色々な産院についてお話をしてきましたが、自分の希望を全て網羅する産院を見つけることは至難の技です。

しかも産院自体の良し悪しだけでなく、「その産院が自宅から遠すぎないか」ということも大切なポイントになります。

緊急時、妊娠中の経過を把握してくれている病院に運ばれることはとても大切です。

これは状況のわからない妊婦さんを受け入れてくれる病院が、すぐ近くにあるとは限らないためです。

里帰りをしない場合は自宅からの距離、里帰りをする場合は実家からの距離も検討材料に含めましょう。

産院選びから始まる、アナタらしいお産

産院選びから始まる、アナタらしいお産

産院の選択肢が複数箇所ある方は、自宅からの距離をきちんと踏まえた上で、自分が妊娠中やお産のとき、そして産後のケアや母乳に対する考え方で大切にしたいことに優先順位をつけて考えるといいでしょう。

まずは自分の身の回りにどんな産院があるのか、そこはどのような施設なのか、口コミだけでなく医師や助産師の数、受けられるケア、施設や分娩室などの雰囲気などをリサーチしてみましょう。

産院選びは「自分がどんなお産をしたいか」「どんな風に新しい命を迎えてあげたいか」を考える、大切な一歩です。

まい/助産師

大学病院、総合病院、助産院と幅広い現場で助産師として従事。
妊娠期の指導から産後ケアまで、多くの妊産婦と赤ちゃんのサポートを行う。