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医療費が高額に!家計が助かる2つの療養費制度

入院や手術で医療費がかさんだ時、予想外の出費でお金の心配をされる家庭も少なくありません。

そこで、万が一医療費が高額になってしまった時に経済的に支えてくれる、公的な療養費制度について調べてみました。

医療費が高額になりそうな時に安心の医療費制度

医療費が高額になりそうな時に安心の医療費制度

誰でも怪我や病気をしたとき、医療機関を受診することがあるでしょう。

しかし、大きな病気や怪我をして入院・手術が必要となると、医療費が膨らみ、急な高額支出に家計が圧迫されてしまうという事も少なくありません。

そんな時に使える二つの医療費制度があるのをご存知でしょうか。

それは高額療養費制度限定額適用認定の二つです。

高額療養費制度は一時的には医療費を払う必要はありますが、後から自己負担限度額を超える費用については払い戻しを受けられます。

限定額適用認定は1ヵ月の医療費の支払い総額が自己負担限度までに収めることができる制度です。

限定額適用認定と高額療養費制度のどちらも、万が一の備えとして把握しておくに越したことはありません。

次は制度の注意点や内容について詳しく見ていきましょう。

高額療養費制度はどうやって活用すればいい?

高額療養費制度はどうやって活用すればいい?

医療機関での支払いが高額になったとき、後から申請することで、自己負担限度額を超えた費用の払い戻しを受けられる制度です。

後から払い戻しを受けられるとはいえ、病院では全額支払いをしなければなりませんので、一時的に経済的な負担がかかる点は制度未使用時と変わりありません。

しかし、自己負担限度額を超えた分は、後から払い戻しをしてもらえるので、ぜひ有効に利用したい制度と言えます。

高額療養費制度の注意事項

別の医療機関も受診している時は?

健康保険が使える医療機関・薬局は、それぞれ別の取扱いになります。

複数の医療機関を受診している場合、各医療機関の自己負担額がそれぞれ21,000円以上の場合は、合算できます。

21,000円を超えていない医療機関の費用は、合算できません。

同じ病院で入院と外来を受診している時は?

1つの医療機関で同じ月に入院・外来それぞれを受診した場合、自己負担額がそれぞれ21,000円以上の場合は、高額療養費制度に合算できます。

どちらかが21,000円を超えていない場合、その分の医療費は申請できません。

同世帯者の医療費は合算できる?

同じ世帯で同じ保険を使っている場合、自己負担額が21,000円以上になっている人の分は合算することができます。

たとえば、夫の負担額が21,000円、妻の負担額が23,000円という場合は、併せて申請できますが、妻の負担額が19,000円の場合は夫のみが対象となります。

自己負担となる金額はある?

高額療養費制度では、全てをカバーしてくれるという訳ではありません。

例えば、差額ベッド代や治療中の生活費、入院中の食事代など、治療以外にかかった費用は申請の対象外となります。

また、元々治療費が高額な先進医療の技術料も対象外となっているため、注意が必要です。

医療機関の支払いでは、全ての金額をまとめて領収書が発行されているため、対象外となる項目が含まれている場合には、その金額を差し引いて申請する必要があります。

生命保険と併用できる?

生命保険の請求をする(行う予定)という場合でも、高額療養費制度を利用することができます。

もし、高額療養費制度を申請する前に保険金が支払われていたとしても、その金額を差し引く必要はありません

医療費控除と併用できる?

確定申告で医療費控除を行うという場合でも、高額療養費制度を利用することは可能です。

医療費控除では、高額療養費制度で対象外だった差額ベッド代や保険外治療費なども申請の対象となります。

ただし医療費控除を申請する場合は、高額療養費で支払われた金額、生命保険から受け取った保険金は、差し引かなければなりません

高額療養費制度の医療費の自己負担限度額はいくら?

高額療養費制度の医療費の自己負担限度額はいくら?

自己負担限度額は年齢・所得の区分に分けられ、細かく分類されています。

70歳未満の自己負担限度額は?

70歳未満だと1年以内に3ヵ月以上に渡って自己負担限度額を超えた場合、「多数該当高額医療費」として、4ヵ月目以降は自己負担限度額がさらに引き下げられます。

所得区分自己負担限度額多数該当高額医療費
  • 標準報酬月額83万円以上
  • 報酬月額81万円以上
252,600円+(医療費総額-842,000円)×1%140,100円
  • 標準報酬月額53~79万円
  • 報酬月額51.5~81万円
167,400円+(医療費総額-558,000円)×1%93,000円
  • 標準報酬月額28~50万円
  • 報酬月額27~51.5万円
280,100円+(医療費総額-267,000円)×1%44,400円
  • 標準報酬月額26万円以下
  • 報酬月額27万円以下
57,600円44,400円
  • 低所得者
  • 市区町村民税の非課税者
35,400円24,600円

70~74歳の自己負担限度額は?

負担能力に応じて負担を求める考え方で、70~74歳の自己負担限度額が見直され、平成29年8月より一部の自己負担限度額が引き上げられました

所得区分自己負担限度額 外来(個人)自己負担限度額 外来・入院(世帯)
①現役並みの所得者
  • 標準報酬月額28万円以上
  • 高齢受給者証の負担割合が3割
57,600円80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%
②一般所得者①③に該当しない者14,000円57,600円
③低所得者市区町村民税の非課税者8,000円24,600円
世帯収入から必要経費・控除額を引いて所得がない場合8,000円15,000円

①②に該当する場合、70歳未満と同様に、1年以内に3ヵ月以上に渡って自己負担限度額を超えると、「多数該当高額医療費」として、4ヵ月目以降は自己負担限度額が44,400円に引き下げられます。

また、年間144,000円以上医療費で支払いをした場合、この金額を超過した分は払い戻しを受けられます。

75歳以上の自己負担限度額は?

75歳の誕生日を迎えると、後期高齢者医療制度に切り替わります。

70~74歳とあまり内容は変わりませんが、平成29年8月からの見直し以前の低い水準の自己負担上限額が適用されことになります。

所得区分自己負担限度額 外来(個人)自己負担限度額 外来・入院(世帯)
①現役並みの所得者
  • 標準報酬月額28万円以上
  • 高齢受給者証の負担割合が3割
44,400円80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%
②一般所得者①③に該当しない者12,000円44,400円
③低所得者市区町村民税の非課税者8,000円24,600円
世帯収入から必要経費・控除額を引いて所得がない場合8,000円15,000円

さらに月間通算だけではなく年間144,000円の上限があり、年間通算で支払った医療費がこれを超える場合は、超過分の払い戻しを受けられます。

高額療養費制度はどのように申請するの?

高額療養費制度はどのように申請するの

自己負担上限額を超えた医療費を支払った場合は、加入している健康保険協会の各支部に「高額医療費支給申請書」を郵送しましょう。

医療機関から提出される診療報酬明細書の審査をする必要があるため、払い戻しは診療を受けた月から3ヵ月以上かかってしまいます。

支払いによる出費で生活が困難になる場合は、医療費の見込額の8割相当を無利子で貸付してくれる「高額医療費貸付制度」があるので利用するといいでしょう。

まずは申請するのに「高額医療費支給申請書」が必要ですが、各健康保険協会の公式HPからダウンロードすることも可能なので、書類をPDFファイルでダウンロードして記入してから持っていくこともできます。

提出するときは所得を示す添付書類も必要なので、合わせて紹介しておきます。

高額療養費制度の申請に必要な添付書類

以下に当てはまるものを用意して、申請のときに添付するようにしてください。

高額療養費の申請必要書類
怪我(負傷)の場合負傷原因届
第三者による傷病の場合第三者行為による傷病届
公的制度から医療費の助成を受け、負担が軽減されている場合助成を受けた診療の医療機関からの領収書
本人が死亡したため、相続人が請求する場合本人との続柄が分かる証明書(戸籍謄本など)
自己負担限度額の所得区分が低所得者になる場合
  • 貼付台詞兼マイナンバー情報連携申出書
  • 住民税の課税証明書
  • 世帯全員の所得額が分かる書類(所得証明書など)
マイナンバーの情報連携を行なう場合
  • 貼付台詞兼マイナンバー情報連携申出書
  • マイナンバーカードの表裏両面のコピー
マイナンバーの情報連携を行なわない場合マイナンバーカードの表裏両面のコピー

※マイナンバーカードがない場合、個人番号の証明書類と身分証明書で代用できます。

限定額適用認定はどのような医療制度なの?

限定額適用認定はどのような医療制度なの?

70歳未満に限られますが、医療費が高額になることが事前に分かっていれば、限定額適用認定を受けることで、1ヵ月で自己負担額を超える治療費を請求されずに済む医療制度です。

例えば、手術や入院を予定している場合には、予め限度額適用認定を受けておくことで、医療機関の窓口で支払うお金が少なくなるという事です。

限定額適用認定は、高額療養費制度と同じ内容ですので、自己負担限度額や注意点などは上記と同様になります。

限度額適用認定を受けるためには、医療機関の窓口で保険証と合わせて、事前に取得した「限度額適用認定書」を提出する必要があります。

どうすれば限度額適用認定証を交付してもらえる?

どうすれば限度額適用認定証を交付してもらえる?

限定額適用認定を利用するには、加入している健康保険協会で「限度額適用認定証」を発行してもらわなければなりません。

必要書類を揃えて、各地域の支部に行くようにしましょう。

マイナンバーカードを持っている方は両面のコピーを、持っていない方は個人番号の証明書類と身分証明書を一緒に持っていきます。

限定額適用認定証は即日発行してもらえる事もありますが、時間に余裕をもって手続きに行きましょう。

限定額適用認定を上手く使う方法

限定額適用認定を上手く使う方法

限定額適用認定は、月初から月末までの医療費が高額になったとしても、自己負担限度額上限までを自身で支払う制度です。

月をまたいで入院・治療をすれば、各月の自己負担上限額まで払うことになります。

そのため、治療費や入院費が高額になることが予想されるなら、なるべく月初めに入院・治療を始めるのが得策です。

当然、いつ事故にあうか、病気になるかは分からないため、治療期間を合わせるのは難しいですが、調整が効くようなら月初にもってくるのが有効と言えます。

そのためにも、入院の期間や手術の日程などは、ちゃんと把握しておくようにしましょう。

高額療養費制度と限定額適用認定、どちらが得なの?

高額療養費制度と限定額適用認定、どちらが得なの?

結局、高額療養費制度と限定額適用認定のどちらを使えば良いのか分からないという人もいるでしょう。

大きな違いは、前者を利用した場合は一旦自分で医療費の支払いをして、後から払い戻しを受け、後者の場合は最初から自己負担限度額分のみを支払うという点です。

支払額の内容は全く同じになるため、自分にとって事前と事後のどちらに手続きをするのが利用しやすいかで、使う制度を選んでも良いでしょう。

高額療養費制度の申請期限は治療を受けた翌月1日から2年以内、限定額適用認定の場合は最長で1年と、どちらにも有効期限が定められているので、忘れずに申請をするようにしてください。

限定額適用認定を1年以上使用する場合には、限度額適用認定証の書換などが必要になるため、治療が長引くことが予想される時には有効期限をしっかり確認しておきましょう。

医療費制度を知らないと損をするだけ?

医療費制度を知らないと損をするだけ?

高額療養費制度と限定額適用認定どちらにもいえるのは、加入している健康保険協会に申請しなければ恩恵を受けられないということです。

医療費制度を知らず、申請をしていないと、思わぬところで損をしているかもしれません。

1~3割の負担で済むとはいえ、大きな怪我・病気をしたときには、どうしても費用はかさんでしまうものです。

きちんと申請をして、せっかくの医療費制度を十分に活用するようにしましょう。